加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

折り畳み自転車で「キングオブ峠」(京柱峠)をやっつける。

2012年05月27日 22時41分28秒 | 自転車と旅、メシ。
まったく衝動的に、「峠」を攻めたくなって、折り畳み自転車に乗って駅に行った。
目指すは「キングオブ峠」、「京柱峠」である。いつかの投稿で書いた「日本三大酷道」の一つ「国道439号」の、高知と徳島の県境にある標高1,123mの峠である。

ロードバイクで自走して行ってもいいのだが、わたしの足では帰りに日没を過ぎてしまいそうだし、夜中の国道32号線を走るのは前回で懲りた。
なので、JRを利用して、高知県サイドの峠直下へアプローチすることに。



多度津駅で、「大歩危」行きの電車を待つ畳まれて袋に包まれたマイ自転車。アンパンマンの顔が怖い。



山の真ん中にあるような大歩危駅の風景。急行から普通列車にここから乗り換えである。
なぜか駅舎には妖怪とワン公がいた。頭を撫でようとしたら警戒した目でおれを見た。でかいサングラスをかけていたからかもしれない。瞳が見えないと怖いのかもしらん。


土讃線豊永駅で降り、自転車を組み立てた。真っ赤なフレームがかっこいい。わたしはこいつを「ダホン号」と呼んでいる。
写真じゃ見えないが、奥にある標識に「京柱峠16キロ」とある。
自転車で16キロなんざ屁でもないわ。と、そのときは舐めてかかっていた。
9時30分、いざ「キング」を倒しにまいろう。


で・・・返り討ちにあったのだった。
いや、20インチの小径車で京柱峠を登ろうというのが甘かった。それにこのダホン号は「ロード寄り」のギア比なので、重い重い。小径車ゆえ、ダンシング(立ち漕ぎ)も安定しない。残り2キロという最後の詰めで、足を使い切ってしまい、何メートルか押すはめに。これは屈辱的である。
どんな坂でも休みこそすれ押して登らないというのがわたしのポリシーだったのだが、そのときは腹が減っていたのだ。


最後の数百メートルは意地でもペダルを漕いで、ぜえぜえと息を切らしてゴール。
クルマで訪れていた観光客たちから「ほーっ」という驚きの声が上がった。
ちょっと気持ち良かった。さっきまで押してたんだけど。


「キングオブ峠」の名に恥じず、景色はすばらしい。おまけにここには「峠の茶屋」があるのだ。




麺類に目がないわたしは当然、山菜うどんを注文。名物は「しし肉うどん」(しし肉とはイノシシの肉ね)らしいのだが、なんとなく肉を食う気分じゃなかったのだ。
「自転車で来なさったなら、塩分補給じゃね」茶屋のおばちゃんがサービスでニンジンの醤油漬けを出してくれる。うまい。

礼を言って、徳島県側に国道439号線を降りていく。
笑うほど道が酷くなっていく。その辺の農道はもちろんできの良い林道に負けるレベル。
このときだけ「ロードで来なくてよかった」と思った。


ヨサク「国道ですが、なにか?」


徳島県側に降りていき、県道33号線の祖谷のかづら橋を通り過ぎ、東祖谷山村、西祖谷山村と進んで国道32号線へ合流する手前が大歩危駅である。
ワン公の駅長はいなかった。
ペプシコーラで独りで乾杯してから、自転車を畳む。


まあ、なんだな、しんどかったが、生きている感じがしたな。
ではまだ。

朝うどんの日。

2012年05月12日 11時15分42秒 | 自転車と旅、メシ。
うどんは「ざる」に限る。
「釜上げ」も「ぶっかけ」も「生じょうゆ」も好きだが、ひんやりとした感触がどうしても好きなので、うまいという評判のうどん屋に行くと、ついざるを注文してしまう。



うどんに関する本やブログを読まないので、さぬきうどんマニアに怒られるかどうか知らないが、「かけ」は場末の定食屋で食って「意外にうまかったラッキー」という食い物なのではないだろうか、と思う。



写真のうどん屋は評判である。朝7時から午後2時までが営業時間だが、朝作った麺がはけてしまうと閉店してまう。自転車のツーリングコースから言うと「帰り」の位置にあるので食いたくても食えなかったのである。

今朝、30キロほど流したかえりに、ちょっと寄ってみた。
朝の9時である。
実は8時前に通った時には行列ができていたのだけど、9時になると空いていた。ちょっと時間の感覚がちがうでしょ? さぬきには当たり前のようにこんな店があるのだ。

まあ、確かにうまい。
うまいぞ。ちゅるちゅるちゅるちゅる。

ごちそうさまでした。

えらそーなことを書いているが、うどんなんか並んで食うようなもんじゃねー、という主義なので(ひとさまがどうこうではなくて、食い物やの店の前に並ぶのはいや)、今後食えるのはいつになるかわからんが記憶にとどめておこう。

あ、場所は店名でググってみてください。


うどんと言えば、連休中に徳島の池田に自転車で行ったとき、なんとコンビニの「ローソン」とうどん屋が併設されている店を発見。「ミニストップ」でいえば椅子とテーブルがあるあたりがうどん屋になっていると思ってください。

さっそく食ってみた。「ローソン」のレジで注文し、お金を前金で払うシステム。

で、出てきたのがこれ(暖かいぶっかけ、かき揚げトッピング仕様)。


ネギが凍っていたのはご愛敬だが、コンビニで食えるうどん(他にあるのか?)ではうまいほうでした。
てか、連休中の昼時だったのに客はレーパン・ジャージという怪奇な格好をしているわたし独りであった。流行っていないのか、怪しげなオッサンが座っているので敬遠されたか、そもそもコンビニとうどん屋というのが相容れない存在なのか。

以上、うどん二題でした。


半島を巡る旅。~香川県庄内半島~

2012年05月05日 19時11分35秒 | 自転車と旅、メシ。
「手段が目的になる」というのは、よくあることだ。
たとえが古くて恐縮だが、願掛けのお百度参りが肝心の願いよりもお百度参りに熱を上げるようなもの、と言えばいいのか。

たかだか趣味の自転車に「目的」もないもんだが、わたしの場合は「悲しみをまぎらわせる」ためだったのかもしれない。
たしかに最初のころはペダルを漕ぎながら、娘のことを思い出して、よく泣いた。それこそ「弱虫ペダル」だったかもしれない(笑)。

だが、毎週のように100キロそこそこを走れるようになってくると、自転車で走ることそのものが楽しくなってきた。追い風ないし無風の平地を35キロ程度で巡航しているとき頭の中が空っぽになっていく感じ、苦しい坂を登り切った後にやってくる失禁しそうな下り坂のスリル、好きなとこで自転車を停めてぼんやりと空をながめること。

自転車は、楽しすぎる。

ゴールデンウィークももちろん走った。
写真の場所は、香川県の庄内半島。大好きなツーリングコースのひとつである。


自宅から出て半島を一周すると、細かなコースの違いにもよるがだいたい100キロになる。
借り物のロードバイクだと、このあたりが限界である。



半島を巡ったあとに、堤防工事中の海際で一枚。錆びてしまった鉄製スポークがかわいそうな「パナチタン号」。通称鉄下駄と呼ばれる重いホイールだそうだが、ロード初心者のわたしには十分走ってくれる。



香川県の詫間町にある橋の欄干で一枚。
ごらんの通り、浦島伝説にちなんだもの。
有名な説かもしれないが、「浦島太郎は津波で全滅した村の生き残り」という話がある。津波は津(港)の波だから、逆に浦島太郎のように沖合にいると助かることがあるのだ。
そういえば、家の屋根ごと流された人がいたなあ、と去年の大震災のことを思い出す。

帰りは激烈な逆風であった。
まるで平地でも登り坂のようだった。
あとで天気予報を見ると風速6メートルの西風だったとのこと。

実は5日の今日も走ってきたのだが、写真の整理をして、また明日。