08/06/01 「相棒～劇場版」の感想もアップ！

６月の映画の日に娘のリクエストで観たのがこの映画。梅雨の晴れ間の久しぶりのゆっくりしたお休みに一応きちんとアップしておこう。
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冒頭からの海外ロケの映像は「L change the WorLd」みたいだなぁと思ったが、こちらはもっと現実的で深刻な事件。この映画では戦争状態の南米エルドビア共和国での邦人人質事件ということになっているが、実際に起きた「イラク日本人人質事件」(ウィキペディアの項はこちら)を彷彿とさせる。そこからぐいぐいと引っ張っていかれた。
「イラク日本人人質事件」の時に私が感じた恐怖にもしっかり焦点が当てられていて驚きとともに嬉しくなった。それは国家権力の主張に安易に乗っかって被害者を糾弾した一部の国民の行動の愚かさだ。まるで戦争中に「非国民！」と叫んで戦争に協力しなかった人間を謗り傷めつけた権力に踊らされた人々に似ていると感じていたからだ。
まぁ今回はしっかりと非が政府の側にあるという描かれ方をしていて、その非の隠蔽がシークレットとされていて、議論が分かれる余地はない。さらにそれを逆手にとってパフォーマンスする国会議員の姿も描かれていて、なかなかシニカルな仕上がりになっている。
それにしても国家権力が一部であれ国民を非難する時には、常に100％信じずにいる冷静さを国民は持っているべきだと思う。権力と一緒になって非難する愚挙は犯すべきではない。

とか思いつつも、しっかりエンタメ作品になって楽しめるのがまたまた嬉しい。
「相棒」シリーズについてのウィキペディアの項はこちら
今回の主なスタッフ・キャストは以下の通り。
監督:和泉聖治 脚本:戸田山雅司
出演者:水谷豊、寺脇康文、鈴木砂羽、高樹沙耶、
岸部一徳、木村佳乃、西村雅彦、原田龍二、
松下由樹、津川雅彦、本仮屋ユイカ、柏原崇、
平幹二朗、西田敏行

主演の水谷豊は、萩原健一主演の「傷だらけの天使」の弟分役から観ていて、「熱中時代」の学園ドラマ編の北野先生と刑事ドラマ編の早野刑事役もしっかり観ていた。小柄なのに不思議な存在感の面白い俳優だと思っていた。主題歌の「カリフォルニアコネクション」も歌えるはずだ。

刑事編で共演したアメリカ人のミッキーと結婚・離婚して、しばらくして元キャンディーズの伊藤蘭と結婚して驚いたものだ。最近も映画の宣伝ということでいろいろなＴＶ番組に出演。「SMAP×SMAP」に出ているところを見たら、子どもが自分をダダと呼ぶとか言っているので「ダディ」の変形だなとピンときた。英語のフレーズで口をついて出ていることも少なくないらしく、国際結婚の名残かもとか勝手に思ってしまった。そういう人がインテリの変人の杉下右京役をしているのだから、こんなにしっくりするんだろうなぁと推測。
ＴＶドラマシリーズの「相棒」はそんなにしっかり見てきたわけではないが、変人で妙に気障っちく落ち着き払っているのに、犯罪に向かい合って「許せません」とフルフルと激昂する時とのギャップ！こんなところに魅力炸裂と感じてしまう。
娘も「とにかく水谷豊がカッコいいからよかった」と絶賛。そういうミーハー的魅力もあり。

水谷豊が小柄で、大柄な寺脇康文とのコンビもバランスがいい。刑事ものでもこのコンビ２人とも出世コースからはずされた立場だし、上層部にも言いたいことを言っていく気持ちよさ。言われる警察庁官房長の役の岸部一徳も大柄だし、水谷豊との対照がきいている。登場人物のキャラクター設定がまた絶妙。

ある番組で水谷豊が「大人が楽しめるドラマにしたかった」と語っていたが、脚本もしっかりしているし、社会性を織り込み、人間もしっかり描いていて、実に面白いと思う。これに比べるとあらためて「ＨＥＲＯ」は、「お気楽に楽しむドラマだなぁ、キムタク主演だし、まぁ仕方がないかなぁ」と思ってしまった。
ビターチョコの味がわかるようになってきた私、これからの「相棒」シリーズを楽しみに観ていきたいものだ。

写真はこの映画版のサントラＣＤ。