カンヌ映画祭グランプリ作品。
なので、公開後早めに観に行こうと決めていたが、なかなか足が向かない…
仕事後に、凄惨な状況を描くアウシュビッツ映画を観る気分には、とても なれないのだ!(笑)
結局、かろうじて日曜の仕事帰りに、やっと鑑賞。
オープニングでまず説明が。
主人公サウル(写真)は ゾンダーコマンドと呼ばれる「特殊チーム」の一員。
「特殊チーム」といってもとんでもない 驚愕のチーム。
ナチスの手先となって、大混雑するユダヤ人虐殺を実行する毒ガス室の運営係!
同胞を次々と誘導し、裸にさせ、ガス室に送り込み、阿鼻叫喚が治まった後は焼却、灰を捨てる。
これが次々と反復される日々…
こんな「狂気」
これまで到底描けなかっただろう、が遂に、という感覚…
20世紀中には、とても映画のメインテーマとしては 描けない、あまりの事実。
さて、それを どうやって描いたか。
あくまでも主人公にフォーカスを当て、周りはピンが合ってない。
なので、大量の死体も何も、悲惨・凄惨を極める周囲は何となくしか解らない構造。
新人監督にもかかわらず、何て狡猾な手法だ!!!
そして始まる物語は、予想外の展開に…
以下、ネタばれかつ当ブログの解釈が入るので、10行ほど改行。
主人公サウルは、狂気の環境の中で 自分の正気を保つために止むなく、自作自演の物語をでっち上げた。
「息子」など、実は存在していなかった。
そう、この物語は、狂気 ↔ 正気 の間を画く映画なのだ...
だからこそ、あのエンディングとなる。