ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】ローマ人の物語 3・4・5 ハンニバル戦記

2006年11月25日 20時05分47秒 | 読書記録2006
ローマ人の物語 3・4・5 ハンニバル戦記(上)(中)(下), 塩野七生, 新潮文庫 し-12-53・54・55(6907・6908・6909), 2002年
・前巻『ローマは一日にして成らず』より、約半年の期間をおいての第ニ巻目。本当はニ~三ヶ月間隔のもっと早いペースで読むつもりだったのですが、、、自ら書いたブログを読んで記憶を復活。こんなとき便利♪
・主役はローマ人ではなく、ローマを荒らしまわったカルタゴの武将、ハンニバル。アルプスを越え、敵国の真っ只中、イタリア半島を戦いながら縦断し、結局地中海を一周して母国に帰るというアリエナイ離れ業をやってのけた男。前巻よりも時代が下り、当時の状況を伝える情報が増えたせいか、ハンニバルやスピキオなどの登場人物がより生き生きとしています。ちょっと面白くなってきました。続巻を読むのが楽しみです。
・「この第II巻『ハンニバル戦記』では、紀元前264年から前133年までの、130年間が対象になる。ローマ人にとっては、カルタゴとの間に闘われたポエニ戦役を中心に、ギリシアやシリアにまで及ぶ対外戦争の時代であった。」上巻p.14
・「日本で使われている高校生用の教科書によれば、私がこの巻すべてを費して書く内容は、次の五行でしかない。  ――イタリア半島を統一した後、さらに海外進出をくわだてたローマは、地中海に制海権と商権をにぎっていたフェニキア人の植民都市カルタゴと死活の闘争を演じた。これをポエニ戦役という。カルタゴを滅ぼして西地中海の派遣をにぎったローマは、東方では、マケドニアやギリシア諸都市をつぎつぎに征服し、さらにシリア王国を破って小アジアを支配下に収めた。こうして、地中海はローマの内海となった――」上巻p.15
・「戦争終了の後に何をどのように行ったかで、その国の将来は決まってくる。勝敗は、もはや成ったことゆえどうしようもない。問題は、それで得た経験をどう生かすか、である。」上巻p.90
・「ローマ人とカルタゴ人とのちがいの一つは、多民族とのコミュニケーションを好むか否か、であったような気がする。」上巻p.103
・「ローマ人の面白いところは、何でも自分たちでやろうとしなかったところであり、どの分野でも自分たちがナンバー・ワンでなければならないとは考えないところであった。」上巻p.104
・「ローマ人は、今の言葉でいう「インフラ整備」の重要さに注目した、最初の民族ではなかったかと思う。」p.109
・「ローマの支配圏に住む人々は、これまでは二種に分かれていた。ローマ市民権をもつ者と、もたない者の二種である。(中略)それが第一次ポエニ戦役終了後からは、属州民が加わって三種に分かれることになった。」上巻p.112
・「最高司令官の武将としての能力は、百人隊長をどれだけ駆使できるかで決まったという。カエサルを頂点とするローマの名将たちはいずれも、百人隊長の心を完全に手中にし、彼らを手足のごとくに使いこなせた男たちであった。」上巻p.136
・「天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。」中巻p.127
・「シラクサにはアルキメデスがいたのである。一人の人間の頭脳の力が四個軍団にも匹敵する場合があることを、ローマ人は体験させられることになった。」中巻p.173
・「一年以上にわたってローマ軍を悩ませたアルキメデスだが、陥落時の混乱の中でも数学の問題を解くのに熱中していて、彼と気づかなかったローマ兵の一人に殺された。マルケルスは、それを知ってひどく残念がったということである。」中巻p.182
・「だが、このエピソードはローマ人の心の中に後々まで残り、子供を叱るときに母親は、「戸口に、ハンニバルが来ていますよ」と言うようになる。」中巻p.185
・「私には、アレクサンダー大王の最も優秀な弟子がハンニバルであるとすれば、そのハンニバルの最も優れた弟子は、このスキピオではないかと思われる。」中巻p.198
・「ハンニバルとスキピオは、古代の名将五人をあげるとすれば、必ず入る二人である。現代に至るまでのすべての歴史で、優れた武将を十人上げよと言われても、二人とも確実に入るにちがいない。歴史は数々の優れた武将を生んできたが、同じ格の才能をもつ者同士が会戦で対決するのは、実にまれな例になる。そのまれな例が、ザマの戦場で実現しようとしていた。」下巻p.62
・「そして、日本人である私にとってとくに興味をひかれるのは、ここには勝者と敗者しかいないという事実である。正義と非正義とに分けられてはいない。ゆえに、戦争は犯罪であるとは言っていない。」下巻p.87
・「第二次ポエニ戦役終了後の「第一人者」に選ばれたのは、34歳のスキピオだった。元老院は、この救国の英雄に、アフリカヌスという尊称を贈るとともに元老院内での「第一人者」にすることで報いたのだが、こうも若い「第一人者」はやはり異例だった。しかも、これ以後のほぼ15年間のローマ元老院の外政は、このスキピオ・アフリカヌスの主導で進むのである。」下巻p.96
・「スキピオは、戦術家としてならば、ハンニバルに大きく一歩を譲ったかもしれない。だが、政治家としてならば、彼のほうが上であったと私は思う。」下巻p.134
・「地中海は、ローマ人にとって、「われらが海(マーレ・ノストウルム)」になったのだ。」下巻p.206
・「歴史を書く作業は、歴史と斬り結ぶことだと思う。自らの全知能と全存在を賭けて、決闘することであるとさえ思う。」下巻p.iii

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4 コメント

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全ての道はオートバックスに通ず...って巨人の中畑がcmで言っていた (うし)
2006-11-30 00:22:16
クリスマスコンパ用の五重奏の練習帰り
バスの乗り継ぎ時間つぶしにブックオフへ
100円で買い読みました
塩野七尾
「何で日本人女性がローマを語るのだろうか?」
と昔から訝しげに思っており
読まず嫌いしてましたが
ここまでとは思わなかったです
フィクションなのかと思うくらいの
鮮やかな史記

いや~教えてくれてありがとう
返信する
> 中畑 いつの話だよ・・・ (ぴかりん)
2006-11-30 19:07:47
> 塩野七尾
しおのななび??

このブログがお役にたてたようで何よりです。
オススメ本あったら教えてね~
返信する
オススメ本 (うし)
2006-12-01 00:01:03
オススメされて役に立ちました
禁煙セラピーでしたが

著者のアレン・カー死んだよ

肺がんで...........

返信する
ええー!? (ぴかりん)
2006-12-01 18:30:36
http://www.allen-carr.jp/goodbye_allen.html

ホンマや。。。ご冥福をお祈りします。
返信する

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