加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

「好評につき終了しました」は正しいか(パート2)

2010年05月25日 02時11分25秒 | 公園のつぶやき。

この超不定期なブログで一番人気のある記事は、意外にも「好評につき終了しました」は正しいかなのだ。
先日も四年ぶりにコメントをいただいた(感謝)。
この言葉がなんとなくしっくりしない人が多いということなのだろう。今回は好評につき、この記事の続編を書いてみよう。

さっそく、「~につき」を辞書でひいてみる。

1・動作や状態などの対象を表す。・・・について。「その件につきご相談したい」
2・理由を表す。・・・のために。「店内改装中につき休業」
3・単位あたりでの数量を表す。・・・ごとに。・・・に対して。「一回につき千円の料金」「水一カップにつき醤油大さじ三」

「好評につき終了」という場合、上の1・3に当てはまらないのはあきらかだろう。
では、2か? しかし、「理由を表す」のだから、「好評だから終了」という、なんとなくおかしな日本語になってしまう。だからこそ、みなさんの興味を惹くのだろう。わたしもそう思う。これはおかしい。

が、ひとつだけ、これで正しい(まちがいではないかもしれない)用法がある。

ある限られた景品があって、それを先着1千名に配る、なんてとき、好評だったから主催者が想定していたよりも早く品が尽きてしまった・・・などである。
つまり、好評につき(だから)特典、終了してしまったんだ、ごめんね~てへへ。という場合にかぎり、おかしくはない。じじつこの用例は圧倒的に多い。

おかしいのは、「ネットゲーム」や「SNS」といったネット上のサービスなんかが主催者の都合で終了するさいにこの言葉が使われるとき、なのである。
「減るもんやなし、好評やったらなんぼでも続けたらええんちゃうん?」という受け取り手のわれわれにそんな意識があるから、この言葉を変に感じてしまうのだ。

もちろん、供給側からすると、サービスという「商品」のコストはタダではない。問題はそのコストを回収し、収益を上げるというビジネスモデルを描けるか、ということである。
で、プロとはいえ往々にしてこの辺の読みが甘く、終了するしかないサービスがあるんだろう。

そんなとき「儲けになりませんから終了しますぅ」では格好悪いし、コメント主も書いておられるように責任問題となる。だから上で挙げた「正しい用例」になるように細工するのだ。
「あ、もともと期間限定だったんですぅ(書いてなかったけど)」「おかげさまで予定に達しましたからぁ」なんてね。儲けが出たら永遠にでも続けたいくせに。

名付ければ「後付限定化」という、日本語のスキをついたテクニックである。みんなおぼえておこうw

・・・思えば、最初に書いた時、わたしの最初の本を出した出版社が倒産(わたしの本を出したからじゃないと思いたい)し、わたしのデビュー作は絶版中であった。
だから、前回のしめくくりは「絶賛絶版中」という言葉だった(笑)

装いも新たに徳間デュアル文庫から出していただいた「福音の少年」シリーズ初版は、おかげさまで書店の在庫が終了しつつある・・・・好評につき。

再版の話は、いまのところ、ない。
てへ。

 

※好評につき、なんとこの投稿を元に本を書いてしまいました!


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