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大阪の東南部に位置する人口10万ちょっとのごく普通の町、富田林。その魅力を、市民の手で発見していきます。

高貴寺の紅葉

2013年12月05日 | 紅葉

2013.11.30. 6:30 南河内郡河南町平石 神下山高貴寺

高貴寺は、南河内郡河南町平石にある真言宗のお寺で、山号は神下山。開山は役 小角(=役行者)で、文武天皇の勅願によるといわれており、神下山香花寺と称しました。弘仁年間に空海が来住した際、高貴徳王菩薩の示現を見たため、高貴寺と改称したということです。

 

 

南北朝時代に、南朝の後醍醐天皇より北朝軍調伏の祈祷を命じられるなど南朝側につきましたが、元弘元年(1331年)の兵火により焼失しました。翌年に金堂が再建され、寺門六坊も復興しましたが、次第に衰微していったということです。

 

 

江戸時代になって、安永五年(1776)に慈雲尊者が入寺し大和郡山藩主柳沢保光公の帰依・支援を受け、堂舎を整備し、当寺を真言律と梵字修行道場とし、戒壇を設けて正法律の本山としました。明治維新期の神仏分離により、磐舟神社が分離されましたが、堂舎は難を逃れました。

 

 

現在、堂舎として、金堂、講堂、開山堂、学寮があり、奥院には弘法大師御影堂、慈雲の墓、後桃園天皇の御実母の開明門院御髪奉安塔、柳沢保光(尭山)の遺髪碑があります。 また、慈雲筆の「梵字津梁」一千巻を所蔵しています。

 

 

 江戸時代、真言律と梵字修行道場として、多くの修行僧が学び生活をしていたのでしょう。山門から本堂に 至る参道ですが、美しさのほかになにか張りつめたものを感じるのは私だけでしょうか...

 

 

 紅葉の直接的な美しさよりも、幽玄というか「なにかはかなさ」を感じさせる色づきです。厳しい冬の環境では、葉っぱを付けては生きてはいけない落葉樹の、やむえず葉っぱを落として耐え忍んでいこういう一大決心の結果の表れです。

 

 

 修行僧の道場として、江戸中期の梵字の大家 慈雲尊者は大和郡山藩主 柳沢保光公の支援で、堂宇を整備し、この寺を正法律の本山と定めました。この当時のものではないかもしれませんが、参道の左側に修行僧の学寮が今も残ります。保光公は慈雲尊者に深く帰依し、尊者の死後に保光が剃髪した際には、毛髪を高貴寺にある尊者の墓のそばに埋めました、 奥院にはいまも慈雲尊者のお墓のそばに、保光公(尭山)の立派な遺髪碑があります。

 

 慈雲尊者は、明治になって来日したフランス人のサンスクリット研究家シルヴェン・レヴィから高く評価され、梵字の世界的権威であることが後世わかりました。慈雲尊者は千巻にも及ぶ梵語研究の大著『梵学津梁』を著します。その内容は、原点に返り、密教で行われてきた梵字の呪術的解釈を排し、梵語の文法を研究して、梵文で書かれた仏教教典の原典の内容を正しく読解しようとするものでありました。

 

 

講堂(左)と本堂がみえます。ここから、奥院に登っていきます。奥は植林された針葉樹林で落葉樹は少ないです。

 

 

明治期の明星派の女流歌人、石上露子の没後50年を記念し、命日に当たる2009年10月8日に歌碑除幕式が行われました。晩年のゆかりの地である高貴寺に、石上露子(杉山タカさん)は2人の息子さんとともに永眠されています。なお、富田林の旧家 杉山家の菩提寺 西方寺(富田林市谷川町の浄土宗寺院)にも、墓碑にタカさんの銘がみえます。

 

 

 相当古い石橋ですね。奥院の入口にあります。

 

 

 奥院にいたるうっそうとしたの坂道に、一体の石仏があります。

 

 

 五輪塔や板碑に混じり、石上露子さんのお墓もこのあたりにあります。このお寺は真言宗における「律院」と呼ばれる修行を積むための道場でした。学僧がきびしい修業をし、学寮で寝泊りをして奥義を体得しようと一心不乱に努力したのでありましょう。奥院に至る坂道には、僧侶の墓や志半ばで惜しくも亡くなったと思われるような学僧の小さな五輪塔も見受けられます。

 

 

 寺域には花崗岩質の巨石や岩盤が見られます。このあたりは約1億年前に形成された領家火成・変成岩帯で断層による隆起で基盤が表面に露出している場所があります。

 

 

 奥院 弘法大師御影堂の手水鉢です。 

 

 

 奥院 弘法大師御影堂です。静寂の中にひっそりと慈雲尊者の墓、後桃園天皇の御実母の開明門院御髪奉安塔、柳沢保光公(尭山)の遺髪碑があります。

 

 

 下の駐車場で、視界が開けたところがありました。どうやら和泉山脈の岩湧山のようです。早朝に参拝しましたが、地蔵寺や弘川寺の散り際の華やかさでなく、高貴寺の真っ赤にならない、じわっと色づくような紅葉もいいなと思いました。

( 2013.12.5. HN:アブラコウモリH )


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