初めての試みだったので、どんな展開になるか
ちょっとドキドキしていたユースホステルでのレッスン。
結論からいうと、予想していたより何倍も楽しくて実りの多いレッスンになりました。
子どもが人と人との関係のなかで学び成長していくことを、
参加した方々みんなで実感することができました。
3歳の★ちゃんは、緊張が強い子で、人と関わりたがらず、
遊んだり笑ったりすることが
これまでは家でも外でもほとんどありませんでした。
親御さんも★ちゃんのそんな様子をずいぶん心配されていました。
今回も、同年代のお友だちを目にしたとたん固まって、お母さんに「怖い」とこぼしていました。
レッスンがはじまると、
最初は、それぞれの子が別の遊びに興じていました。
活発で創造性あふれる2歳の男の子、●くんは押し入れから座布団とたくさん出してきて、
広い自分の部屋を作りました。
おしゃべりで感情豊かな○ちゃんは、算数用の教具を使って
たこやき屋さんをしていました。
ブロックで電車の駐車場も作りました。
最年少の2歳になったばかりの□くんは、電車のおもちゃで遊んでいました。
★ちゃんは最初、ぬいぐるみの白ネコちゃんのおトイレを作って遊んでいました。
途中で、私が水風船を膨らませはじめるとやりたがって、
手伝ってもらいながら、とてもたくさん風船を作りました。
★ちゃんは(おそらく)内向的感覚の思考寄りの子で、慎重で几帳面で、根気がある性質です。
それを紙コップに入れて、「ろうそくよ」と言って並べていました。
それはきれいな光景でした。
すると、お友だちが「ちょうだい」とやってきました。
「いやぁ~!」と★ちゃんは激しく拒絶しました。
★ちゃんのお母さんは、周囲の人にとても気を使う方です。
お友だちにろうそくを譲るように、★ちゃんを説得しはじめました。
私が見たところ、★ちゃんはまだお友だちと一定の距離を保った状態で
個々に遊んでいるだけで、精いっぱいの状態でした。
ですから、まず「自分のスペースに侵入されたり、自分の物が奪われたりしない」ことを
はっきり示して安心させてあげた方がいいように感じました。
そこで、「★ちゃんのろうそくは大事なんだね。
隠し場所に隠しておこう」といって、
座布団でろうそく置き場を作りました。
そうして、「★ちゃんの物を誰も取ったりしないよ」と安心させてから、
「○ちゃんにお手紙を書く?」と郵便ごっこに誘いました。
(この過程で、○ちゃんもかんしゃくを起こしてひと悶着あったのですが……)
自分の隠し場所ができて安心すると、★ちゃんは急に心が外に向かい出し、
お手紙(折り紙に丸やハートを描いて折ったもの)を
○ちゃんとやりとりして笑顔が出ていました。
★ちゃんはお母さんに頼んで、さらに安全な場所にろうそくを隠しに行きました。
何と、くつばこの中。
そうして自分の不安に、自分の望んだ通りの対応をしてもらうと、
★ちゃんは、急に積極的にいろんな意見を言い始めて、お友だちにも自分から関わって行ったり、
ゲラゲラ笑いだしたりしました。
今回のレッスンにはうちの娘にボランティアとして同行してもらっていました。
★ちゃんがどんどん積極的になり、笑いながら人と関わっていこうとしはじめたのには、
娘が大きな役割を果たしてくれました。
普段は「お母さん、お母さん」と言って、お母さんのそばから片時も離れない★ちゃんですが、
うちの娘には打ち解けて、(子どもって、高校生や大学生くらい年齢の「お姉さん」って存在が好きですよね)
ろうそく作りの相手をしてもらいながら
甘えていました。
○ちゃんも「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と言って、抱きついていって
うちの娘を独占したがりました。
でも、ここでは奪い合いという形にならず、
「★ちゃんも○ちゃんも、
お姉ちゃんが大好きでお姉ちゃんと仲良しでいっしょ、いっしょ」という気持ちを共有するように
★ちゃんと○ちゃんの距離が縮まっていきました。
○ちゃんは今、反抗期で、ちょっとしたことに過敏に反応しがちです。
思い通りにならないことが少しでもあると、当たり散らしたり大泣きしたりします。
そのため、○ちゃんと★ちゃんは、最初のうちは、ちょっと近づいたらバトルになっていました。
それがふたりでお姉ちゃんに甘えて遊んでもらったり、いろんな体験を共有するうちに、
お互いに真似っ子したり、遊びに誘ったり、ゲラゲラ笑いながらいっしょに駆けまわったり
するようになっていったのです。
その様子はとてもかわいらしくて幸福そうで
感動するものでした。
子どもは何かが人より上手だから自己有能感を持つのではなくて、
人との関わりのなかで現実に成功すると自分が有能だと感じます。
子ども同士の関わりで、「自分にできる」ことがわかっていて、自然に友好的に振舞えて、
それを快く受け入れてもらったら自信に満ちてきます。
ユースホステルでの★ちゃんと○ちゃんは、お互い、興味しんしんの様子で
ちらちら盗み見しあっては、積極的に関わりあうことで、どちらも急速に成長していました。
★ちゃんは人との関わり方に自信がつき、外の世界に興味が広がっていました。
★ちゃんのお母さんは、「今までこんな明るくて積極的な★ちゃんを見たことがありません」
とひたすらびっくりしていました。
○ちゃんはメタな視点から自分の困ったちゃんぶりを眺めてみて
(★ちゃんがごねているときに、「私は3歳だから、そんなことしないよ」
とお姉さんぶった意見を言ったりして)人との関わり方に深みが出てきていました。
子どもって本当に創造的で、人や環境との関わりを通して、
自らの力で成長していくんですね。すごいなぁと毎回、感激します。
ユースホステルでは時間に余裕がたっぷりあったので、
知的な働きかけについての発見や成長もたくさんありました。
また別の機会に記事にさせていただきますね。
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なんか合宿みたいでとっても楽しそうですね♪
どんな感じなのか続きの記事も楽しみにしております。
娘さん、先生の教室の跡継ぎになるかも知れませんね(笑)
でも、また少し違って
人と関わる事は好きだけど、お友達との関わりが少ないです。
一見いっしょに遊んでるように見えるけど、同じ空間にいるだけ…のように見えます。娘自身はそれで満足しているようですが。。
物の取り合いも出来ず、家で私相手に奪い合いごっこなんてやってます。
貸したくない物は貸さなくてもいいよ、遊ぶの終わったらどうぞしようねって言ってますが。。
娘にもなにか★ちゃんのように、ポイントになる部分が見つかるといいのですが。。