HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

STEPHEN STILLS / CARRY ON

2013-04-06 07:42:28 | ROCK

袂を分かって以降の活動内容や音楽的嗜好に隔たりがあるのに、ロック史に多大な影響を
残したバンドにかつて同席したというだけで、何かと比較されるのは本人達にとっては
迷惑な話だろう。それでも音楽マスコミやファンは何かと引き合いに出してしまうし、下手すれば
身勝手な優劣さえつけてしまう。

例えばルー・リードとジョン・ケイル。私はどちらも好きでほぼ万遍なく両者の盤を聴いているが
ニール・ヤングとスティーヴン・スティルスの場合、圧倒的に前者贔屓で後者のことは、あまり
気に留めることはなかった。マナサスの1枚目や自身の名前を冠したファースト・ソロ・アルバムは
好きで何度も聴いたが、他の盤はどうかというと手元に無い物の方が多いかもしれない。

まあそれはCSN&Yを引き合いにだせば、残るCとNのソロも同様だけど。これは完全にY贔屓の
私にとって、都合のいいときだけYを招集するCSNを快く思っていないからかもしれない。
Yがいるとアルバム制作上やツアー中に悶着が起こって面倒くさい、だけどYがいれば興行的に
ツアーは集客が見込める、なんて打算が透けて見えるように感じるのだが、CSNにYが参加するか
どうかは、Yの気紛れの部分が大きいというのが本当のところかもしれない。

スティルスの熱心なファンでない私だが、「CARRY ON」と題された4枚組アンソロジーは
気になったので購入した。熱心なファンの方なら25曲の未発表バージョンのために手にするだろう。
私もレア・バージョンを聴くことができる恩恵に預かりたいと思ったのと、歴史を俯瞰することで
手っ取り早く「良い曲」をチェックして、次にどのアルバムを聴くべきかを考えたいと思ったのが
購入の理由である。

特に思い入れが無いというのと、70年代後半以降の盤をあまり聴いてないということは
今回に限っては功を奏した。大物ミュージシャンのボックスを聴くとき、大抵はディスク3とかディスク4
とかになると飽きてきて聴き流すのが常なのだが、今回は近年のスティルスが70年代と比しても
それほどクオリティーの低いレコーディングをしているわけではないことが、何となく理解できた
だけでも私には収穫である。

それでもまあ、何度も聴いた盤からの収録曲は耳馴染んでいるので、そちらに気が行くというのが
正直なところ。『49 REASONS』のデモや『4+20』のミックス違いは耳を引き付けるし、91年に出た
CSNのボックスを買わなかった身としては、『WOODSTOCK』のオリジナル・ミックスを初めて
聴くことができたわけで、これは嬉しい。

名曲『LOVE THE ONE YOU'RE WITH』は、やはりLPにしろCDにしろ盤の1曲目がよく似合う。
今回収録されたシングル・ミックスは初CD化。スティール・ドラムの鳴りはアルバム・バージョンの方が
煌びやかだったことに初めて気付く。

ここでふと我に返る。07年から09年にかけてリリースされたスティルスの「JUST ROLL TAPE」、
CSNの「DEMOS」、マナサスの「PIECES」はどれも1枚もので全て未発表バージョンで構成されていた。
水増し感ゼロの純度100%の未発表集なので、喜んで買ったものだがそれを思えば、「巷に溢れる
多くの箱物は値段も高いし曲は被るし、なんだかなあ。」なんて思ってしまう。

そしてまたしばらくすると、この項の最初に書いた「てっとり早く歴史を俯瞰して云々・・・。」という
意識が蘇り、嬉々としてボックスを愛でる私がいる。う〜む、何やってんだか。(笑)

このあとはもっと重い(笑)7枚組の箱が待っているというのに・・・。


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