仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

うなぎ

2010年02月25日 | ムービー
『うなぎ』(1997年/今村昌平監督)を見た。
物語は、「1988(昭和63)年、妻・恵美子(寺田千穂)の不倫を密告する手紙を受け取った山下拓郎(役所広司)は、趣味の海釣りを早めに切り上げた夜、その現場に出くわす。逆上し、妻を何度も包丁で斬り付け、殺害してしまうのだった。8年後に仮出所した山下は、保護司・中島(常田富士男)の協力もあって、獄中で身に付けた資格を使い床屋を開業する。ある時、飼っているうなぎの餌を捕りに出かけ、藪の中で倒れている女・服部桂子(清水美砂)を見つけるものの、トラブルに巻き込まれたくないと思い・・・」という内容。
人間不信に陥り、うなぎにしか話しかけない男が主人公だが、初めて訪れた町であれほどすんなり地域に受け入れられば、社会復帰を果たすのも早いだろう。
もちろん本人の努力もあるが、運も左右するというわけだ。
また、仮出所中にはどんな些細なトラブルでもマイナスに働くのだろうから、いろいろなことに憶病になってしまう主人公の気持ちも解らないではないが、やはり見て見ないふりというのはマズイだろう。
(^_^;)
「どうせ誰も見ていないだろう・・・」等と考えてしまうと、きっと、その後に大きな影響を及ぼすことになる小さなヒビが心に入ってしまうのだ。
今村昌平監督はこの作品で、カンヌ映画祭において『楢山節考』(1983年)に続く2度目のパルム・ドールを受賞しとのことだが、確かにこれは面白い。
"事件が起きる瞬間の、その前もその後でさえも、時間はただただ淡々と流れていく"というのが、何か人の世の儚さを感じさせるのだった。