1980年代の初めごろ、日本では空前のバイクブームを迎えようとしていた。
78年には第1回鈴鹿8耐が開催され、同じ年の年末からはオアシスラリー(後のパリダカ)がスタートし、国内でもフルカウルのバイクが解禁され各メーカーはあらゆるジャンルのバイクを開発していた。
国産車は750cc以下という不思議な規制も解除の流れにあった。
輸入車ではハーレーの1200ccとか1340ccが当時のバイクとしては最大排気量だった。
そんななかで登場したのが、ブラジル産の『アマゾネス』である。
フォルクスワーゲン ビートルの1600ccのエンジンを搭載したモンスターバイクである。
「2輪車に4輪のエンジンを積む」
その手があったか、と興味を引かれた。
とは言え、車用のエンジンだから重い。400㎏近い。
おまけにワーゲンのエンジン、たったの60馬力である。
国産車なら400ccクラスの馬力である。
バイクに関しては、「排気量が大きければ偉い」というのは間違いである。
このアマゾネス、一時話題になったのでテレビにも登場した。
『虹へ、アヴァンチュール』という2時間ドラマで緒形拳が乗っていた。
『トップテン』だか『ベストテン』だかで近藤真彦がまたがって歌った。
テレビで見たのはこの2回限り。
その後は若者の興味は軽量ハイパワーの2ストのレーサーレプリカに移り、重くて扱いにくいバイクは承認欲求の強い一部のマニアのコレクションになった。
そんな時代もあったね、と思い出しながら
250cc単気筒のオフロードバイクが欲しい今日この頃