ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/11/11 両国でちゃんこ→江戸博で「夏目漱石展」

2007-11-11 23:59:05 | 美術・本

インフルエンザのワクチン接種後の体調は昨年までよりはいいのだが、なんとなくダルいようでテンションが下降気味だった。そのせいかすっかり12月歌舞伎座の先行予約も忘れ果てていて落ち込んでしまった。国立の歌舞伎と文楽はしっかり覚えていたのでまぁいいとしよう。
昨日は労働組合の学習会に久しぶりに参加して飲み会にも参加してきたが、のんびりするはずの日曜日に「夏目漱石展」に行こうとsakuramaruからの誘いの電話。漱石はどっちでもよかったのだが、会場が江戸東京博物館と聞き行くことにした。実は行ったことがないのだ(^^ゞ人ごみが苦手なので新しい施設にはすぐに行かないタイプ。
せっかく両国に行くのだから、ちゃんこ鍋を食べようということになり、玲小姐さんも巻き込んだら夜ではなくてお昼にしようということになった。

ネット検索でよさそうに思えた「巴潟」両国店に決定。地図&クーポンもプリントアウトして持って行く。
塩味にしようと国見山ちゃんこに決め、ボリュームがありそうなので2人前を3人で食べる。下記のようなちゃんこ。
「鮮度のよい中羽いわしの身を当たり鉢で念入りにあたって隠し味をほどこした秘伝のいわしつみれ。とりガラを水から半日煮詰めた薄い塩味のスープに旬の魚貝やとり肉、野菜などを入れた塩味ちゃんこです。」
牛肉も入ったし、スープが本当に美味しかったし、地粉うどんと思われるうどんもしこしこで美味。雑炊まで食べ、最後はクーポンの白桃のシャーベットで焙茶でしめ!3人前だと雑炊までいきつけなかったねぇと3人とも満足した。実は私は本格ちゃんこも初めてだったのだった(^^ゞ

戦前から残るという両国駅頭で森鴎外派の玲小姐さんとはお別れ。おつきあいいただき、有難うございましたm(_ _)m

さて、江戸東京博物館の特別展「文豪・夏目漱石-そのこころとまなざし-」へ。
公式サイトはこちら
夏目漱石は「坊ちゃん」を少年少女版で「我輩は猫である」は教科書で読んだくらいというレベルの低い私。文庫本で「心」をバッグに入れながら来ているsakuramaruとの差が甚だしい。
私が読んでいるのは木挽堂書店で買った岩波現代文庫の「中村吉右衛門」(小宮豊隆著)。読んでいると小宮豊隆は夏目漱石を師と仰ぎ、「中村吉右衛門論」を読んでもらって感想をもらって云々という文章があったのだった。そんなところに展覧会のお誘いがあり、「夏目漱石に呼ばれているのかな」ということをふっと思ってしまった。
それと2005年1/5に観た新春テレビドラマ「夏目家の食卓~文豪漱石のハチャメチャ人生・・・」がよかった。サントリー「伊右衛門」のCMコンビの本木雅弘・宮沢りえが漱石と妻鏡子に扮していて、思い出しても楽しいドラマだった。

朝日新聞のお抱え小説家となっていた時期に「漱石山房」=漱石の最後の家に友人や弟子たちが毎週「木曜会」として集まっていたことも知り、ドラマの中でもワイワイ楽しく集まっていた場面のイメージが重なった。小宮豊隆もその中のひとりだったわけだ。漱石と何人かの教え子が一緒に写った写真の中にもいた。彼が漱石に出した、父親のような存在になって欲しい(小宮氏は母親一人の手で育てられたらしい)と懇願する手紙に対して「まだまだ僕は若いし、おとっつぁんとか兄さんとかいう関係よりもこれまで通り先生とか友人とかいう関係で」と丁寧に愛情あふれる返事が展示されていた。
その小宮豊隆が自分が図書館長をつとめた東北大学に「漱石山房」の資料を太平洋戦争の空襲による焼失を避けるために移動させていたのだ。そうして残されていた貴重な資料が東京で展示されたのだという。

若い頃に講義を書きとめたノートも実に丹念。幾何の証明は英語だったし、肋膜炎で一年留年した後はより勉学に励んで首席になったというのもうなずける。ノートの空欄に描かれた教師の似顔絵も上手い。ロンドン留学時代には幅広く本を買い集めていたが、美術関係の本も多い。名画の模写もしたりして水彩画もなかなか上手い。和洋両方の絵を描いたようで掛け軸の展示もあった。とにかく芸術全般への造詣の深さにあらためて驚く。

寄席通いの中で正岡子規とも親しくなったようで二人の手紙のやりとりの展示もあった。謡いも習っていたようだが、いい声ではなかったらしい。コンピュータでモンタージュ合成した漱石の声も紹介されていたのでさもありなんと思った。そして漱石がお気に入りだった噺家のひとりが三遊亭円朝だった。
こうして私から遠いと思っていた夏目漱石は、今の私が興味を持っているあたりに近づいてきたのであった。
小説の原稿用紙を埋めている万年筆で書かれた字はなかなか可愛いものだったし、毛筆は達筆。晩年の「心」などは装丁のデザインも全て自分で手がけていて、その原画の展示もあった。
とにかく今日、夏目漱石の素晴らしさにあらためて気がついたのだった。これから少し読んでみようかなぁなどという関心が湧いてきた。
誘ってくれたsakuramaruに感謝しようm(_ _)m
写真は公式サイトより。


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3 コメント

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うらやましい!! (新潟の杉田さん)
2007-11-12 21:43:13
東京にいたなら必ず行く「漱石展」!実際に行ってこられたとは、うらやましいです。しかも行く気がなかったとは、なんという人だ!
漱石は名作「坊ちゃん」を、5日ほどで鼻歌交じりに楽しそうに書き終えたそうです。その後の作品でも、ほとんど書き損じは出さなかったそうで、要するに書き始めるときには頭の中でほぼ出来上がっていたらしいのです。よほど、構想力のある、賢い頭の持ち主だったのでしょう。

しかも、生涯に渡って(イギリス時代のことは有名ですが)数度の「不安神経症らしきもの」を患っています。

実にすごいと同時に人間くさい「文豪」ではありませんか!一生涯「真の自分」を作品の中に閉じ込めたように思える鴎外よりも、私はやはり漱石が好きです。
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Unknown (hitomi)
2007-11-14 13:05:15
りえさんのこのドラマ、よかったですね。先日の徹子の部屋のりえさんは着物姿でそれに合わせた赤いリングも可愛かったです。着物はアンティークノ仕立てしの綺麗なワインレツド。帯は骸骨がシャンペン飲んでる柄でした。

漱石の家は明治村や熊本でみました。東京は何でもありで羨ましい限りです。

昔の音楽座の土居裕子の「アイラブ坊ちゃん」も楽しかったです。
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皆様、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2007-11-17 01:16:42
★新潟の杉田さん様
宮沢賢治で卒論を書かれた貴女様。日本文学専攻ということで鴎外も漱石も詳しいですね。少年少女版で読書に耽っていた頃が一番読書したというレベルの低い私です。観劇が趣味になってからはプログラムや戯曲や劇評を読む方に追われてしまいます(^^ゞ
お役人のままでは「不安神経症らしきもの」から抜け出せない=真面目すぎるので追い詰められるタイプだったようですね。その気晴らしに小説を書いたのだそうです。それで小説家を本業にしてしまった!
「心」の解説に高等遊民が主人公とありましたが、「高等遊民」という言葉を最近どこかで読んだと思い出したら、「ヴェニスの商人」に出てきたヴァッサーニオの解説文でした。漱石の東京帝大での「文学原論」は人気がなかったそうですが、「シェイクスピア」の講義は教室があふれたとか。やはりシェイクスピアに学んだ人なんだなぁと急に身近に感じ出しました。
鴎外は「舞姫」に書いたようなロマンスを捨てて、一生涯森家の家長としての立場に生きた人物のようですね。それしか読んでませんが(^^ゞ
★hitomiさま
>りえさんのこのドラマ、よかったですね......観ていらっしゃいましたか!今、芯のある女性をやらせたらピカイチの女優さんだと思います。蜷川さんの舞台に出て欲しいなぁ。
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