ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】顔は口ほどに嘘をつく

2006年11月18日 17時06分31秒 | 読書記録2006
顔は口ほどに嘘をつく, ポール・エクマン (訳)菅靖彦, 河出書房新社, 2006年
(EMOTIONS REVEALED : Understanding Faces and Feelings, Paul Ekman, 2003)

・著者は、表情を見て人のウソを見抜く大家で、FBIやCIAでも活躍した経歴を持つ心理学者。少し専門書寄りの内容。 「この本を読めば、相手のウソが見抜けるようになる!」と思わせるような宣伝文句が帯に書いてありますが、実際は地道な訓練が必要で、「訓練用ソフトを開発!詳しくはこちら→http://emotionsrevealed.com/ (ソフト買ってね♪)」というオチ。しかし、本書のみでもそこそこ面白いです。
・原題を見るとわかるように、本書の主題は『感情』で、『表情』はその出力の一つであるという扱いです。また、「顔はウソをつきにくい」との書中の記述も併せて考えると、あまり良い邦題とは言えません。
・ちなみに写真のモデルは著者の娘さんだそうです。
・「わたしの狙いは、読者が感情の働きの理解を深め、より豊かな感情をもって生活するのを手伝うことにある。」p.8
・「感情はすべて独特の信号をもっている。中で、もっとも目立つのは、顔と声に現れる信号である。顔や声に現れる感情の信号については、まだ研究すべきことがたくさんある。」p.11
・「わたしの指導者であるシルバン・トムキンスは晩年、「感情はわたしたちの人生を動機付けるものである」と語った。」p.12
・「微細な表現(非常に短い)、部分的な表現(顔の一部分にしか出ない)、かすかな表現(筋肉の収縮が少ない)、以上三つが組み合わさった表現は見分けるのがもっともむずかしい。しかし訓練すればできるようになる。」p.17
・「時に、こうした表情は本人自身が怒っていることに気がつく前に現れる。」p.34
・「一人だと、素直に感情を表わし、人前だと、感情を操作するのだ。」p.43
・「わたしたちは、周りの世界を絶えまなく監視し、わたしたちの安全や生存を脅かす事態が起こったら、それを素早く発見する自動評価のメカニズムを持っているにちがいない。」p.67
・「一、感情は、わたしたちの安全にとってきわめて重要だと思われる物事への反応である。 ニ、感情はしばしばあまりに素早くはじまるので、それを引き起こす心のなかのプロセスにわたしたちは気づかない。」p.67
・「ほとんどの人は感情を完璧に消し去るのではなく、特定の引き金に反応しなくなる能力をもちたいと思っている。」p.97
・「ここで気分と感情の違いをはっきりさせておきたい。(中略)もっとも明白な違いは、感情が気分よりもはるかに短いと言うことだ。(中略)感情と気分のもう一つの違いは、一旦、感情が生まれ、わたしたちがそれに気づくと、普通は感情を生み出した出来事を指摘できるという点だ。」p.108
・「最近、老齢化の進行を食い止めるため、ボトックス療法といわれるものが行われている。ボツリヌス毒素をしわに注射することによって顔の若返りをはかろうとする療法だ。その注射をすると、顔面がこわばって無表情になり、顔から生気や感情が失われることもあると言われている。」p.112
・「多分、種としての進化の途上で、わざわざ言葉で告げなくても、感情を他人が知ることができたほうが、有益だったのだろう。」p.115
・「シルバン・トムキンスは、感情が湧き起こってくると、人は必ず音――それぞれの感情で異なる音――を発したいという衝動を覚えると述べている。」p.121
・「声はめったに偽りの感情メッセージを伝えないが、話をしなければ、いかなるメッセージも伝えることはない。顔は声よりもはるかに偽りの感情メッセージを伝えやすいが、決して完全に打ち消すことはできない。」p.122
・「わたしたちが感情の制御にかならずしも成功しないという事実は、わたしたちが改善不能であることを意味するのではない。鍵は自分自身をもっとよく理解することである。」p.150
・「きわめて強烈で反復される感情体験は、あらゆる感情に敏感にさせてしまう可能性がある。」p.162
・「唇が薄くなると、他の兆候が出ていないときでも、怒っていることがばれてしまう。それがもっとも初期の怒りの兆候であり、自分が怒っていることにまだ気がついていなくても出ることをわたしは発見した。」p.224
・「表情は感情が起こっていることを告げるだけで、感情を生み出しているものについては何も教えてくれないということだ。誰かが怒っているのを見ても、あなたはなんでその人が怒っているのかはわからない。」p.230
・「たいていの感情の表情はだいたい二秒間つづく。中には半秒しかつづかないものもあれば、四秒もつづくものもあるが、それ以上短かったり、長かったりすることはめったにない。表情が持続する時間は普通、表情の強さに比例する。」p.232
・「人が圧倒的な恐怖をもっとも感じやすいのは、目の前の脅威を避けることに専念しているときではなく、何も手のうちようがないときである。」p.250
・「目の表情について話すことはよくあるが、わたしたちが話しているのは眼球自体ではなく、瞼の変化によって目がどう見えるかである。」p.263
・「わたしたちは他人の身体の内部を見せられると嫌悪を感じるよう自然によってプログラムされているようだ。とくに出血がある場合にはそうである。」p.284
・「楽しい感情のほとんどについて、わたしたちはまだあまりよく知らない。というのも、わたしの研究もふくめ、感情の研究のほとんどすべてが、どちらかというと人を動揺させる感情に焦点を当ててきたからだ。」p.300
・「人生を楽しんでいる人や忍耐強い人、華々しい業績をあげている人の中には楽観主義が見出されるのだ。驚くべきことに、楽観的な人ほど健康で、実際に長生きもすることを多くの研究が示している!」p.317
・「一般的に、目の周りの筋肉の動きをともなう笑顔をよく見せる人は、幸福であると感じやすく、血圧が低く、配偶者や友人からみても、幸せだと言われる。」p.322
・「ここで鍵になるのは、わたしが注意深さ(Attentiveness)と呼ぶ一種の自覚を育むことだ。そのような自覚をもてるようになれば、感情が湧いてきたとき、すぐに自分が感情的になっていることに気づくことができるだろう。感情に注意深くなるには、身体感覚を磨く必要があるので、そのために有効なエクササイズも本書の中で紹介している。」p.337

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-11-23 09:36:41
ソフトなんて販売してないし、そんなこと仄めかしてもいないんだけど。
馬鹿じゃねえの?
返信する
補足 (ぴかりん)
2016-11-24 22:12:31
記事のリンクは古くて別な内容になっていましたね。失礼しました。
ソフトウェアにつきましては下記をご参照ください。

Micro Expressions Training Tools
http://www.paulekman.com/micro-expressions-training-tools/
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