ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/04/20 「レッドクリフ PartⅡ」にやられた!まいりました!!

2009-04-25 23:53:22 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

「そうだ!20日はシネコンのサービスデイだ!!」と気がついて、職場から娘に「レッドクリフ PartⅡ」を観ようと待ち合わせの電話を入れてMOVIXさいたまに本編上映ぎりぎりに滑り込み(^^ゞ
昨年末に「レッドクリフ PartⅠ」を観た時の記事はこちら

【レッドクリフ PartⅡ】
「映画のことならeiga.com」もご紹介(公式サイトへのリンクもあり)。
PartⅠを観ていない人にもわかるような導入部になっているし、スムーズにジョン・ウー版「三国志」の世界に引き込まれる。この映画は一人ひとりの人物が実に魅力的に描けているのがいい。監督自身が加わって書かれた脚本が実にいいのだ。
また、荒い麻布を切り裂いたような画面で場面転換をするのもテンポが出て気持ちいい。長江の赤壁に陣取る呉・蜀連合軍とその反対の島に陣取る魏軍とを行ったりきたりして決戦の時が近づいていく緊迫感がたまらない。

PartⅠで気に入った孫権の妹・尚香(ヴィッキー・チャオ)が魏軍にひとりで間者として潜入している。水軍を使っての決戦を前に機が熟すのを待つ間、兵士による蹴鞠の試合が曹操の御前で繰り広げられる。鞠がそれたのを尚香が助けて得点させた兵士と仲良くなり、彼の肩車が尚香の敵陣チェックに役立ってしまうのだが、この兵士を登場させたことで、80万といわれる魏軍の兵士たちの多くが次男坊以下の穀つぶしだからと兵役についているということに光が当たった。

故郷と大きく異なる風土に身体を弱らせ疫病に伏せる兵士たちに、曹操は自分の病弱な息子の話を聞かせ、勝って家族のもとに帰ろうと熱く語る。勝てば3年間税を免除するという約束もする。詩を作って吟ずるし、本音なのか演技なのかはわからないが、民の心をうごかす演説もうまい。これは三国のトップの中で一番の器量だと納得した。生まれた家の格は低いのだろうが、そんなのは関係ない。
若い頃に目をかけてくれた人の娘である小喬に抱いた思いをずっと引きずっているというあたりや、頭痛もちでカッとなって判断を誤るところなど、実に人間くさい人物造形になっていて、チャン・フォンイーが実にオヤジ可愛いのだ。この間「覇王別姫」をDVDで見て段小樓役をしていたのも見ているが、格段にいい役者になっていて、この曹操のキャスティングは大成功だと思った。

その曹操を倒すために束になってかかった呉・蜀連合軍側も魅力がいっぱい。周瑜のトニー・レオンと諸葛孔明の金城武と孫権のチャン・チェンのイケメンぶりがさらに際立ってミーハー的に嬉しい。それぞれの知略ぶりも実にいいのだ。10万本の矢の調達の直後に水軍の将軍二人が裏切ったという偽の手紙に騙された曹操。その短慮で殺させた二人が持っていたはずのこの地での風の吹き方の知識を失う。風向きが変わることで火攻めのタイミングが重要になる。そして周瑜の妻になっている小喬が曹操のもとに単身のりこんで戦の中止を乞うという行動がそれだけで終らないという畳み込むような展開がまた実に心地よい。

大体、偽手紙のエピソードにつながる伏線がPartⅠから張ってあったというのがわかってと嬉しかったし、あちこち伏線だらけでなぁるほど~と面白がっているうちにあっという間にまさに「赤壁 決戦天下」の戦闘シーンに突入。
2000隻の船を焼き尽くす映像もすごいし、中村獅童の甘興が主要キャストでただ一人命を落す曹操の陣の壁を突破する魚油の爆発物攻撃もすごい。
曹操の陣中に入った周瑜が率いる部隊が金属の盾で箱状になりながら矢の雨の中をすすんで行くというのも唸った。PartⅠの「九官八卦の陣」の映像の見事さも思い出す。戦闘シーンもスピーディで変化が大きいので全く飽きなかった。
尚香の友達は蹴鞠の活躍で千人隊の隊長になっていたが、最後まで税を免除してくれると言った大将を守ると言って尚香の目の前で死ぬ。
曹操の側近は主君の最後の判断を誤らせた小喬だけでも殺そうと追い詰めるがちゃんと愛する夫が守るのよねぇ(笑)
イケメンだが自信のない男・孫権が勇気を振り絞って射た矢が曹操の髻をくずし、ざんばら髪になる曹操。ここで命はとらないという場面だが、史実ではどうかは知らない。しかし、ここで曹操の中国統一の野望は打ち砕かれたわけだ。
ここのチャン・フォンイーの空しい表情が、また戦というものの虚しさをよく伝えてくれている。この映画こそ、ブッシュ元大統領に見せたいものだと思ってしまった。

最後の場面はこの同盟の中で友情を深めた周瑜と孔明の別れ。孔明が出産を手伝って生まれた萌萌という馬を周瑜と小喬が孔明に託す。「戦に出さないでね」という約束とともに。美しい大自然が映し出されての幕切れにAlanの美しいソプラノが響くエンドロール。

ただの武侠映画でもなく「反戦」の思いがこめられ、圧倒的に少数でも知恵を絞り力を合わせれば大きな勢力に打ち勝つことができる、そんな勇気をもっていいというジョン・ウーのメッセージが実に気持ちよく伝わってきて爽快な作品だった。

今回のプログラムを熟読していて気がついた。PartⅠで買った方をちゃんと読んでいなかった。続けてちゃんと読んだら、キャストもスタッフも中国・香港・台湾・日本・USAと実に国際的なのだとわかった。ハリウッド以外でもこんな大作で質の高い作品ができるというのは画期的だ。ジョン・ウーには「水滸伝」とかもいろいろ撮って欲しいなぁと思った。
また「三国志」についても興味がわいてきた。中学生の頃に横山光輝の漫画版の存在が気になってチラ見したことがあるのだがどうにもスッと入れなかったのだが、リベンジというのもいいかもしれない。

写真は、赤壁II(レッドクリフ)オリジナルサウンドトラック(台湾盤)。岩代太郎の音楽も実によかった。
(6/17追記)
gooメーカー☆メーカーの「レッドクリフ PartⅡ」で遊べるようだ。その中のひとつで「あなた(ぴかちゅうさん)にとって大切なものは・・・」→「友情」とのこと。当たってるみたいね。


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2 コメント

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やはり映画館ですね (yukari57)
2009-04-27 02:05:32
この間、テレビでパート1は見ていますが、やはりこの手の映画は映画館ですよね~
でも、どうして獅童をキャスティングしたのか?よくわからなかったのですが、もちろんステキでしたけど。
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★yukari57さま (ぴかちゅう)
2009-05-01 09:20:32
>どうして獅童をキャスティングしたのか?......多分、オール極東アジアキャスト(香港・台湾・中国・日本)にしたかったからだと思いますよ。金城武はやっぱりハーフだし、純然とした日本人が欲しかったはず。獅童が出ていれば日本にも強くプロモーションできるでしょうしね。
どうしても興行的にも当たるようにつくっているはずという目でもチェックしてしまいます。
俳優祭でから揚げとフライドポテトのセットを買ってツーショットを撮ってもらいました。髪も黒くて髭生やしていて眼鏡もしていたので恐くなかったからお願いしちゃいました(笑)
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