虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉っ子 の お友だちとの心の結びつきがもたらす大きな成長 2

2013-03-12 09:45:35 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 

☆くんは時間割を書く前から、「ブクブク泡がでる実験がしたいよ」と繰り返していました。

前回のレッスンで、おフロ用の発泡剤を使った実験をしたのが

印象に残っていたようです。

そこでわたしが、「それなら時間割を書いて、1時間目は理科よいうことにしようね」と言うと、

「いいねぇいいねぇ」と乗り気でした。

次に、★くんに向かって、「2時間目は何がいいかな?」とサラッとたずねてみると、

「工作」という答えが返ってきました。

★くんの自然で素早い反応に、あれっとびっくりしました。

 

それに工作というのは、★くんがようやく

ほんの少しだけ参加するようになったものなのです。

「★くん、工作で何が作りたいの?」とたずねると、「逆上がり板」という答え。

逆上がり補助板のことでしょうか?

「★くん、☆くん。3時間目は算数でいいかな?」とたずねると、

「いいよ。算数好きだから」と☆くんが答えました。

 

1時間目の理科の時間。

花びらをすりこぎでつぶして、色水を作りました。

それにクエン酸や重曹を加えて色の変化を楽しみます。

途中で試験管の中にスポイドを落としてしまいました。

☆くんは、こうしたささいなトラブルに時に、「どうしたらいいかな?」とわたしといっしょに

アイデアを出していって、解決することが

大好きです。

 

今回のトラブルで、最初はピンセットで取ればいいかと思ったのですがうまくいかず、

ストローの先にガムテープを貼って、釣る形で取り出すことができました。

☆くんは、そうした解決案のひとつひとつに、

考えている間も、成功した時も、

小躍りしそうな勢いで喜んでいます。

 

 

2時間目は工作。

「工作がしたい」と自分から言っていた★くんですが、いざ、「2時間目です。

工作の時間よ、椅子を持ってきて」と言うと、不安そうにゴロッと床にうつぶせになっていました。

 

★くんにとって、何をするのかイメージしにくい工作は

まだ不安の対象なのでしょう。

そこで、100円ショップの切符セットを用意して、最初は切符を切符切りでカットする作業に誘って、

途中から切符が出てくる券売機を作る作業に誘うと、

いつの間にか楽しそうに工作に参加していました。

 

「切符はどこから出てくるのかな?切ってほしいところを教えて」と言うと、

★くんは、箱の下の方を指さしました。

この時の対応も自然です。

 

以前の★くんだったら、こんな風に自然なやり取りが成り立つのは

とてもめずらしいことでした。

たすねていても、聞こえていないようだったり、

しつこく聞くと、スーッと遠い場所に行って、ひとり遊びを始めたりしていましたから。

でも、今回のレッスンでは、1度として★くんが返事をしない、ということはありませんでした。

返事がすぐになくても、少し待っていると、

きちんと返事が返ってきました。

 

わたしは★くんが指さした部分を切りとってから、

箱の上部も切りとりました。そして、画用紙を箱の中に滑り台風になるように入れました。

「★くん、ボタンを押してみて、切符が出てくるよ」と言うと、

「ボタンがついていない」と箱の表面を探しています。

「そうね、ぼたんをつけなくちゃね」と言って、ペットボトルの蓋を用意し、ガムテープでぺったんテープを

作る方法を見せると、そこにボタンをつけていました。

 

ボタンを押すと、切符がでてきます。

この工作は★くんにとってわかりやすくて、魅力的なものだったようです。

 

 

次回に続きます。


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