即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

言葉狩りという暴力

2011年10月25日 00時48分19秒 | メディア

このところすっかり社会派ブログになってしまって、将棋ネタともご無沙汰です。
(羽生さんの新刊も読んだし、竜王戦のことも、そのうちまた書きますね。)

最近書いた二つの記事。
真実に迫る
危機を生む風
どちらもマスメディアの報道姿勢についていかがなものかという内容です。
政治家も官僚もそのまわりでうろうろしてる記者たちも、どっぷり利権や温床に浸かっていて、3.11も含め、日本の状況がこれだけ危機を迎えているにも関わらず、いつまで経っても揚げ足取りやワイドショー的な政局のことばかりやっていて、世界からは見放されるし、このままではどうなってしまうんだろうと思わざるを得ない今日この頃です。

前回も紹介した上杉隆さんの最新記事です。
「放射能つけちゃうぞ」発言捏造をめぐる記者クラブの“やり方”――そしてさらなる新事実

鉢呂元大臣の公式会見での死の町発言の時、その場にいた大勢の記者たち。
その後の質疑応答において、この点について質した人は誰もいなかったんですって。
なーんだ、誰も問題だなんて思ってなかったんじゃん。
それで、後になってから、誰が言い出したか知らないけど、ありゃ、ひどいねえ、となって、そうだそうだ、で、こんな風になった。
なんでなの?意味不明。

そして、死の町発言も、こういう内容だったとのこと。
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残念ながら、周辺の町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死の町という形でございました。私からももちろんでありますけれども、野田総理から、福島の再生なくして日本の元気な再生はないと、これを第一の柱に野田内閣としてやっているということを、至る所でお話をしたところでございます。
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大臣の発言としては脇が甘いのは否めないけど、これ読むと、問題にする方がおかしいとも思う。
《死の町》というドッキリするような一部分だけを抽出して、騒ぎ立てる姿勢。

このような言葉狩りについて、シナリオライターの今井雅子さんは、こう指摘しています。

《反射神経的な言葉狩りは危険。
 なぜその言葉を発したのかを掘り下げる想像力が、
 潤滑油になるはずなのに。
 大人が率先して思考停止してしまうのは、悪いお手本。》

なぜその言葉を発したか、ということがシナリオにとって大きな意味を持つ。
そのことを常にとことん掘り下げて、想像力を目一杯働かせて心に響くシナリオを書いている今井さん。発する言葉一言一言に全精力を傾けて紡ぎ出している今井さんだからこそ、文脈、背景など、すべてを取り払われてその言葉だけが抜き出されたらどんなに悲しいかと思う。

次に高木善之さんの記事、
「脱原発」が危ないから。
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表向きは「失言による辞任」だが、真相は「脱原発の大臣が切られた」ということのようだ。

これまで、省庁にとって都合の悪い大臣は、スキャンダルやねつ造事件で辞任させられてきたが、「脱原発」の鉢呂さんは経産省にとって最も都合の悪い大臣だった。

彼は就任後のあいさつで「国内原発は将来ゼロに」「原発の新設否定」など、思い切った「脱原発」を語った。また、原子力政策を左右する総合資源エネルギー調査会(現状は推進派が圧倒的多数)を「推進派、反対派、半々の人選」にする異例の人事を発表する矢先だった。

今回の辞任劇を演出したのは、原発の利権を守る「原子力村」の一翼を担うマスコミだった。

彼は、「はめられた」と無念さを隠さなかった。

彼は、後任の枝野大臣に、「推進派、反対派、半々の人選」を引き継いだと述べた。枝野大臣も就任のあいさつで、「東電の損害賠償責任」について踏み込んだ考えを示したが、経産省、電力業界の強い抵抗が予想される。
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単に揚げ足とって辞任に追い込むというだけでなく、その背景や意図があるということですね。
気に入らないと、寄ってたかってそれこそ裏情報を探し出してきてリークする、失脚させる。
怖いもんです。
どこのどういうニュースや情報をどうやって信じたらいいのか。
我々は何を判断基準にしたらいいのか。

政府も、マスコミも、ますます信じられないこの状況。
マスコミは権力と一体になって横暴を繰り返す。

それから、松本、鉢呂に続いて、一番最近の「私の高校の同級生みたいに逃げなかったバカな奴がいる」と発言した平野失言について。
失言に次ぐ失言、あまりに多すぎて、釧路湿原、とか、全国の湿原の数よりも多いかもしれない。

ssayさんまた大臣が辞任か・・・と言う記事でまたも失言辞任か、とあきれていましたが、下記の記事を見ると、メディアがあまりに騒ぎ立てるからいけない、と言っています。

田中龍作ジャーナル
平野復興相「バカ発言」 記者クラブよ、言葉狩りもいい加減にしろという記事では下記のように言ってます。
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国の命運さえ左右する原発事故やTPPなどの問題では、何ら真相に切り込めず、ただ言葉狩りや検察リークの垂れ流しにいそしむ記者クラブ。そんな彼らが発信するマスゴミ報道に右顧左眄しているのが、民主党政権だ。この国の将来は極めて危うい。
******************************************

横並び、ごますり、保身、怠慢、権力の笠を着たマスメディアの記者たちの劣化度合い、かなり行っちゃってますね。

さらにもうひとつ、牧野洋さんのコラム、「ジャーナリストは死んだか」より、
現場に記者がいなかった事実を隠した「鉢呂発言」報道、オリンパス疑惑をスクープをした雑誌を後追いしても「黙殺」ーー日本の新聞報道倫理は「ガラパゴス化」している

独自取材もやらず、裏も取らずに他の記事に便乗、出所も書かずに単に後追いしてほぼ同様の記事を書く。
そんな仕事がまかり通っているガラパゴスジャーナリズム。
呉越同舟。皆で渡れば怖くない。
まあ、適当に他と同じようなことを書いといて、早めに飲みに行くとしよう。

そんな素晴らしいマスメディアに恵まれた我々。
歪んだ情報、偏った報道、権力に庇護された立場からの上から目線での物言い。
さて、我々はどのように自己防衛しつつ、こういう報道、情報といかに付き合うのか。
テレビも新聞も一切見ないという作戦もある。
現状として妥当と思うのは、主にネットを通じていろんな情報を取りながら、できるだけ真実に近いものを選び抜いていく作業。
自分のお気に入りの信頼できる情報源をいくつか作っておいて、自分で総合的に判断していくやり方。
マスメディアの劣化が止まらないのであれば、ますますそういう知恵をつけていかないといかない。そういう習慣を作っていかないといけない。
何事もすべて人任せにはしない、自分でやっていくしかない、という時代なわけですね。

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