開業して30周年!でしたね?
私たちも年を重ねましたが、患者さん方も一緒です。
この2日ほど続けて、久しぶり?に87歳?の、男性の患者さんKさんがお見えになりました。
以前はさっさか歩いて診療室に入られていましたが、今回はゆっくりゆっくり歩かれます。
私はすぐKさんの両手をとって治療台に案内します。
「お手手つないで!だねぇ!」と、Kさんは楽しそうに言われます。
「入れ歯の調子が悪くて噛めないです。」
お口の中は入れ歯をかけていた歯があちこち欠けて入れ歯が不安定に・・・
ああ・・・とりあえずなんとかかめるようにしなければ!
順を追って治療していたら数日はかかる。どうしよう・・・
私の心の中のどこかのスイッチがONになり・・・浪花節的な男気(あれ?女気かな?)が沸き立ち、燃えてきます。まるで高速湯沸かし器みたいに。
「何とかします!」私は大学病院では義歯の教室にいたので、入れ歯は大好き!
無い頭でぐるぐる考え、治療にかかります。そうです。何とかするんです。
もちろん、時間はKさんだけに一時間以上かけたかな?こんな時です。主人と二人で診療している強みは!
私は没頭して治療します。そして・・・
はい、何とかできました。
Kさんが言われました。
「上等じゃ!」
「はい、よく言われます」と、答えて二人で大爆笑!!
帰り際、また、お手手つないで待合室に行く時、
「Kさん。今日はどのようにしてここへ来られましたか?」
おぼつかない足取りを心配して、私が尋ねます。
「自転車できました!」
「ひえ~~~っ?本当ですか?」
「はい、本当は飛行機で来ようと思ったのですが、ここには飛行場(滑走路)がないので、仕方なく自転車で来たんです。」
聞いていたスタッフ共々大爆笑!!
はい座布団3枚ね!!
素晴らしいですね。以前から、Kさんはいつもユーモアにあふれ、明るく楽しく私たちを励ましてくださいました。
87歳になられても、そのセンスはますます磨かれているようです。
そういえば、私のことを「スカッとさわやかコカ・コーラさん!」と、呼んでくださっていました。
(こら、笑ったらいかんよ!事実と違うって!)
私はただただ感謝よね。
ふつーのおばさん歯医者に、ガンバローって元気が出てくるもの。
話は元に戻り、自転車でみえるのは本当かしら?と、心配な私は、こっそりと帰られる様子を見届けることにしました。
ホントに、自転車でみえている!!
カギを取り出し、解除しようとされるのですが、うまくいかないようでした。
私がしてみますね!と、思わず飛び出し、力いっぱい数回押してみると、ガチャンとうまくいきました。こりゃ、ものすごく力が要りますね!
うちのほんの目の前に信号付きの横断歩道があるのですが、そこまで行くのに、時間がかかる。2回、青信号をやり過ごし・・・3回目の青信号を、気持ちは小走りに?自転車を押していかれました。
信号がもう黄色を越して赤になるが!というところでやっとその横断歩道を渡り切られてから・・・
おもむろに自転車にまたがり、よいしょと、ペダルを踏んで・・・本当に自転車に乗って・・・帰られたのでした。・・・・
ほお~~~っ!!すごい!Kさん。感動モノでしたね。
こんなことがあるから、歯医者はやめられませんね!
いや~~~、何もかもよかったです。はい。