「パッパは『じいや』?」と尋ねられたこともあったが、パッパはまさにゴッドファーザーであった。10月15日、ゴッドファーザー・パッパの最後のお別れの儀式が粛々と執り行われた。
★お別れの1曲目
カール・ベーム指揮、モーツァルト『レクィエム』。これ以外の演奏は考えられない。パッパはかつて言ったものだった。「この曲を聞くと、(王国の)誰かが死ぬ。だから、好きだけれど聴けない」
パピユが突然死した時は、この曲を大音量で聞き、音と涙に浸ったものだった。ヴィヴィもやはりこの曲を聴いたあとで亡くなったのだった。
★お別れの2曲目
ムーティ指揮、モーツァルト『レクイエム』のCDより 『アヴェ・ヴェルム・コルプス』
★最終曲
ムーティ指揮 『ニーノ・ロータ映画音楽集』より『ゴッドファーザー』
ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
儀式は進み、いよいよ最後のお別れに、棺の中を花で埋めていく。顔の周りは80本の薔薇の花が。バート・イシュルのトラハト(民族衣装)を掛け、シュタイリッシァー・フート(黒地に深緑のリボンを巻いた、シュタイヤーマルク州の帽子)を胸に乗せる。帽子にはローテ・ローゼ、真紅の薔薇。パッパの研究を象徴する赤、黒、緑のオーストリアン・カラー。
弔問に駆けつけてくれたグロ、イナリ、ザクの文鳥3羽(鳥問客?)の寄付してくれた羽。パピユ、ヴィヴィをはじめとする王国の皆さんの写真や文鳥イラスト。まだその上から、これでもかこれでもかとばかりに大量の花。最期にムジークフェラインのポスターが掛けられる。
喪主である乳母やによって最期の花束が入れられるという時、くしくも流れ始めた音楽は『ゴッドファーザー 愛のテーマ』。あまりにもできすぎのタイミングだった。きっと「名プロモーター」の異名をとったパッパが仕組んだことだったのだろう。
このシチリアーノを耳にして、乳母やの脳裏にはパッパとの楽しい思い出が駆け巡る。ちょうど、映画でマイケルがこの曲を聞いてシチリアで結婚式を回想するように。そしてこらえられなくなり、手にした花束に顔をうずめて泣いてしまった。
準備が出来ていよいよ蓋をするという時は、『ゴッドファーザー・ワルツ』が流れ、パピユ王国のゴッドファーザーにふさわしい最後のお別れとなった。
このようにゴッドファーザー・パッパの遠隔操作によって、一連のお別れの式が終わった。最後の最後まで憎い演出をする男、それがパッパであった。
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