虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

高機能自閉症の子に「教えて」と助けを求めて教える力をつけていくべき? 2

2012-10-25 22:19:14 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

高機能自閉症の子に「教えて」と助けを求める力をつけていくべき

の記事に次のような質問をいただきました。

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こんにちは。大分前になるかと思いますが、このようなお子さん達には、公文式のようなものも合っているといったような記事があったと記憶しております。(見つけ出せませんでした、すみません)

あまり深く考慮しなくても計算能力が獲得できるシステムが合っているといったような記事だったかと思います。間違えていたらすみません。

それが心に引っかかっていたもので、今回の
>他人の説明で理解することが極端に苦手な場合がよくあります
>自分で学んだり、自分で分からないものを調べたり、自分で問題を解決したりする方法をしっかり身につけさせてあげる必要がある

といった内容に少し混乱しています。

どちらも確かにそうだと、うなずきながら読みましたが、公文式のような自分でどんどん進んでいけるものと、じっくり考えなくてはいけない問題との兼ね合いや、どうチャレンジさせていくのが良いのかなどについて、悩んでおります。

安易な「教えてスイッチ」をつくらないようにすることは理解できました。

正解にたどり着くために試行錯誤する体験を持つことと、それを励ましていくことが大事だということでしょうか。

どうぞ宜しくお願いします。

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「高機能自閉症にはこういう学習法」

とイコールで結ばれるような単純なものではなく

その子その子の能力や個性によって

適切な学習法や指導法が異なるように思っています。

 

ただどの子も「他人から教わるのが苦手」という点は共通しているかもしれません。

 

このタイプの子に、よく「きちんと先生の話を聞きなさい」と注意する方がいますが、

一部始終聞き漏らさないほど真剣に聞いたところで、

「やっぱりわからない」という子が多いような気がします。

 

教えている人と同じ意味で言葉を理解していないこともよくありますし、

相手の説明に気持ちを沿わせたり、

相手が指摘している部分や指さしているもの、重要だと思って強調している部分に気づきにく

かったりしますから。

また、推理が苦手なので、教えている側は意味もセットで教えているつもりなのに、

形だけの丸暗記で終わりがちです。

 

それでも障害特性による苦手は、一朝一夕に直せませんから、

たとえ「形だけの丸暗記」でもたくさん蓄積して、とにかくできることを増やして

正しい理解に至るための足がかりにすることも必要です。

 

といっても、人を介して教えていたのでは、「形だけの丸暗記」でも

たくさんこなすことはできないはずです。

 

そこで○○式のようにスローステップなので、人に教わらなくても

どんどん学んでいける系統学習が合っている子もいると思っています。

 

コメントをくださった方は、それとじっくり考えなくてはならない問題の兼ね合いについて

混乱しておられるのでしたね。

 

高機能自閉症の子にじっくり考えていく力をつけていこうと思ったら、

単に即座に教えずに自分で考える時間を与えるだけでは難しい気がしています。

 

一般的な子に時間を与えるのは、

頭を柔軟にして別の視点から眺めなおしたり、

問われていることを自分で冷静に租借する時間を与えるためで、

そうして時間を与えることで「わかった」となる子が多いです。

 

でもこのタイプの子の場合、時間だけ与えても

最初に陥っているシングルフォーカスの状態にますます固執したり、

問題の解決とは全く関係のない目についた作業に熱中しだしたりするだけで、

(問題文を書き移し始めたり、色を塗って答える問題だと、自分がきれいだと思う好きなところに色を塗るなど)

「熟考」を身につけることにはつながりにくいはずです。

 

シングルフォーカスについては、以前、記事にしたことがあります。

シングルフォーカスの特性を持つ子への指導の仕方

 

それでは、どうすればじっくり考えることを身につける

手助けができるでしょう?

 

 次回に続きます。

 

 

 

 

 

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (なり)
2012-10-26 11:48:45
記事にしていただいてありがとうございます。私の混乱を解きほぐして解説してくださっていて、頷きながら読みました。

>高機能自閉症の子にじっくり考えていく力をつけていこうと思ったら、単に即座に教えずに自分で考える時間を与えるだけでは難しい気がしています。

そう感じています。考えてみてって言っても、前向きにやっている感じがしません。

年長の子なのですが、自分の興味から、都内地下鉄JR、バスはもとより、日本の主要な路線図、都道府県、世界地図、国名・首都、などは全て覚えており、そのせいか漢字も殆ど問題なく読んでいます。ニュースや旅番組など見て、気になった国について使用されている言語などを調べ、語学番組を視聴予約して楽しんでいます。外国語は習得していません。

時刻表などから数字にも興味を持って、運賃や所要時間を知りたがり、簡単な計算程度はプリントで始めました。
時代も気になるようで年表を置いておいたら、自分で読み始め、ドラマなどの時代をチェックしています。

自分で発展的に知識やデータを収集するのは得意なようですが、パズルなどの難問にじっくり取り組んだりはしません。難しそうな問題に時間をかけてチャレンジすることも嫌がります。

系統学習も取り組ませれば進みそうかなと思っていますが、熟考したがらないところが気になっていて、やらせていません。

来年度就学です。
100マス計算や漢字など、ひたすら記入していくタイプのものは問題なさそうですし(同時に、この子にはこういうやり方の勉強をさせる意義を感じません)、低学年の間は表面的には理解していると思われてしまいそうです。
しかし、じっくり思考していく学びを習得できるのか、心配しています。

次の記事を楽しみにしております。
Unknown (かろーら)
2012-10-26 13:01:01
私も「公文式があっている」という記述を目にしたことがあります。
確か、「高機能自閉症児を育てて」という本で、
金沢医科大学の教授で、お母さんが書かれた本だと思います。
我が子は自閉症ではありませんが、この著者であるお母様の、愛情と努力に衝撃をうけました。

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