●くんとわたしのお人形遊びの続きに戻って、
前回の記事で説明した「」を見つける方法を紹介しますね。
↑の写真は、お茶犬ハウス(開くと3階建てのドールハウスになっています)とハムスターです。
●くんはこちらをチラチラうかがいながら
飛行機を飛ばしています。
「乗せてよ、乗せてよ」とハムスターに呼ばれても、
それに応える様子はありません。
「乗せてよ」という言葉が、飛行機の上にハムスターの乗せてブーンと旋回することだ
ということをイメージするのが
難しいのかもしれません。
それでも、こちらとハムスターの視線が飛行機を追っていることは
うれしかったようで、
遠くの棚の上に着陸させた時に、「飛行機はどこかな?乗せて、乗せて!」と言いながら、
ハムスターを飛行機のそばまで持っていくとうれしそうでした。
ここまでの話の展開で、
わたしは「●くんの課題」として心に留めておきたいことに気づきました。
それは、●くんよりもう少しコミュニケーションが上手な広汎性発達障がいの子らの
「乗せてよ」に対する対応です。
「乗せて!乗せて!飛行機に乗せて!」と言われると、
「いいよ~」と言って、ハムスターを飛行機に乗せて旋回してから、ハムスターをもとの場所に戻し、
しばらくして、「乗せて!乗せて!飛行機に乗せて!」と言われると
また「いいよ~」と気前よく言って、飛行機に乗せて旋回してくれるという
ワンパターンの頼みごとに応える形の遊びです。
これは、自由にコミュニケーションを取ったり、自分で考えながらごっこ遊びを
展開するのは難しいけれど、
わかりやすい決まったパターンで相手の頼みに応える形なら、
人と関わりながら遊ぶのが楽しいという子たちの遊び方です。
課題というのは、こういうことが近い将来、できるようになりそうだし、
できたらいいなと期待できることで、先に書いた敏感な概念とは異なります。
●くんは、わたしがハムスターに「乗せて!飛行機乗せて!」と言わせて、
飛行機の背にハムスターを乗せて飛ばしてみせた後も、
それを真似ようとはしませんでした。
が、こちらから関わろうとしていることに全く無関心なわけでも、嫌なわけでもないらしく、
「○○小学校だよ」と言って警察署をお茶犬ハウスの隣に持ってきたり、
両手いっぱいにハムスターを持って、学校のなかに置いたり、
ケーキのおもちゃを出して、それらのハムスターの前に置いたりしました。
●くんがいっしょに遊んでいる場にそれらを持ってくる様子から、
「いっしょに遊びたい」という気持ちはあるようなのです。
それを受けて、●くんのお母さんが、「ケーキをハムスターにあげるのね」と言ったり、
わたしが「○○小学校の給食ね。いちご、ちょうだい」と言ったりするのを、自然に受け入れる姿はあります。
でも、そうした「こちらからの働きかけ」に応える代わりに、
●くんは、いつも「新しい別のおもちゃを持ってくる形」でストーリーを続けようとするので、
遊びは、常に脈絡のないバラバラの場面をつなぎ合わせたものになってしまうのです。
次回に続きます。