ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/03/27TVで再放送『蜷川幸雄演出オイディプス王アテネ公演』

2005-04-05 00:40:36 | 観劇
『蜷川幸雄演出オイディプス王アテネ公演』の最初の放送(昨年8月29日)の夜、そろそろだと思って教育TVをつけたら山形治江さんが画面に映っていて、「ああ山形さんの解説があったのか、しまった」と思ったのだった。
蜷川演出の『グリークス』を観に行った時に、主要なギリシャ悲劇のあらすじを紹介した山形さんの自費出版のような赤い冊子を買ってきた。同じ『エレクトラ』でも3大作家=ソフォクレス、アイスキュロス、エウリピデスの誰が書いた作品かということでかなり内容が違うとかいろいろ書いてあっておもしろかった。
彼女は私と同じ年の生まれで、最初シェイクスピア研究のためにイギリスに留学していたのだが、その原点にあるとわかったギリシャ悲劇に興味が移り、ついにそちらの研究者になってしまったということだった。シェイクスピア劇・ギリシャ劇のいずれにも興味を深めていた私にはとって興味深い人だったのだ。その後、朝日選書の『ギリシャ悲劇~古代と現代のはざまで』は買って読み始めたのだが、なんとなく途中でとまって本棚に並べてしまっているのだが...。
そういう若手の翻訳を採用して、時代に切り込んでいく蜷川さんも好ましい(藤原竜也の『ハムレット』には河合祥一郎訳を採用)。
そこで今回の再放送では冒頭から録画を予定していたが、実家に行って早く帰れないことが確定した段階でお茶屋娘さんに録画をお願いした(息子さんが協力してくれたとか、感謝!!!)

冒頭から再生して見てみると、前回も第一印象として高い声でハイテンションでお話される方だと思ったのだが、山形さんの解説は楽しく聞くことができた。蜷川さんが今回アテネで公演することになった経過などを説明し、彼が上演予定のヘロデス・アティコス劇場やお芝居の中の所縁の地を訪れた映像と組み合わせていろいろお話されたので深い内容ではなかったが、まあお芝居前の導入の説明としてはあんなものでしょう。
この舞台は日本での初演とアテネに行く前の再演を観ている。あまり年をおかずにする再演とは言ってもヘロデス・アティコス劇場の舞台を再現したような舞台で演出もかなり手を加えていて再演を観た時も満足した。さらに今回のアテネ公演の録画も上演前の観客が露天の劇場に集まり始めて日が暮れていき、とっぷりと暮れて真っ暗になる中で芝居が始まる様もわかってうれしい。蜷川さんがよく使う客席の通路から役者を舞台に上がらせるやり方はここではできないというのも冒頭の劇場の下見シーンで出てきたので、だから冒頭のコロスの登場のシーンも初演と違うのだと納得。

それとコロスシーンで音楽を担当した東儀秀樹さんが踊っていたが、日本での公演の時は出演する時とそうでない時があり、私は観ていなかったので、これで初めて観ることができた。あのノーブルなお姿がご自分の雅楽的な音楽に乗って踊る様はなかなかのもの。2年前の秋?、お茶屋娘さんの娘さんの学園祭に東儀さんが来るというので私も観に行った。黒い革の上下でかっこよかった。雅楽の笛だけでなく自作のピアノ曲も演奏してくれたし、トークも楽しかった。それ以来注目。NHKの番組でミュージカルも好きだと言って『エリザベート』から「最後のダンスは俺のもの~♪」と歌ったが、衣裳もそれらしくしてノリノリだった。ちょっとあやしい感じもあるが、気になる存在である。

スジには今回はふれない。大昔、高校生の私は、染五郎だった幸四郎と小川真由美という組合せで蜷川幸雄の『オイディプス王』を日生劇場に観て(蜷川初演)、うーんよくわからないと帰ってきた(その後の帝劇での『三文オペラ』はもっとわからなかったが)。その頃と比べると、蜷川さんも大劇場での演出も格段によくなっているし、私も成長しているからこそ楽しめるのだとは思う。

さて野村萬齋と麻実れいについては、いくつか前の記事のコメント欄で盛り上がってしまった。
萬齋のハムレットは賛否両論あるようだが、まあ外国人の演出家が自分の思うジャパネスクなイメージでああいう演出をしたのだと思うが、確かに台詞がききとりにくいところがあったし、様式に流れるような動きもあったと思うが、演出家が狂言役者としての萬齋のイメージを重視したのだと思った。あの長髪っぽい髪型もけっこう好きだったし(笑)。しかしながら、萬齋にはオイディプスの方が合っていると思う。イオカステに麻実れいを得てその組合せがよかったのも大いにあるが。

最後に麻実れいである。再放送でみてもまた惚れ惚れする。きっぱりと神の信託を信じないと言うところ、息子に殺されるという信託を信じた夫にわが子を殺され、その代償を払って自分たちの今があるという微妙な心がしっかり伝わってきた。話がすすむうちにその前提がどんどんくずれていき、最後にオイディプスに「可哀想な人!」という言葉を残して舞台から去り、あとは奥から出てきた家臣が亡くなったという報告の台詞、亡骸をみつけたオイディプスのその後を報告する家臣の報告の台詞で語られるだけなのだ。本人の出番や台詞はかなり少ないのに、あれだけの存在感を示せる女優は、今日本には他にいないと思う。蜷川の『タイタス・アンドロニカス』のタモラも素晴らしかった。サラ・ベルナールを演じた時は観ることができなかったが、再演があれば絶対観る!!
次は『箱根強羅ホテル』で彼女を見るが、新聞に井上ひさしの作品に出るのを切望していたらしいことが書かれていた。芝居をやりたいという志向が強いようで、「職人のような役者」になりたいという。長身での立ち姿の素晴らしさはもういうことがないが、こういう意識でさらに磨かれた彼女を観続けていきたいと思う。

写真はDVDのCMより。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ピカチュウさん ブログ 演劇 (yukari57)
2005-04-05 23:44:18
こんばんは。はてなはどこのページからやってきたかが一目でわかって便利なのですが、

ピカチュウさん ブログ 演劇 を検索してやってきた方がいらして、

http://search.msn.co.jp/results.aspx?q=ピカチュウさん ブログ 演劇&FORM=SMCRT



カタカナですけど、こんな方がいらっしゃいますよ。



http://blog.so-net.ne.jp/girigiri/
返信する
ありふれたネームなんですよ (ぴかちゅう)
2005-04-06 01:13:59
ピカチュウはポケモンの人気キャラだけにそのネーミングにする人が多いんですよね。



カタカナのピカチュウさんのブログ、ちらっと見てきましたが、うーん。エンタメ斬りということですかあ。いきなり略奪愛ネタでしたね。映画『隣人13号』についての記事はけっこう面白かったです。小栗旬も中村獅童もお気に入りだし、映画は観なくてもレンタルで見てしまいそうです。
返信する

コメントを投稿