こんにちは~、マリーで~す。うちのおばはんはねえ、なんかぼんやり考え事ばかりしちゃってて、今日は朝から全然仕事が進まないのよ。ご飯だけは二人前も食べてるから具合が悪いんじゃないらしいんだけど、どうなっちゃってるのかしらねえ。
なんかさあ、昨日ニュースで小さい子供に劇薬入りの目薬を点眼して大怪我をさせた人が捕まったニュースがあったじゃない、それを読んでだいぶショックだったみたいよ。だって犯人は実のお母さんとお母さんの男友達じゃない。おまけにお母さんも嫌がる子供を押さえつけて手伝っていたってもう最悪よね。
このごろ、ひどい事件がいやに目に付くと思わない。この前の子供を刺した通り魔は捕まったけどさ、この犯人も日ごろから犬猫いじめを繰り返してたんでしょう。動物園のサル山に花火を投げ込んでサルさんたちを火傷させた犯人はまだ捕まっていないじゃないの。自分の子供を虐待する親の話はたくさんあるし、歳をとってぼけたり、動けない親を虐待した実の子のニュースもたくさんあるし、弱いもの、口のきけないものをいじめる話が多すぎるじゃないの。
まったくいったい世の中どうなってしまったのかって、うちのおばはんでさえ考えこんじゃってるのよ。『絆』って言葉の意味がわかっていてこの言葉を選んだかなんだか、なんというかわけがわからない時代よ。動物の世界でも生存競争で自分の遺伝子を多く残すためによその子を殺したり食べちゃったりする現象があるけど、今の日本て動物たちの生存競争並みの世界だってことかしら。人間らしい思いやりとか、気持ちのゆとりはどこへ行っちゃったのかしらって、あの人、一人で考えてもどうにもならないことで頭を痛めているんだわさ。
この間からあの人、『異人たちとの夏』っていう昔の映画を何回も繰り返してみてるの。臆病で怖がりだから、ホラー物は大嫌いなうちのおばはんがよ。なぜかっていうと怖い場面もあるけど、主人公がたった12歳の時に交通事故で死に別れてしまったお父さんとお母さんに再会して両親の暖かさに癒されていくところを見ると、おばはん自身も自分の両親を思い出したのね。幽霊は怖いけど、幽霊でもいいから会いたい人がいるとしたら、やっぱり親じゃないの。(正常な家庭の正常な親子ならかもしれないけど)
自分の子供の目に劇薬目薬をさしたりするクレージーな親でも親は親だけどさ、本来の正しい普通の親はそんなバカなことはしないわよ。本来なら親だけは子供の存在を絶対否定しないで受け入れてくれるものじゃないの? だからこどもは安心感や暖かさに包まれてちゃんとした人間に育っていくんじゃないの? そうするとこの事件、子供の親たちがちゃんと育っていないってことじゃないの。これって本当は大変な問題なんじゃないかしら。
これってたぶん、日本のカトリック教会の召し出しが少なくなったことと深いところの原因はおんなじだと思うのよね。経済性や利益中心の世界で、大事なものがなくなっちゃってるんだわ。どうしたらいいのか、うちのおばはんもあたしもわからないんだけど、みんなこの話どう思う? 考えてみてほしいな。
ほんじゃ、またね。