「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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メルトダウンしていた1号機は「想定外」の東電。さらに心配が強い3号機の現状。危機深まる。

2011-05-13 01:47:38 | 福島第一原発と放射能

  きょう、はっきりしたことは、東京電力が従来から話していた危機認識はまったく形を成していなくて、最低限このくらいは考えているのだろうということさえ、全く考えていなかったと言う事です。1号機が危機にあるのではないのかという認識は何回も伝えていますし、実際、核燃料は溶けているのではないのかという指摘はずいぶん前から専門家に聞いていましたが、彼らはずっと損傷が七十パーセントといい、次は五十五パーセントと言い、核燃料はある程度水に浸かっている、データは-1700ミリはあるといい続けていました。これを一応信用する立ち位置で小出先生などは「配管の損傷」などに言及されていました。そもそも、もともとのデータが違っていたと言うか、はっきりいって全くデタラメの話を真実であるかのごとく東京電力が言い続けていた事がはっきりしました。ですから、今、東京電力が話している内容をどこまで信じられるのかと言うジレンマにありますが、それだけを言い続けても仕方ないので一応、きょうの発表を前提にして進めます。

 ただ、今日の展開で、「一号機のこと、もう東電はどうしようもないですね。これだと、話しにならないよね」と親しい記者からもあきれかえった声で電話で言われました。このように、あきれかえって、嫌になる感覚が蔓延しているとおもいます。しょうがないですが、こういうことは「慣れ」になりはじめています。ただ、この「慣れ」が危ないのです。注意してください。本当の危機はこれからです。危機がおこる手前でこういう「慣れ」が蔓延すると、緊急時に対応が遅れますので、変に「慣れ」ないようにしてください。

 小出先生とも話しましたが「もういったい、東京電力の言うことをなにを信じていいかわかりませんが、データで-1700ミリ言っていたのが間違いだったと言う事です。現場は混乱していて、計測器が修理してそうだと言うのでしょうが、もう本当かどうかわかりませんね。何が正しいかは無意味ですよ。まあ、でも本当なら圧力容器に穴が開いているんですよね。炉心が溶け落ちているわけだから、本来何が起きてもおかしくなかったんだけれども、うまいぐあいに格納容器の底の方で水がたまっているあたりにある感じなんですよね。水蒸気爆発がおきずに、そうなってとりあえず落ち着いているなら、最悪の事態は一号機に関しては当面避けられるのではないでしょうか。たまたまですが。」と。メルトダウンになっていても、爆発事象につながらず、たまたまうまくいっていたことを説明していただきました。勿論、想定の工程表はそのとおりに進む可能性はどんどん低くなったと言う事です。1号機は「想定外」のメルトダウンが確定し、この想定外の事態の中で、懸念は続くと言う事です。今の東電の説明を完全に信じられない気持ちも含め、1号機の危機も去っていません。

 そして、3号機の懸念は継続しています。とにかく温度変化が激しい部位があることなど、圧力容器の中で「想定外」の事態が起きていることを、今まで以上にチェックを続ける必要があります。1号機のことが「メルトダウン」と言う言葉まで出てくる状況だとすれば、さらに深刻な三号機で一体何が起きるのか、「メルトスルー」という破局もおきうるということを、強い危機意識を、あらためておもってください。安全の担保は、最後は皆さんの行動にしかありません。政府や東電が守ってくれると言う感覚が無理だということを、きょうからさらに強く認識してください。

ブログの読者から、福島の母子が新潟に脱出している話をメールでいただきました。まずお読み下さい。

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 出かけたのは、3.11の後からメールのやりとりをしていた母子が福島を脱出するまで、支援(というか、実質的にはハラハラ見守りながら励ますだけでしたが、背中を押すくらいの力にはなれたようです)するためです。着の身着のままの彼女に交通費を手渡す必要が出る可能性も考慮して、近くに行くことにしました。実際は旦那さんが車で送ってくれることになり、彼女の周りの理解をもとめる努力が一部報われたかたちです。彼女には震災後に生まれた赤ちゃんがいるので、今まで動きがとれずにいました。旦那さんは仕事があるからと福島市の自宅に帰って行かれました。しかし本当は大人も脱出する必要がある状況なのも彼女は理解されているので、新潟からご家族や友人に呼びかけておられます。
 母子は今、新潟の支援団体にお世話になっています。新潟も安全とは言えないと思いますが、福島市内などよりはマシなので、そこで一息ついて、次を考える感じです。新潟の避難者に提供されているホテルが、一般の宿泊も受け付けていたので、そこに三泊していっしょに過ごしました。ホテルには百人ほどの人が避難しています。多くは母子です。家族など周りの人が温度差があり、離婚しないと避難できないような境遇の方が一時避難でここに来ているようです。一人のお母さんとお話しすることができました。
 「危険なのはわかっているが、離婚して幼い子供を預けて働いて、事務員で収入が10万円くらい? 生活していけると思えない。戻りたくないけど戻るしかない」と話しておられました。一度は京都まで避難して家を確保したり、離婚を決意したりされていましたが、生活できないから戻るしかないと。
 全てを捨てて避難しても、野垂れ死んでしまう可能性が、放射能汚染地域に人を縛り付けています。放射能から目をそらしている人も多いようですが、危険を認識しながら動くことができない人もたくさん残っています。福島県全体が飯舘村と同じような状態で立ちすくんでいます。
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こういう状況に追い込まれている人を救う方法がないのかと、いろいろな人々が立ちあがっています。
このブログで学童疎開の調査をしてくれている皆さんもいます。
さらにhttp://portal311.jimdo.com/というサイトがあって、そこのボランティアスタッフの皆さんとも話しましたが、子どもたちを中心に一人でも多く、救うために、移住できる情報をかなりあつめていらっしゃいます。こういう人々が連携して、福島の子どもたちをかなり被曝する環境におき続けないためにできることはなにかを探して欲しいです。
 政府や文部科学省の「問題ない」という虚偽の説明を鵜呑みにさせないために、皆さんの声を強くするしかないと僕はおもっています。

 

二週間たっていないのに、二千人が参加しました。

 Facebookの公開グループ「福島第一原発を考えます」は大変活発な論議が始まっています。行動する皆さんの参加を期待します。

 

 Facebookにまず僕は、自分の名前「木下黄太」アルファベット表記が「Kinosita Kouta」という形で登録してありますが、さらに「福島第一原発を考えます」という公開グループを立ち上げました。http://www.facebook.com/home.php?sk=group_163985373661863このブログの読者や福島第一原発の問題を考えていきたい皆さんが、議論し、交流し、何かを創り上げていく場になれば、ありがたいです。イベントの立ち上げ連絡も含めてです。行動する事につながればと思っています。公開グループの説明文です。

「We think about Fukushima Daiichi.

 東京電力の福島第一原発について、この事故の事態に直面し、考え、対話し、
さらに行動するためのグループです。」

 できる限りみなさんが、このFacebookにご登録していただき、この公開グループに参加していただければと思います。参加リクエストに気がついたらすぐに承認します。この問題に関心のある方は、勿論、全て承認いたしますので、よろしくお願いします。いろんな動きが出てくれば、ムーブメントになると思います。インターネットでのやりとりにとどまらず、今後、現実の動きとなることを想定しています。いろんなことを覚悟しながら、僕は動いているつもりです。このブログをよくご覧いただいている全ての皆さんに、是非入っていただき、何かのきっかけになればと切に願っています。尚、私への友達リクエストも構わないですが、先にこの公開グループへの参加リクエストを直接してからにしてください。そのほうが早いです。宜しくお願いします。 

もちろんこのブログに、グループで提示された重要情報は僕が転載したり、コメント欄で書き込みをうながしています。その点は継続しています。


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43 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (うさぎ)
2011-05-13 03:10:44
木下さん、いつもありがとうございます。
些細なことですが、小出先生のお話で出てくる「1700ミリシーベルト」は文脈からして「1700ミリ」の書き違いではないでしょうか。ご確認下さい。
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懸念は増すばかり (TU)
2011-05-13 03:53:15
ついにメルトダウン確定ですか。衝撃的ですね。
おそらく事故後わりと早い段階で既に起こっていたことだと思いますが、だいぶ経った今この情報を聞いても慣れてしまっている自分がいます。慣れとは恐ろしいです。

事故直後に聞いていたらパニックになっていたでしょう。それが政府の意図なのかは知る由もありませんが、木下さんの仰るとおり慣れてきた頃に事件事故は起こるものだと私も経験上思っております。

今後どうなるか私には想像もつきません。ダラダラ漏れてホットスポットが出来続けると言っている方もいるそうですね。
どうやったらこの事態を収拾できるのでしょう。途方もないことだと思います。


私自身は博多に移住を完了しました。
移住して数日経ちますが東京に居たときより精神的に落ち着いてきたと自分でも感じています。東京は精神衛生上ほんと良くなかったです。これからは妻と息子を養うためにこっちで仕事をバリバリやって前向きに生きて行きたいと思っています。
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変換ミスです。うさぎさんへ。 (木下黄太)
2011-05-13 04:57:20
ミリと書くとミリシーベルトと変換するようになっていて、チェックミスでした。ありがとうございます。
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Unknown (西)
2011-05-13 05:44:37
小出氏は仕事柄、発表される事柄から考えて行く必要がありますが
他の方は先を見据えた方がいい。
今の状況や嘘について言及をしても仕方がなく、酷い状況の中でも頑張っている方は確実に居ます。
「こんな目に合うのは自分だけでいい」
無駄にしてはいけません

大きな流れをせき止める事は不可能ですが、流れを分散させる事は可能です。
一人一人が正しい認識を持つ

数値は妥協点でしかなく、思考停止をした時点で暗闇です。
雨、花粉は普段以上に危険、年々飛散量と共に放射性物質も増えている黄砂は更に危険で
福島原発による汚染より、黄砂による汚染の方が進んでいる地域があるとよく見掛けます。
デマとされている多くは危険と可能性を含んでいます

安心の為に情報を得るのではなく、妥協点を探す為。今は安心要素はどこにもない

広島・長崎の被爆者達による手記
http://www.asahi.com/hibakusha/hiroshima/h00-00405j.html
黄色い砂塵は死の灰だとハッキリ書かれていますが、朝日新聞の過去記事には花粉か黄砂だとあります。
ウラン等のα線は通常検出が難しい為、ガイガーでの測定はアテになりません

若い小出氏が出ている"牛乳~"。まだ見ていない方は是非
http://www.youtube.com/watch?v=sqyCT5vUfFM
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温度差 (みつうら@大阪)
2011-05-13 08:24:06
昨日、山口県在住の友達と原発について
電話で話しました。

しかし、フクシマの危機は日本の危機
なのだという認識が西日本に行けば
いくほど薄いのだと思い知らされ、
愕然としました。

まわりのママ友たちは、ネットで検索する
ということすら、どうしたらいいか
わからないから、テレビを見るのみ
だそうです。
原発の話題は風化していると言われて
涙が出ました。
 なので、私が圧力容器がとか、
メルトダウンがとかいっても、「?」
という感じ。
どこまで情弱なんだか><

真実を伝えず、毎日毎日、バラエティ
とドラマを垂れ流すテレビが
ほんとに大嫌いです。

友達は話したら分かってくれ、他の人にも
話すことを約束してくれましたが、
危機意識の共有という大きな壁を改めて
感じました。

みなさんも同じようなことはありますか?
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穴の可能性は把握していた?! (東京在住)
2011-05-13 08:25:23
いつもありがとうございます。

毎朝、ニュースはAMラジオを聞いています。
今朝のメルトダウンのニュースのコメントで、
「穴が空いてるんじゃないか?って前から気づいてた関係者もいたって言うじゃありませんか!」
と聞いてビックリ!!

まさに過去(戦争)の過ちの繰り返しですね。

自分の御都合しか考えられないおじ様達が、戦後の日本を造ってきて、今の道徳が悪化してるんだなぁと思いました。
決定権を握る立場になるのはお上手の様ですが…

戦後に蔓延されたアメリカ精神による教育の失敗例ってとこでしょうか。
ちょっと脱線するようですが、リーマンショックにも似てる気がします。
(今回は崩壊したら直接生命に関わりますが)

今回の件も含め、やはり歴史は学ぶ必要があると思います。特に過ちの方を。
失敗を省みない限り、真の前進は有り得ません。
そんな当たり前のことが、日本は出来ていない気がします。

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避難するという事 (ひとみ)
2011-05-13 09:16:54
埼玉に住む二児の母です。埼玉県の高濃度汚染地帯に隣接する地域に住んでおります。
震災から2ヶ月いつ避難しようかと木下さんのブログを見たり情報を集め状況を見守っていました。夏休みまで、ここで生活出来れば良いと思っていましたが…私の気持ちの中では限界にきています。
一人目を出産し、知り合いのいなかった、この地に住み必死で子育てして9年、やっと人間関係も出来てきて、子供達もお友達が出来て楽しく暮らしています。私もサッカーや幼稚園の役員をしたりして地域の輪に入ってます。
これから、この人間関係をおいて避難する勇気と子供に対する放射能汚染の不安を抱えながら生活する狭間で一歩が出せずにいます。
福島県の方々を思うと胸が痛みます。避難したくても一歩が出せない現状が色々とあるのではないかと思います。一歩が出せる受け入れ環境と周りが声かけ続ける事と自分に置き換えています。

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Unknown (通りすがり)
2011-05-13 09:31:49
飯山さんという方のサイトです。
少し?と思うときはありますが、
不安な気持ちの時に読めば、気がまぎれます。

http://grnba.com/iiyama/
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諦めるしか無いのか? (あらいぐま)
2011-05-13 09:58:23
>全てを捨てて避難しても、野垂れ死んでしまう可能性が、放射能汚染地域に人を縛り付けています。放射能から目をそらしている人も多いようですが、危険を認識しながら動くことができない人もたくさん残っています。福島県全体が飯舘村と同じような状態で立ちすくんでいます。


他の震災被災地の人々も基本的には同じ状況です。
第二次補正を先送りした事を見ると政府に震災地域を救う気は無いようです。
このままでは復興は来年からになります。
震災一年後ですよ(怒)
ですから福島の線量などに気が向かうことも無く事実上放置しているのです。
パフォーマンスは必要なので陛下ですら軽装で福島入りしているのに政権首脳は完全防備で嫌々行っているのでしょう。
宮城選出の安住が補正の先送りを問題ないと言っているのでかなりの強権で言論統制が引かれているように見えます。
政府主導で被災地の復興は諦めるべきでしょう。
子供の将来を考えると”行くも地獄、残るも地獄”なのですが、思い切った選択を今や政府の専売特許となった”自己責任”で行うしかないと思います。
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想定外 (ハマ)
2011-05-13 10:27:58
想定外という言葉は、通常は「そんな可能性があるとは想像すらできなかった」という意味で使われると思います。しかし平成17年の映像を見て気づいたことがあります。原発について御用学者と小出先生が壇上で議論する形の市民説明会を記録した映像でした。会場から「地震や津波が原発を襲ったらどうするんだ」という質問が出ました。そのときの御用学者の返答は「そんなことがあるはずがありません、想定外です」でした。「巨大地震や津波は想定外」という言葉は、震災以前から脈々と使い続けられてきたのです。
福島第一原発の事故が起こってから原発関係者が連発する「想定外」は、ただのジャンル名です。原発事故には「(ありえないから)想定不適当」というジャンルがあって、そこで思考停止するしくみになっているようです。対策は講じられていません。
私たちが今、心配をしているような各シナリオも、「想定不適当」ですので、何かあっても東電がきちんと対応しないという前提で、自分の身を守ることを考えたほうがいいようです。
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