3月19日。
友人から一通のメールが届きました。
あるHPにリンクが貼られただけのシンプルな本文。
開いてみると-。
「卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ」と題された、
渡辺憲司校長先生からのメッセージが綴られていました。
ツイッターなどで全国的に広まったので、ご存知の方も多いと思います。
拝読して、「“感動”という言葉だけでは片付けてはいけない」と感じました。
何十年も前に高校を卒業した私ですが、身の引き締まる思いがしました。
先月、書店に立ち寄ったときのこと。
ある一冊の本の題名に引き寄せられました。
『それでもいまは、真っ白な帆を上げよう』(旺文社)
すぐに気付きました。
渡辺校長先生のメッセージの中の一文だと。
副題に「3.11東日本大震災後に発信された、学長からの感動メッセージ」とあるように、
日本全国の学校で、生徒達・学生達に向けて発信されたものです。
ここで紹介されたような言葉を発する教育者に指導された皆さんは、とても幸せだと思います。
困難なときだけれど-。
希望が持てました。
勇気を頂きました。
上記の本の隣には、渡辺校長先生の書き下ろしの著書が置いてありました。
『時に海を見よ』(双葉社)
震災から3ヶ月近く経とうとした頃に、自己を見つめ直して書かれた本です。
「祈りを行動にうつさねばならない。」
心にズシリと響く言葉が続きます。
これからの時を、改めて真摯に過ごさねばと思いました。
あの日から4ヶ月半が経ちました。
思いを新たに。
真っ白な帆を上げて-。
(なお、『時に海を見よ』の印税は東日本大震災で被災された方々への義損金として全額寄付されます。)
**********************************
いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。
いかなる悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。
(中略)
鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。愛される存在から愛する存在に変われ。
愛に受け身はない。
立教新座中学校高等学校校長 渡辺憲司
**********************************
【余談】
卒業生へのメッセージを読んだ時、内容はもちろんのこと、その文章の美しさに心打たれました。
キレがあって力がある。
「専門教科は何だったのだろう?」と気になっていたところ、分かり、納得致しました。
日本近世文学だそうです。
粋なはずですね。
あぁ、私も。
少しくらいはキレのある文章を書いてみたいものです。
大震災が重なったばかりの時ですが、この内容でればツイッターですぐに広がるでしょうね。生徒へのメッセージが被災地にも届いたはずです。
「印税は東日本大震災で被災された方々への義損金として全額寄付」というのもすごいことだと思います。
いつも思いますが、mariさんの記事も繊細で美しい文章です。内容もさることながら、渡辺校長に負けず劣らずの文才を感じさせます。
ラジオを聞いた翌日、ある検査に出掛けるため気持を強く持ちたいと上記の文章をプリントして持って出掛けました。
その時一緒に持って行ったのが、前々日に頂いたmariさんからのコメントでした。
mariさんの美しい記事や優しいコメントから、いつも大きな力を頂いています。
リンク先を読んで下さったのですね。
心に響くメッセージだったでしょう?
一歩前へ、と勇気が湧いてくる言葉たちですよね。
読まれた多くの方々が、力を頂いたことと思います。
「印税を全額寄付」って、素晴らしい行動ですよね。
他にも2冊知っています。
震災の夜に、避難所で20歳の大学生が国内・世界各国から届き始めた<祈り>の言葉やエピソードを集めるために立ち上げたprayforjapan.jpというサイト。
そこから生まれた『PRAY FOR JAPAN』(講談社)。
プロサッカー選手・長谷部誠『心を整える』(幻冬舎)。
知らないだけで、同じような本がまだまだあるのでしょうね。
自分のできることで支援していく。
私も私ができることを、と思っています。
実生活では「繊細」と表現されることがまずなく・・・。
ありがたいお言葉に恐縮しています。
25年ほどの付き合いがある親友からは、
「もっと男性っぽい文章を書くのかと思っていたら、ブログを読んで驚いた」
と言われた経験があります。
文才があるのかどうかは分かりませんが、違った表現ができません…。
読んでくださるエンピロさんをはじめ、寄ってくださる皆さんに“伝わる”文章であると嬉しいです。
mikiさんからのコメントを拝読して、今、胸がいっぱいになっております。
ブログを綴っていて、良かったと思いました。
こちらこそ、たくさんたくさん力を頂きました。
ありがとうございます。
渡辺校長先生の文章を読まれて、同じように力を頂いたのですね。
その渡辺先生の文章と一緒に、私のコメントをお持ち下さったとは―。
少しでもmikiさんのお役に立てたのなら、これほど嬉しいことはありません。
検査、お疲れさまでした。
どうぞ結果が良いことを祈っています。
次の記事に“茅の輪”の写真をアップします。
mikiさんの元へもパワーが届きますように。
今日の最後に、『時に海を見よ』から渡辺校長先生の言葉を贈ります。
*********************
言葉には、表現には、限界がある。
(中略)
私には私の、君には君の悲しみがある。双方の悲しみは、決して同化できない。しかし、私は君の話を、君は私の話を聴き、言葉を発することができる。それぞれが互いの悲しみを語り合い、聴き合うことで、一緒に泣くことはできる。互いを結びつけるものは、言葉しかない。
*********************