さあ~てと 帯しめましょか。

人生、山あり谷あり
向かうはわが身の置き場所よ。
帯締め、気を染め、往きましょか・・・  ~part 2~   

御所ことば

2009年05月26日 14時44分00秒 | 本・言葉・古文書/草書 

「おめでとうさん」

「お早うさん」

「ごきげんさん」

「お父さん」

「お母さん」

「おいもさん」

「お粥さん」

大阪では何でも、食べ物までにも「さん」をつけるんやなあ。

よくそう言われますが、普段、親しんで使っている言葉です。

 

東京はすべて、「おまちどうさま」「ごちそうさま」と折目正しく発音し、

「お早う」「おめでとう」にまで「さま」を付けず、つけるならば

「ございます」なのでしょう。

 

  民間 の挨拶           御所ことば

「お早う」「今日は」「今晩は」 → 「ごきげんよう」

これは、天皇に対しては「ごきげんさんよう」だと言います。

 

「お(ご)・・・さん」式の言葉は、“御所ことば”のまね。

「お(ご)・・・さま」が上品だと思うのはいなか者の律儀というものだ、

と、近世上方語辞典の編集者である元、大阪学芸大学教授前田勇

のエッセイを新聞で見つけた小林多計士氏が「ごきげんよう」という

本に本当にそうなのか・・ということを書かれていました。

 

(以下抜粋)

 作家・田辺聖子は『大阪ちゃらんぽらん』で、「さま」は東京の方言であると次のようにこともなげに言ってのける。

 ---もともと大阪弁には「サマ」はない。「サマ」はむしろ東京弁である。京都弁にも「サマ」はない。丁寧にいうときも「サン」である。

 大阪弁は京都弁から来ており、京都弁は御所ことばから来ているが、そもそも、宮廷の御所ことばに「サマ」がないのだ。(中略)

 京都弁・大阪弁の敬称「サン」は御所ことばが下々に拡まり定着したものであるらしい。「お父さま」「お母さま」などという言い方は、東京の方言であるのだ。大阪の子供に、こんなしつけをしたら切なさそうな顔をするにちがいない。 ---

       

 

 『竹取物語』『蜻蛉日記』で使われる「様」は、様子という意味で

使われています。ところが、『宇治拾遺物語』『源氏物語』には、

「さま」は方向や方角を表す言葉としても使われるようになります。

 この方角・方向を表す「様」がその後、貴人の名を直接に言うの

をはばかって、方角で「北の方」「東の御方」と呼ぶ時の「方」と同じ

使い方で、「御所様」「仙洞様」「女院の御方様」などと、貴人の

御殿に「様」を付けて呼ぶようになり、さらに、この「様」が御殿の

主に対する敬称となっていったようです。

 敬称としての様は、当初は貴人に対してのみだったのが親近感を

込めて呼ぶ時は「さま」を「さん」と訛って言うようになったらしいです。

 

 

 

『ごきげんよう 挨拶ことばの起源と変遷』

小林多計士:著

 

- 御所ことば(1)-

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2 コメント

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皇室での挨拶言葉が (忠太)
2009-05-26 23:15:22
「ごきげんよう」だというのは、テレビドラマの中だったか、あるいはドキュメンタリー番組だったかで知りました。後者だとすると、皇室の証言があったということになります。また、おかゆさんのように何にでも「さん」づけにするのも御所言葉のようです。これも同じ番組で知りました。
忠太さんへ♪ (obichan)
2009-05-27 16:43:42
いつもありがとうございます。

今は大阪でも「様」は割と耳にしますし、宛名書きでも使っているので、私は全く知りませんでした。御所ことば自体そんなに興味があったわけでもなく、「おじゃる」などというのが公家ことばぐらいしか知りませんでした。「さん」が御所言葉とは今回びっくりしました。あまり文献も一般では見ませんしね。

どおりで関西弁は全国で受け入れられるわけですね。
本当の意味を知ってる人は少ないとは思いますが。
言葉や語源を調べてると面白いです。

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