奥永さつき

日々のできごとをそこはかとなくつづります。

「平和」な日本

2017-10-22 15:52:33 | 社会
家の平和は家内だけでなく、外からの暴力に対しても守らねばなりません。このばあい、たとえ国家権力の名においても家長の許可なしに家の中に無断で入ることは許されないのです。どのような犯罪者であろうと、自分のあるいは誰かの家に逃げこみ、主人が滞在を認めたばあいには、国家権力の執行者であっても、断りなく入りこんで捜査することは許されなかったのです。
 ヨーロッパ中世の家は原則として「平和の場」(アジール)でした。それは基本的には共同体構成員として、武装を認められている者の家にだけあてはまる原則で、正式構成員でなく、武装しえない貧農や小屋住み農民の家はアジールとしての性格は弱かったとみられます。家の霊が平和を守るという観念は、武装している家長の存在によってはじめて現実に効力をもちえたからです。
(阿部謹也「中世の窓から」)


ここでいう「国家権力」を外国に、「家」を「国家」に置き換えれば、現代の国際政治に当てはまります。武装しなければ「平和」は保てません。
こういう思考はヨーロッパの中世以来変わっていないのでしょう。
武装しなくても「平和」が保たれるという人たちがいる日本はとてもメルヘンチックというか、諸外国からは不思議に見えると思います。