りょうちゃんの小笠原村議員日記

サーファーでありカヤッカーでありエコロジストである清水良一の議員活動の日記です。

令和3年第1回定例会 一般質問

2021-04-10 11:54:36 | 日記

プーラン村からジャングルをひたすら降りていくとコペペビーチというかわいい名前のビーチに到着できる。最近このビーチの休憩所の工事が行われ、完成したわけだが休憩所の屋根にはプラスチックのシュロが葺かれていた。戦前の家の屋根はほとんどが小笠原ビロウという固有種のシュロで葺かれていたそうで本土では茅葺そして小笠原より南ではヤシの葉で屋根を葺くそうだがシュロ葺きの屋根は小笠原の希少な文化だと思う。

〇令和3年第1回小笠原村村議会(定例会)一般質問 要約版

シュロ葺き屋根について

清水 戦前の小笠原の写真や絵等を見るとシュロで葺いた屋根が小笠原の原風景となっている。返還後、小笠原にある公園等の休憩所にはシュロブキの屋根が葺かれ小笠原の風景を作ってきた。昨今この屋根にプラスチックのシュロ風屋根が使われている。海のプラスチックごみが問題になっている中SDGS推進の上でも逆行した施策ではないか。

①今後シュロブキ屋根を生きた文化として存続させていくつもりはあるか?

②域公園の休憩所は都の管轄だが魅力ある景観を作りのための連携は?

③プラスチックのシュロや擬木について減らす意思はあるのか?

④母島のロース記念館や前浜のゲゲゲハウスの屋根の修理が待ったなしとなっているが、

農業者と連携してビロウの葉の確保や技術を継承するためのワークショップ、作業映像の活用を考えてみては?

教育長 ①④ビロウを用いた建物の変化を含めた歴史的事実として資料を保存し、後世に引き継いでいきたい。ロース記念館の屋根についてはシュロ葺きを第1に検討。ワークショップ、作業映像の活用は意見として受ける。

産業観光課長 ②④都からの情報提供はなかったが今後意見交換はしていきたい。農業者との連携は考えていない。

環境課長 ③村として取り組むべき課題だと認識している。

村長 シュロ葺き屋根が小笠原の文化だとしたならば、きちんと伝承していかなければ意味がない。考える時間をいただきたい。

清水議員 コロナ禍の3密を回避しワーケイションを行う場所としてシュロ葺き屋根のオープンスペースは有効、小笠原の生きた文化として次世代に継承していけるようにお願いしたい。

 

〇海域公園の管理は東京都の管轄になっているので支庁産業課にもヒヤリングに行った

支庁産業課長ヒヤリング    3月10日14:00

1,海域公園にある休憩施設   40ヶ所程度あるとのこと

2,天然ビロウで葺かなくなった理由

  • 世界自然遺産となってからビロウの葉が集めにくくなった。
  • 職人が現在母島に一人しかいなくなった。

3,ゲゲゲハウス等代表的な休憩施設についてはビロウで葺いていく方針

4,コペペビーチ  平成8年にビロウで葺いたとのこと

5,ゲゲゲハウス  平成14年に葺いて平成17年火事になった品川建設が葺いたそうだ。

6,10年前の設計書がないとのこと。

 

<国有林からのビロウ葉の採取について(国有林課長ヒア)>

小笠原諸島森林生態系保護地域保全管理計画2(1)①によると、地域振興上必要で、かつその生育に支障がなく生態系に悪影響を及ぼさない範囲でビロウの葉は採取可能であり、コアゾーンからも採取可能とのことです(説明が食い違い申し訳ありません)

ただし、基本はバッファゾーンからの採取を優先し、これで賄いきれない場合はコアゾーンからの採取をすることとなります。

また、ビロウ葉の採取には林野庁の修復委員会などの審議を経なければならず、採取量は樹勢の衰えない範囲とされており、管理計画では何枚まで葉を取って良いのかは示していませんが、1株あたり最大で6枚程度をローカルな運用としているそうです。

(小さい株からは6枚も採れないそうです)

 

 

<美幸ノ浜のビロウ屋根の工事費>

・28年度の改修の際は村有地からのビロウ葉の採取であったため無料だとの事です。

ただし採取に伴う人件費(手間)は掛かっています(約2000枚)

〇村有地からの採取運搬手間   約50万円

(国有林から採取すると一株当たり採取量が少ないのでもっと高いと思います)

〇葺き手間(足場工含む)     約150万円

※上記金額は直接工事費です。各経費(請負業者の利益や安全対策など)を含め

ると1.8~2倍程度の工事費になります。

※ロース記念館のビロウ葺屋根の改修では、国有林からの採取もする予定だそうです

(国有林課からの情報)

 

<小港園地のビロウ葺き屋根>

小港園地の休憩舎のビロウ屋根は、直接工事費で約280万円でした。

一式で見積もっているので、このうちビロウ葉の採取がいくらなのかは定かでは

ありませんが、御幸ノ浜の2倍近い金額です。

面積はほぼ同じですが、葉っぱ採取の費用が高くついたものと思われます。

<プラスチィックのヤシ葉について>

・景観面を考えて採用してみましたが、強風で破れるなどした場合、プラスティックゴミ

になる可能性も否定できませんので、今後はやらないことにします。

 

生きるために必要な最低限のもの、食べ物や住居は、その土地にあるものをその土地で使う。これが未来のスタイルだと思う。SDGS推進の上でも重要なことだと感じる。特に小笠原でのワーケーションにはシュロ葺きのオープンスペースの休憩小屋でタブレット端末による仕事がおすすめだ。温暖化に拍車をかけるエアコンを使わずに気持ち良い環境がシュロ葺き小屋だと確信する。