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中国人の労働観

2008-10-12 08:27:23 | 現代中国

 一昨日、中国企業の倫理感の乏しいことを多少論じたが、今日はその他の問題点を挙げてみる。

 先ず肉体労働を賤しむ風潮には長い儒教的伝統がある。その一例を挙げる。
 清朝後期、清朝の高官がイギリス公使を訪問することになった。その高官が着いてみると公使自ら机や椅子を動かして応接のための設営を行っていた。それを見て高官は「自分で身体を動かすようないやしい者と会う必要はない」と言って帰ってしまった。

 「よい鉄は釘にならない、よい人間は兵士にならない」という俗諺もある。日清戦争で日本が戦ったのはそうした兵隊であったのだから勝って当然だったとも言える。
 もっともこれは「政権は銃口から生まれる」と言った毛沢東が率いる共産党の出現によってずいぶん変わった。一方蒋介石はついに士気旺盛な軍規厳正な軍隊を作ることができなかった。

 これほど極端ではないが今でも高学歴者ほど工場の現場に出たがらないという形で、こうした労働観は今の中国にも残っている。

 ホンダやソニーは中国にも工場があるが、本田宗一郎や、井深太らは自ら現場で油にまみれて製品開発に取り組んだ創業の歴史を知らないと見える。

 いずれもメーカーではなくサービス業だが、帝国ホテルでは料理長を、日本航空では客室乗務員を取締役にしているのを聞いたら多分中国人はびっくり仰天するに違いない。
 
 中国企業の幹部は現場を知らない、現場で働くものの士気は低い。
これではいいものが作れないし、いいサービスができるわけがない。上海の有名な大手スーパーで客の目があるのにアクビをしながらレジを打っている女性スタッフがいた。

 私の消費者としての乏しい経験からも中国における不良品率はおどろくほど高いと断言できる。
 例を二三紹介しておく。
 中国の有名ブランドの空気清浄機を買ったが、電気を入れても動かなかった。
 中国の有名ブランドのナップサックを買ったが、ポケットの一つのファスナーが動かなかった。
以上買い物した場所はそれぞれ有名な電器店と百貨店であった。まだまだあるがこのくらいにしておく。いずれも交換には応じてくれた。

 もっとも不良品率が高いのは彼らの不良品に関する考えたもあると思う。つまり高いコストをかけて不良品率を下げるより、一定の不良品率を前提として、後は交換に応じた方が安上がりだという企業風土がある。つまり日本企業のようにコストを度外視しても信用を維持するため不良品率を下げようとはしない。

 もっとも他人のことばかりは言えない。非正規雇用が増えている日本で果して労働者の士気を維持できるのか、高い品質を保てるのか寒心に堪えない。