老いの心嬉しくて遠い日の思いがよみがえりました
堤の土手の緑の若草は「ヤブカンゾウ」の若芽です
私の古里の只見では「ハッカケショウブ」と言っていました。今はもう学校教育やテレビに影響されて「ハッカケショウブ」などと言う人は少なくなっていると思いますけども。
「六尺以下を大雪とは言わず」 古里只見の斉藤美紀さんの句です
六尺といえば約2mです。私の幼い頃の只見は12月に根雪になって4月半ばまで深い雪に閉ざされるんです。今は只見を通る沼田街道は国道252号線になって大型除雪車による除雪体制が出来ていますから大雪でも車の通行が途絶えることはありませんけれど、昔は雪の上にかんじきをつけてあるってつけられた細い一本道を徒歩であるかなけれなりませんでした。ですからJRの駅のあるところまでは途中一泊して標高1200mの駒止峠を徒歩で越えてやっと行き着けるのでした。当然冬季の5ヶ月は物流はほとんど途絶えるのです。冬季一番困るのは野菜と魚類や肉の淡泊質です。
昔のの只見では11月になるとどこの家でも「秋上げ」と言ってたくさんの野菜を雪の下に囲ったり漬け物にして保存し、乾燥ニシンや塩鱒や乾燥鱈を大量に買い込んでいました。
でも4月の半ば頃になると新鮮な野菜は不足してしまい体はビタミンCの不足に苦しみます。ですから雪の消え間の土手などで萌えでる「あさずき」やこの「やぶかんぞう」の若芽はとても新鮮で貴重な野菜になるのでした
あの頃は「あさずき」は「ヒル」、「やぶかんぞう」は「ハッカケショウブ」と呼んで子供たちの大事な仕事の摘み草でした。
今はもう「やぶかんぞう」の若芽など摘む人など見たことはありません。でも私も家内のばばちゃんも古里は只見です。散歩に出かける私にばばちゃんは「はっかけしょうぶ」採ってきてといいます。おひたしにすると野草特有の苦みとか強い香りとかはなくてすなおな甘みのあるおいしいおひたしなんですよ。二人して古里をなつかしんでたべるんです。老いの懐かしみなんですよ「はっかけしょうぶ」は・・・