海辺のねこ

どんな日もかけがえのない一日。

マニキュア

2020-11-11 | 思い、想う

握力のない母が爪切りをしている姿は、何だかおっかなびっくり状態に見える。
それを見ているとハラハラするので、このところ母の爪切りは専ら私の担当になっている。

伸び具合が気になったのでつんでいると、様子を見ていた兄が言った。
「マニキュアでも塗ってもらったら?」
すると母は、「もうこの歳になったらいらんわ~。昔はしとったこともあったけど」と答えた。
えっ!?母よ。私の記憶にある母の爪はいつも素っぴんだったよ…。

「いらんわ」と言われたものの私も母のマニキュアをしている姿を見たくなり、幾つかマニキュアを入れてある箱を取ってきて「どの色がいい?」と尋ねてみた。
兄は「派手な色にしたら。気分が上がるで~」と言ったけれど、母が選んだのは可愛らしい上品なピンク色だった。
ただ、"ラメがいい""左右違う色"という兄の意見を採用した。

塗り終わると満面の笑顔の母がいた。
乾くようにと手をパタパタと振りながら「可愛い色!」と嬉しそうだ。
やっぱり幾つになってもお洒落をすることは気分が上がるのだと思う。
母よ、またいつでも好きな色を塗ってあげるよ。
普段しない私が塗るのだから、出来映えはそれなりだけど。


【余談】
結婚式やパーティーでもない限り自分のマニキュアBOXに触れることのない私。
たまには私も塗ってみるかな~。
似合うかどうかは、謎(笑)

百日草

2020-11-05 | ねこからの手紙

小学生の頃からの記憶があります。
いつも笑顔で話しかけてくれましたよね。

お花が大好きで。
よく育てた花を切り花にしてプレゼントしてくれました。
生き物も大好きで。
今にも旅立ってしまいそうにフラフラ歩いている野良猫を見かけたときには、助手席に乗せて連れ帰っていましたよね。
看取ってあげるんだと。
ひとのお世話も大好きで。
家族はもちろん、誰にでも愛情深かったあなた。

自分で受話器を持てなくなっても誰かに頼んで電話をしてきては、声を聴かせてくれましたね。
「もう電話で話せないかもしれないから」と9月末にも。
「お歳暮とお正月用の注文を今からしとくわ」って。

いつもいつも誰かのためを思って動いていたあなた。
お正月を待たずに遠くに行かなくったっていいじゃない。
もうちょっとこっちにいて欲しかった…、な。
もっとみんなに甘える時間を過ごして欲しかったな。

今までいっぱいお話しをしてくれて、たくさんのやさしさと勇気を届けてくれて、本当に本当にありがとうございました。
次に会えたときには、またいっぱいお話しましょうね。

あなたがよくプレゼントしてくれた百日草を捧げます。
花言葉の『不在の友を思う』『遠い友を思う』『別れた友への想い』『絆』『古き良き時代』『いつまでも変わらぬ心』を添えて。