プロ家庭教師の技, 丸谷馨, 講談社現代新書 1678, 2003年
・これまで家庭教師の世話になったことも無く、家庭教師のアルバイトをしたこともなく、家庭教師とは無縁の人生です(強いて言えば大学生のころ母親の看護学校受験時に数学を教えたが・・・)。今から思うと、学生時代にやっておきたかったですね。
・家庭教師稼業はもっとのんびりほのぼのしたイメージでしたが、本書で紹介される事例は大変そうなものばかり。やはり記事にするのだから平凡な事例を載せてもつまらない、ということと、首都圏と田舎(北海道)の受験に対する温度差もあるようです。
・著者の肩書きはノンフィクション作家で、もともと家庭教師業界とは無縁の人物。インタビューが豊富で、広く足を使った取材をしたことが伺え、ルポだとかノンフィクションとよばれる読み物として、いい仕事していると思います。
・「男子より女子に対してのほうが繊細な部分に気を遣い、励まし方一つとっても10人いたら10通りの、その子に合った言葉を選び指導法リストを作成する。」p.15
・「生徒とは音楽のCDの貸し借りを積極的にし、流行にも敏感に対応することで意思疎通をはかり、合格後は必ず生徒が望む場所で食事会をする。」p.19
・「一歩ずつでも理解させ、分かれば点がとれて、学校生活も楽しくなるという好循環へ導くことができるかどうか。家庭の協力が不可欠ですね。プロの家庭教師には高い授業料を払っているという意識が心の根底にあって、それがイコール即効果が現れると思われがちなのが、この仕事のつらいところです」p.21
・「推薦するのは演習が基本の『チャート式』(数研出版)。受験直前には各大学入試の過去問題集の新年度版。経験上、数研出版がイチオシで、教師用のプリント作成ソフトのダウンロードサービスも活用したりする。」p.28
・「生徒の学力を推し量るには模擬試験等の結果を参考にしたり、細かなところでは生徒の学校のノートや教科書を見て、落書きをしている子は授業に集中していないとか、文字の書き方、ノートのとり方などから状況、性格まで判断する。」p.29
・「つまずきの共通項として、幼いころから本に親しんでいないために、すべての教科において読解力がないことを挙げる。」p.29
・「斎藤さんはそういった不登校の生徒を担当してから、心理学、カウンセリングについての本などをもとに学び得た結論が、「これといった解決法はない」ということだった。」p.41
・「表現を変えれば、学校の教師に見捨てられ、塾や予備校教師にも見捨てられた子の行く先は、家庭教師以外にないという現実がある。」p.54
・「家庭教師もまた、どんな環境下にある生徒でも根気よくつき合いながら、よい点を引き出して褒めるといった手法が成果をあげている実例が多い。」p.55
・「自助努力と責任感を養うため、まずは規則正しい生活習慣をつけさせるのが一番の近道と、神田さんは生徒に学習記録帳を持たせ、生活面での立て直しをはかる。」p.59
・「経験上成績が芳しくない生徒は、共通して勉強をする習慣ができていない。また、生徒本人がなんのために学習しているのか、将来の目標すら人任せで、人生に対する自己責任がともなっていない点をあげた。」p.61
・「梅原一郎君(同21)は三浪していて、半ノイローゼ気味。しかも、時々家庭内で暴力をふるっていた。「家庭教師代は高いけど、一郎は一人息子なので、ウチにあるお金をぜんぶつぎ込みますから、なんとか……」と両親は床に額をつけ懇願した。 だが、「もし、これで合格できなければ一家心中します」とまでいわれ、さすがの大山さんも腰が引けた。」p.75
・「生徒がつまずく箇所を、瞬時に無駄なく、どこまで遡れば理解できるかを見極められることが、すぐれた家庭教師の資質であり、一つのことを理解させるのに五時間かける家庭教師と、一時間ですむ家庭教師とでは授業料にも影響する。」p.80
・「受験勉強は記憶を中心に左脳に偏りすぎています。疲労をともなわない身体運動や音楽を採り入れて、アートを掌る右脳とのバランスのよい使い方をして、直観力、冴え、集中力を高めることができたら理想ですね」p.86
・「たとえば10個の漢字を10日間でおぼえるとするなら次にどの方法を選んだらよいだろうか?
A:一つの漢字を、一日10回書いて10日続ける
B:一日に10個の漢字を、一回書いて10日続ける
実は多くの実験データからすると、AよりBのほうが効果があるとされる。」p.99
・「前出の大山輝彦さんの時給は一万円。年収はおよそ1500万円と、日本の家庭教師の中ではトップクラスであり、派遣会社の看板教師といったところだ。」p.104
・「独学が可能だった時代でもありますが、冷静に分析すれば無駄と遠回りをしていました。仮に家庭教師に指導してもらえたなら、どこが重要な箇所か、要領やコツがよくつかめて効率は断然違っていたでしょう。」p.121
・「もともとできない子はいないと思う。ちょっとしたきっかけでサボってしまい、だんだんついていけなくなり、その先を簡単にあきらめてしまって、できないと思い込んでしまうんです。」p.125
・「足し算と引き算ができて、九九の掛け算が自在になり、割り算ができて文章問題もこなせるようになれば、算数が得意科目となり勉強嫌いが解消できるといっても過言ではない。」p.137
・「すべてのつまずきの根底には、人生に疑問を持たない幼児性がある。人生とは何だろう、といった漠とした疑問をもつことは決してマイナスではない。」p.144
・「参考書や問題集を購入する際は、基本的に本の奥付の日付が新しいものを選ぶ。」p.159
・「自分をコントロールできる子どもは家庭教師は必要としないだろう。家庭教師を必要とするのは、放っておくとサボる子である。」p.175
・「派遣会社はトラブルの際の保険機能を備えるほか、教材の無料配布等の各種サービス、あるいは進学に関する最新情報を得られるなどの利点があり、近年は直接交渉による家庭教師の数は激減している。」p.184
・「ちなみに右の問題の正解は②。中立性を保ちながら長期的視野で生徒、家庭に接するバランスある態度が求められるとの理由からである。」p.186
・「ただし、家庭教師だけのマンツーマン教育にも、競争心、つまりやる気が起きないという弱点のあることを古川氏は認めている。」p.187
・「無論、怠惰な学習姿勢はたしなめなくてはならない場合もあるが、一週間に数回、二時間程度の指導をしたところで、現実には急激な成果は期待できない。ポイントは指導時間以外の次回指導時までに、どれだけ生徒本人に自主的に勉強させるか、どれだけ学習に興味を持たせられるかといった技量が家庭教師に問われている。」p.207
・「学習に対する意欲がない子は、家庭に何らかの問題を抱えている。」p.210
・「特殊な学習法、教材などは一切いらない。(親が)ただ一緒に付き合うだけでいい。 それだけで子どもはつまずかないのである。」p.211
・「責任を他人に転嫁せず、教材もなるべく家庭にあるものを使う。その結果、子どもの学習意欲が芽生え、指導日が待ち遠しいといった姿勢が見られるようになれば、その家庭教師はよい家庭教師である。」p.215
・「ある英語の家庭教師がパソコン以外に、実際の指導に欠かせない七つ道具をあげた。 ①電子辞書・事典 ②画像撮影機能付き携帯電話 ③ICレコーダー ④ストップウォッチ&タイマー ⑤生徒の学習記録ノート ⑥英字新聞・英字雑誌 ⑦DVDプレーヤー」p.217
・「子どもにとっての家庭教師は社会との接点であり、親とは違った第三者である。 どんなに信頼感があり親密さが増しても第三者であることに変わりはない。その人に見つめられていることが大事なのである。人間が人間を思いやり、教え、教えられ、触れ合うことが家庭教師のみならず、教育者の原点である。」p.223
・「彼らが信仰するユダヤ教は宗教であると同時に生活規範でもある。子どもの頃から聖書(旧約)、タルムード(律法)の学習、記憶が日常生活の一部としてあり、13歳の時に受ける成人式ではラビ(坊さん)の前で膨大な量のタルムードを暗唱しなければならない。大人になる頃には聖書を隅々まで暗記している人も珍しくない。こうして成長期に負荷をかけることで暗記する術を身につけ、脳に巨大な記憶スペースができる。」p.224
・「善悪はともかく、日本の受験体験はある種の優秀な獲得形質を生むのではないだろうか。」p.225
・「普段から「勉強しなさい」とは口うるさくいうが、感情が先に立ち子どもと共に学習できない親の姿勢が根本問題にある。」p.225
?ことてん【事典】 (「事典(じてん)」を「辞典(じてん)」と区別するために言い出した語)百科事典などのように、ことがらの説明を中心とした辞書。
?ことばてん【辞典・言葉典】 (「辞典(じてん)」を「事典(じてん)」と区別するために言い出した語)国語辞典や漢和辞典のように、ことばの意味や用法などの説明を中心にした辞典。事典と区別していう。
・これまで家庭教師の世話になったことも無く、家庭教師のアルバイトをしたこともなく、家庭教師とは無縁の人生です(強いて言えば大学生のころ母親の看護学校受験時に数学を教えたが・・・)。今から思うと、学生時代にやっておきたかったですね。
・家庭教師稼業はもっとのんびりほのぼのしたイメージでしたが、本書で紹介される事例は大変そうなものばかり。やはり記事にするのだから平凡な事例を載せてもつまらない、ということと、首都圏と田舎(北海道)の受験に対する温度差もあるようです。
・著者の肩書きはノンフィクション作家で、もともと家庭教師業界とは無縁の人物。インタビューが豊富で、広く足を使った取材をしたことが伺え、ルポだとかノンフィクションとよばれる読み物として、いい仕事していると思います。
・「男子より女子に対してのほうが繊細な部分に気を遣い、励まし方一つとっても10人いたら10通りの、その子に合った言葉を選び指導法リストを作成する。」p.15
・「生徒とは音楽のCDの貸し借りを積極的にし、流行にも敏感に対応することで意思疎通をはかり、合格後は必ず生徒が望む場所で食事会をする。」p.19
・「一歩ずつでも理解させ、分かれば点がとれて、学校生活も楽しくなるという好循環へ導くことができるかどうか。家庭の協力が不可欠ですね。プロの家庭教師には高い授業料を払っているという意識が心の根底にあって、それがイコール即効果が現れると思われがちなのが、この仕事のつらいところです」p.21
・「推薦するのは演習が基本の『チャート式』(数研出版)。受験直前には各大学入試の過去問題集の新年度版。経験上、数研出版がイチオシで、教師用のプリント作成ソフトのダウンロードサービスも活用したりする。」p.28
・「生徒の学力を推し量るには模擬試験等の結果を参考にしたり、細かなところでは生徒の学校のノートや教科書を見て、落書きをしている子は授業に集中していないとか、文字の書き方、ノートのとり方などから状況、性格まで判断する。」p.29
・「つまずきの共通項として、幼いころから本に親しんでいないために、すべての教科において読解力がないことを挙げる。」p.29
・「斎藤さんはそういった不登校の生徒を担当してから、心理学、カウンセリングについての本などをもとに学び得た結論が、「これといった解決法はない」ということだった。」p.41
・「表現を変えれば、学校の教師に見捨てられ、塾や予備校教師にも見捨てられた子の行く先は、家庭教師以外にないという現実がある。」p.54
・「家庭教師もまた、どんな環境下にある生徒でも根気よくつき合いながら、よい点を引き出して褒めるといった手法が成果をあげている実例が多い。」p.55
・「自助努力と責任感を養うため、まずは規則正しい生活習慣をつけさせるのが一番の近道と、神田さんは生徒に学習記録帳を持たせ、生活面での立て直しをはかる。」p.59
・「経験上成績が芳しくない生徒は、共通して勉強をする習慣ができていない。また、生徒本人がなんのために学習しているのか、将来の目標すら人任せで、人生に対する自己責任がともなっていない点をあげた。」p.61
・「梅原一郎君(同21)は三浪していて、半ノイローゼ気味。しかも、時々家庭内で暴力をふるっていた。「家庭教師代は高いけど、一郎は一人息子なので、ウチにあるお金をぜんぶつぎ込みますから、なんとか……」と両親は床に額をつけ懇願した。 だが、「もし、これで合格できなければ一家心中します」とまでいわれ、さすがの大山さんも腰が引けた。」p.75
・「生徒がつまずく箇所を、瞬時に無駄なく、どこまで遡れば理解できるかを見極められることが、すぐれた家庭教師の資質であり、一つのことを理解させるのに五時間かける家庭教師と、一時間ですむ家庭教師とでは授業料にも影響する。」p.80
・「受験勉強は記憶を中心に左脳に偏りすぎています。疲労をともなわない身体運動や音楽を採り入れて、アートを掌る右脳とのバランスのよい使い方をして、直観力、冴え、集中力を高めることができたら理想ですね」p.86
・「たとえば10個の漢字を10日間でおぼえるとするなら次にどの方法を選んだらよいだろうか?
A:一つの漢字を、一日10回書いて10日続ける
B:一日に10個の漢字を、一回書いて10日続ける
実は多くの実験データからすると、AよりBのほうが効果があるとされる。」p.99
・「前出の大山輝彦さんの時給は一万円。年収はおよそ1500万円と、日本の家庭教師の中ではトップクラスであり、派遣会社の看板教師といったところだ。」p.104
・「独学が可能だった時代でもありますが、冷静に分析すれば無駄と遠回りをしていました。仮に家庭教師に指導してもらえたなら、どこが重要な箇所か、要領やコツがよくつかめて効率は断然違っていたでしょう。」p.121
・「もともとできない子はいないと思う。ちょっとしたきっかけでサボってしまい、だんだんついていけなくなり、その先を簡単にあきらめてしまって、できないと思い込んでしまうんです。」p.125
・「足し算と引き算ができて、九九の掛け算が自在になり、割り算ができて文章問題もこなせるようになれば、算数が得意科目となり勉強嫌いが解消できるといっても過言ではない。」p.137
・「すべてのつまずきの根底には、人生に疑問を持たない幼児性がある。人生とは何だろう、といった漠とした疑問をもつことは決してマイナスではない。」p.144
・「参考書や問題集を購入する際は、基本的に本の奥付の日付が新しいものを選ぶ。」p.159
・「自分をコントロールできる子どもは家庭教師は必要としないだろう。家庭教師を必要とするのは、放っておくとサボる子である。」p.175
・「派遣会社はトラブルの際の保険機能を備えるほか、教材の無料配布等の各種サービス、あるいは進学に関する最新情報を得られるなどの利点があり、近年は直接交渉による家庭教師の数は激減している。」p.184
・「ちなみに右の問題の正解は②。中立性を保ちながら長期的視野で生徒、家庭に接するバランスある態度が求められるとの理由からである。」p.186
・「ただし、家庭教師だけのマンツーマン教育にも、競争心、つまりやる気が起きないという弱点のあることを古川氏は認めている。」p.187
・「無論、怠惰な学習姿勢はたしなめなくてはならない場合もあるが、一週間に数回、二時間程度の指導をしたところで、現実には急激な成果は期待できない。ポイントは指導時間以外の次回指導時までに、どれだけ生徒本人に自主的に勉強させるか、どれだけ学習に興味を持たせられるかといった技量が家庭教師に問われている。」p.207
・「学習に対する意欲がない子は、家庭に何らかの問題を抱えている。」p.210
・「特殊な学習法、教材などは一切いらない。(親が)ただ一緒に付き合うだけでいい。 それだけで子どもはつまずかないのである。」p.211
・「責任を他人に転嫁せず、教材もなるべく家庭にあるものを使う。その結果、子どもの学習意欲が芽生え、指導日が待ち遠しいといった姿勢が見られるようになれば、その家庭教師はよい家庭教師である。」p.215
・「ある英語の家庭教師がパソコン以外に、実際の指導に欠かせない七つ道具をあげた。 ①電子辞書・事典 ②画像撮影機能付き携帯電話 ③ICレコーダー ④ストップウォッチ&タイマー ⑤生徒の学習記録ノート ⑥英字新聞・英字雑誌 ⑦DVDプレーヤー」p.217
・「子どもにとっての家庭教師は社会との接点であり、親とは違った第三者である。 どんなに信頼感があり親密さが増しても第三者であることに変わりはない。その人に見つめられていることが大事なのである。人間が人間を思いやり、教え、教えられ、触れ合うことが家庭教師のみならず、教育者の原点である。」p.223
・「彼らが信仰するユダヤ教は宗教であると同時に生活規範でもある。子どもの頃から聖書(旧約)、タルムード(律法)の学習、記憶が日常生活の一部としてあり、13歳の時に受ける成人式ではラビ(坊さん)の前で膨大な量のタルムードを暗唱しなければならない。大人になる頃には聖書を隅々まで暗記している人も珍しくない。こうして成長期に負荷をかけることで暗記する術を身につけ、脳に巨大な記憶スペースができる。」p.224
・「善悪はともかく、日本の受験体験はある種の優秀な獲得形質を生むのではないだろうか。」p.225
・「普段から「勉強しなさい」とは口うるさくいうが、感情が先に立ち子どもと共に学習できない親の姿勢が根本問題にある。」p.225
?ことてん【事典】 (「事典(じてん)」を「辞典(じてん)」と区別するために言い出した語)百科事典などのように、ことがらの説明を中心とした辞書。
?ことばてん【辞典・言葉典】 (「辞典(じてん)」を「事典(じてん)」と区別するために言い出した語)国語辞典や漢和辞典のように、ことばの意味や用法などの説明を中心にした辞典。事典と区別していう。
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