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昨年6月演舞場の「鹿鳴館」の圧倒的な存在感を見せつけた影山伯爵役のあと、半年間の病気療養から團十郎が舞台に戻ってきた!
月に2回しかない夜公演のうち1/9に行くことを急遽決め、仕事をフレックスで上がって徒歩20分で劇場へ。この公演は3本とも観た事のない演目なので久しぶりにイヤホンガイドを利用。居眠りもせず3本とも楽しめてよかった。
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【歌舞伎十八番の内 象引(ぞうひき)】一幕
石橋健一郎=補綴 鳥居清光=美術
今回の配役は以下の通り。
箕田源二猛=團十郎 大伴大臣褐麿=三津五郎
豊島家息女弥生姫=福助 後室愛宕の前=家橘
豊島家一子葵丸=巳之助
大宮隼人=亀寿 松原段平=亀三郎
堀河勘解由=市蔵 生津我善坊=橋之助
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筋書の解説によると「市川団十郎家のお家芸<荒事>の中に二人の怪力の持ち主が一つのものを引き合って互いに腕力を競う<引合事>という演出があります。『象引』もこれに含まれます。(中略)七代目團十郎は『歌舞伎十八番』の中に『象引』を加えながら一度も演じませんでした」とのこと。そういう上演頻度の極めて低い作品ながら、当代團十郎がずっと構想を温めて復帰作品として27年ぶりに上演されるということで象を引き合う荒事なんて果たして面白いのかと思いつつ観たら、これがなかなかの舞台だった。
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今回は大正2年の二代目市川左團次の復活狂言を踏まえて一幕物に作り直したという。どんな話か簡単に書く。関東守護職豊島家の家督相続を許す勅使で大伴大臣褐麿という公家悪が、美人で名の高い弥生姫を手に入れたいばかりに南蛮渡来の献上の象を悪用して陰謀を企てる。それを関東一の勇者・箕田源二猛が阻止して、めでたしめでたしの幕切れとなるという内容。
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三津五郎の公家悪の存在感が立派。豊島家一子葵丸の巳之助も品よく凛々しい若殿ぶりが好ましい。橋之助も注進役の生津我善坊で爽やかでいいし、福助の弥生姫も艶やかでいい。大伴大臣の家来トリオの市蔵、亀三郎、亀寿も憎憎しくていい。
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いろいろあってピンチの場面になる。「待て~待て~」と團十郎の箕田源二猛が花道から登場すると劇場中がヤンヤの拍手。「待ってました!」との声もかかって團十郎の復活を祝う祝祭劇を楽しむムードが一気に盛り上がる。
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陰謀があばかれてその道具とされた象が登場すると錦絵そっくりにつくった象の装置がなかなか見事だった。筋書にある過去の上演例の写真で引き合っている象の作り物よりも何倍も大きいし鼻も動くしで気に入った。引き合う場面は二人だけで引いて極まるのではなく、背中を下にひっくり返った大きな象を下から何人もの助っ人が出てきて團十郎が尻尾をもち三津五郎が頭側を引く形をするだけだった。私はとにかく象の作り物が予想以上の出来のよさに感心し、この引き合いの見せ方も気に入ってしまった。
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また、引き合いになる前に三津五郎の父子関係を利用した台詞で場面の辻褄合わせをしてしまうところも荒事歌舞伎らしいなぁと笑えてしまう。
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巳之助が「おとっつぁん、ここは成田屋のおじさんに花を持たせて引くものだよ」とかなんとか可愛い声で言うのだ(笑)いかにもお祝いの目出度い気分が劇場をいっぱいにしていた。
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それと箕田源二猛の拵えがチラシと違っていたのも團十郎の工夫のように思った。身体の中心は腹出しのような格好で派手な衣裳や頭に力紙をつけるという奇抜ないでたちが基本のようだ。着込む衣裳の袖に三升の入った格子柄が黒と黄色から明るい緑色と黄色になっていた。黒と黄色ではやっぱり地味だ。明るい緑色が生命の力を感じさせて好ましいと思った。
とにかく当代團十郎の復活を慶び、これからの活躍を祈る気持ちでいっぱいになった。
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先週、TVで團十郎復活のスペシャル番組があったのだが見逃してしまった。土曜日に実家に行った時に母がその番組を見てウルウルしちゃったと言っていた。先日書いた演舞場の海老蔵の記事にいただいたコメントにもそのエピソードを書いていただき、それだけで私もジーンと胸が熱くなった。見ていたらやっぱり泣いちゃっただろうな。
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写真は国立劇場初春歌舞伎名物の大凧絵。今回は1枚は「象引」(写真の方)でもう1枚は「十返りの松」の芝翫の老松の精。
1/9②「十返りの松」
1/9③「競艶仲町」
国立劇場の初春公演は、團十郎さんの舞台復帰と復活狂言という二重の復活で、観客の方々も祝祭モードでしたね。歌舞伎十八番はやはり市川家のもの。團十郎さんが国立で、海老蔵さんが新橋演舞場で、と親子競演での十八番を上演したことは歌舞伎を愛するものにとってこんなおめでたいことはありませんでした。
新橋演舞場の海老蔵さんも大奮闘でした。とくに夜の部の復活狂言『七つ面』は短い踊りですが、立派な試みだと思いました。
TBをうちました。
今月の国立劇場は3本とも楽しめました。中でも『象引』は予想以上の出来の舞台だったです。團十郎丈復活を祝うムードが劇場中にあふれていたのもとても嬉しかったです。
演舞場では海老蔵が頑張っていますし、父と子がお互いに支えあい高めあっているようで成田屋応援モードが高まっております。
さてこれから演舞場の夜の部と歌舞伎座千穐楽夜の部もしっかり観るように頑張りま~す(^O^)/
本当は親子一緒に「象引」に出たかった様ですが、とにもかくにも団十郎が元気でとっても嬉しかったです♪
歌舞伎十八番の中で上演される演目は限られているので、貴重な「象引」を目撃できてヨカッタ♪
あの象、意外とキュートでしたよね(笑)。1度触ってみたいもんです。
團十郎丈、こういう荒唐無稽でふんわりとした愛嬌が生きるお役はいいですねぇ。
そうそう、今回の復活の舞台の象もいいですよね。過去の舞台写真をみるとちゃっちいのですが、今回は錦絵の象そっくりだったし、鼻もパオーって上がるし、でっかかったのもGood!
祝祭劇ムード満点の「象引」は本当に見て楽しかったし嬉しかったです。
(注)かしまし娘さんの記事は名前をクリックすると読んでいただけますのでご紹介(^O^)/