虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

数の敏感期、子供に何も働きかけないでも出てくるものなんでしょうか?

2009-03-15 08:59:50 | 算数
数の敏感期、子供に何も働きかけないでも出てくるものなんでしょうか?
やはり最初のきっかけは親が作って数字にふれさせてやると出てくるんでしょうか?

というご質問をいただきました。
数の敏感期というのは、幼児期に今のような教育をすることなんか
考えられなかった時代から存在するもの
だと思います。
そうした敏感期が存在するからこそ、
子どもの伝承遊びは

おはじき
数字が出てくる遊び歌(ゆうびんやさん~おはいんなさい~など)
お手玉
石蹴り遊び

など数の世界に触れ、数の秩序を発見するものが多いのだと思います。
子どもにそうした時期があるから、
自然と生まれ、伝承されてきた遊びなのだと思います。

遊び道具からも、繰り返しの多い伝承歌からも、
花いちもんめのような増減を体感する集団遊びからも、

昔の子は赤ちゃんであっても
少し年長の子らの遊びを見ることで学べるようになっていたはずです。
脳が幼児期に数学的なものを発達させることを
必要としているから、
こうした遊びが伝承されてきたとも言えます。

今の時代、日本では、遊びが衰退していますから、
知能の成長するとき欲するものを
親が意識して与えてあげなければ、

貧しさゆえにはだしでごみの山のそばを駆け回っている子たちや
小学校に通うことすら困難もある教育環境が整っていない国の子らよりも
(数の秩序を発見し、数の能力を発達させる遊びが幼児期や子ども時代に
存在するのは、各国共通です)

数や文化の敏感期を
きちんと開花させてあげることが
難しいのかもしれません。



虹色教室やボランティア先の子どもたちが
数の敏感期や文字の敏感期や文化の敏感期の様子を
たくさん見たことがあります。

ひたすらひたすら数を数えたり、
お手紙を書き続けたり、
「どうして?」「なぜ?」とばかり一日中たずねたり、
図鑑や知識の本を読み続けていたりします。

数の敏感期は、
子供に何も働きかけないでも出てくるものなんでしょうか?

というご質問でしたね。
数の敏感期はある意味、何も働きかけないでも出てくるとも言えるし、

0歳からの接し方が非常に重要とも言えます。

0歳でしたら、
ハイハイできる十分な空間と、
好奇心を満足させるさまざまないたずら、探索活動が
許されていること。
「自分でできた!」「自分で見つけた!」「そうだったのか!」
という気づきが生まれるまで、
大人が横からあれこれ口を出さないこと。

子どもの心に影響を与える
今すぐ何かできるようになった成果を見せて欲しい
というエゴを抑えることも大事です。
いつも身近で「すぐ!すぐ!」と求められているのを感じたら、

子どもはもやもや~と何か不思議を感じる
同じことを繰り返して不思議を探求する
あるときふっと意味が分かる

という法則に気づく見つける…という喜びよりも

とにかく大人の話を理解して覚えて
それを口真似して繰り返して褒められよう

とする固定した活動に駆り立てられます。
ほっぺちゃんの数の敏感期は、すばらしいけれど、
そのすばらしさを育てたのは数のインプットではなく、

工作のとき
ガスコンロを作ったホッペちゃんが、ひねる部分がどうしたら回るか、ひとりで考えた…という出来事の最後に、

何も言わなくて良かった…。

とひとこと添えてあるホッペちゃんのお母さんの言葉の
中にあるのだと思います。

「シールじゃなく、自分の絵で描きなさい」「丸をくりぬくって何をするの?そんなのできないわ」
そうした言葉を言わないこと。
子どもの試行錯誤を見守ること。
すぐすぐ結果を見たがらないこと。

それがその子のペースで自然に開花していく
敏感期のあり方を決めるように思います。

虹色教室では、3~4歳まで
お母さんがさせようとすることに乗らず、習い事では参加せず、
マイペースに好きなことを満喫していた子
ほど敏感期の成長が大きいように感じています。
ただ、マイペースな子を
他の子と比べす、
「待っていてあげられたか」は大事です。
マイペースな子に
無理強いしたり、比べたりすると、
その時点で、数が大嫌いという気持ちを刷り込んでしまいますから…。

また、このブログの横のドッツカードのボタンを押していただくと
出てくる数遊びは、
数の秩序を洗練するために工夫したものが
たくさんあります。
いっしょに遊ぶだけで
敏感期の現れ方が
まったく違ってくると思います。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ともちゅん)
2009-03-15 10:49:18
はじめまして。
妊娠中から読ませていただいていました。
このブログを見つけるまでは、有名な幼児教育の教材を買って早いうちから教育したり、英語育児をしたりしなければ!と考えていました。
でも読ませていただくうちに、それは間違いでは?と思うようになりました。

もし、このブログに出会わなかったら娘に間違った道を進ませてしまったかもしれません。

今、娘は2ヶ月です。
0歳児の取り組みなども記事に取り上げてもらえたら、うれしいです。

次に教室の新規募集があれば必ず応募させていただきたいと思いますので、よろしく思います。

これからも楽しみに読ませていただきます!
返信する
Unknown (ぽんき茶)
2009-03-15 11:53:45
うちの息子は0歳児なので、まずは、ハイハイできる十分な空間を確保し、いたずら&探索活動に励んでもらいます(^-^)
返信する
Unknown (タイママ)
2009-03-16 02:02:36
私の質問に答えてくださってありがとうございます!!
お忙しいのに申し訳ありません。タイトルを見てドキドキしました。

ご紹介いただいた他の方のブログも参考になりました。

今までは教育なんてことは全くせずにきたので息子はわりと自由に探索活動をしてこれたんではないかと思います。
問題はこれから・・・すぐに結果を求めず、『待つ』ことを心に留め置きます。


返信する
エゴ (ぼる)
2009-03-16 14:06:52
すぐすぐ結果を見たがらないこと。

耳が痛かったです。

ホッペちゃん・・・のブログを読ませていただいて、
ただただその凄さに感心するばかりで、
うちの子も・・・、と。
そのためにはどうすれば・・・、と。

私は一番大事なところが見えてなかったんだなあと、
痛感しました。

ホッペちゃんのお母さんの言葉の中にこそ本質がある。

私の感想は、まさに親のエゴ。

今回の記事は、先生に直接それを指摘されたような気がして、
読んでいて、ちょっと苦しくなりました。
返信する

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