絵本の古本屋 【えほんやるすばんばんするかいしゃ】

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杉本さなえさんの新しい本「AGEHA」のこと③

2022-12-16 | ●思うこと
 
 
先日完成した、杉本さなえさんの本「AGEHA」について
ちょっとだけ余計なことを書きますので「AGEHA」を
読もうと思っている方は、読まない方がいいかもしれません。
これから書くことは個人的な解釈なので
ほんとは「AGEHA」と関係のないことなのですが
余計なこと、という意味では間違いなさそうです。

書くかどうかずいぶん迷いましたが、やっぱり書いておきます。

ご了承ください。


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自分には、父と母がいて、
その父と母にもそれぞれに両親がいる。
ぼくからしたら、祖父母ということになる。
祖父母までは、ぼくも馴染みがあるし、感情が湧く。
でも、その祖父母の両親のことは知らない。
そのまた両親のことも、そのまた両親のことも。
彼らのことは、一般的に「先祖」と呼ぶ。
だけど、会ったこともないし馴染みもないので
その人(個人)に対しての感情も湧かないというか、湧きようがない。
100年遡っても、1000年遡っても、もっと遡っても
間違いなく、ぼくには先祖が居る(居た)。
不思議なもので、見たことも聞いたことも会ったこともないのに、断言できる。
ここに、自分が居るから。


時を遡ったその世界では、戦いや争いの中で
亡くなった人もいるかもしれないし、
天災で大変な思いをした人もいるかもしれない。
もちろん、それだけでなくいいこともいっぱいあったと思う。
あらゆる時代のたくさんの時間の中で、
たくさんの人たちの喜びや悲しみがあったはずで、
たくさんの人たちが心を動かしてきた。
けど、ぼくはそれを何も知らない。
知らないけど、いまここに居る。


いつの頃からか(たしか20代半ばくらいだったような)
こんな当たり前のことが、ぼくの安心になった。
深いことや難しいことを考えなくても掘り下げなくても大丈夫で
信じるとか信じないとかも不要で、見たこともないし
なんの情報もないのに「絶対に居た」ということが断言できて、
全ての人に等しく存在する。
主義や思想や勉強や教養や知識や信仰や才能も必要ないことが
自分にはありがたかった。(これらを否定しているわけではないです)
なんにも考えなくてもなんにも知らなくても、ただただそういうこと
っていう事実はいろんな意味で一人であることを楽にしてくれた。
(「人類皆兄弟」みたいなことを言いたいわけでも
血縁などの話でもなくて、自分のルーツを掘り下げたいわけでもない)


人間関係を感情的なつながりで考えると、
精神的に孤独になったり楽しくなったりしてしまう。
生きる上で、それは良くも悪くも必要なのだけども、
それだけだとあまりに自分次第すぎるので、
この社会を生きるには自分という個体にプレッシャーがありすぎた。
だから、それ以外にもう一つ感情的ではない部分で自分が成立する必要があった。
それを成立させてくれたのが、冒頭に書いた自分が生まれる前の知らない世界。
自分は自分なんだけども、自分という存在は自分だけで成り立たないし、
自分の性格や性質や、やってきたことだけでは成り立たない。
なんにも知らない世界なのに、その名残がぼくにはある。
感情やら思いを軽く超えていってくれて、自分ではどうにもならない部分が
誰にでも存在することが、健全かつ無責任でよかった。
一人という単位が一個体を数えるための切り離された数字ではなくなり
立体的な一人になる感じがしてホッとした。


ここまで書いてみて怪しい話になってないか心配ではあるけど
躊躇わずこのまま進めてみようと思う。


こういうことは、本を読んだり誰かの影響(人為的な影響)を
受けたわけでもなく、生きていく中で自然発生してきたことなので
誰かに理解されたいとか誰かに伝えたい、というものでもなかった。
だから、言語化もできなかったし、今も文章を書いていて、
いまいちしっくりこない感じはある。


だから、AGEHAと出会ったときはびっくりした。
あくまでも個人的な解釈にすぎないけれど、
AGEHAにはこんなことが描かれているように見えたから。
可視化できるなんて思ってなかったのに出会ってしまった、みたいな。
ぼくのこと、あなたのことが書かれてるように思えた。





見当はずれかもしれないし、自分勝手な文章なので
書くことは相当迷ったけど、AGEHAを本の形で残したことの意味を考えたら
なんだか大丈夫な気がしています。
たぶん、相当わがままなことだと思いますが、どうかお許しください。

 
 
 
◉AGEHA
 

杉本さなえさんの新しい本「AGEHA」のこと②

2022-12-02 | ●思うこと

あげは


天井近くに掲げられた あれは


おばあさま
おかあさま
ねえさま
いもうとたち


指をさしてはいけないよ


(「AGEHA」より)


杉本さなえさんの新しい本「AGEHA」は
作品集や画集でもなければ絵本でもありません。
絵だけでなく言葉もあります。だからと言って読みものでもない。
物語があるようなないような。
でも間違いなく何かがある、形があってもなくても存在している。
それは、自分やあなたが存在することと似てるような。

ほとんど誰にも言ったことがないけど、
ずーっと昔から自分の中には柱みたいなものがあって
それがあるからぼくは安心で、自分にとっては その概念?みたいなものが
具現化されたような本なのです。
そんなものを可視化できるなんて思ってなかったから
AGEHAにはびっくりしたんです。


2018年にAGEHAと出会えて本当によかった。
未だになんだかわからない本だけど、この本を作れて本当によかった。


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|新しいお店、スタートします|2022年12月8日(木)~14日(水)『一週間限定本屋さん「点滅舎」』

2022-12-01 | ● お知らせ



|新しいお店、スタートします|
今日から、12月!
ということで、新しいお店・denaipen(えほんや〜荒木がはじめる店)も
いよいよスタートします。
このお店についてももっといろいろ説明をしたかったんですけど
それはまた後日。


一番最初にやって頂けるのは、今年出来たばかりの出版社・点滅社さん!
https://tenmetsusya.com/


あまりにうれしいので、あれこれ書いてしまいそうだけど
あれこれ書く前に、まずは概要から。


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『一週間限定本屋さん「点滅舎」』
日時|2022年12月8日(木)~14日(水)
時間|10:00-20:00
場所|denaipen
住所|〒166-0003
東京都杉並区高円寺南3-49-12 セブンハウス2F
(JR高円寺駅・徒歩6分 / えほんや~から徒歩1分)


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点滅社の記念すべき第一冊目、ニーネ詩集「自分の事ができたら」の
販売のほか、古本、同人誌、ポストカードなどの販売。
絵や写真や詩や短歌などの展示をされるそうです。
また、土日には「読書会」と「和本ノートをつくる会」という
イベントを開催。期間限定で屋号も「点滅舎」となるそうです。


◉一週間限定本屋さん「点滅舎」詳細
https://note.com/tenmetsusya/n/n818c042a5c84


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ここからは、ちょっと余計なことを書くので
読んでも読まなくても大丈夫です。


新しい場所・denaipenの記念すべき最初の出来事を
はじまったばかりの出版社・点滅社さんがやってくださることは
本当に本当にうれしいことで、
(大げさに聞こえるかもしれないけど)ぼくにとって大きな希望となってます。
面倒なことを書かずに正直なことを言うと、代表の屋良さんがほんとに
最高で、人柄とその姿勢や行動に強く惹かれています。
どんなことを考えて、どんなことをやっていく(いる/ きた)のか
興味深々です。できたばかりの本「ニーネ詩集 自分の事ができたら」も
一冊目にふさわしい本で、ニーネの大塚さんの言葉なはずなのに
勝手に屋良さんとリンクしてしまってこの本を読むと
屋良さんを見ているような気分になります。
まあ、そう思うのは ぼくだけかもしれなし
屋良さんにとってはいいことじゃないかもしれないけど。
ぜひ、手に取って読んで頂きたいです。


出版社の人に「お店」をやって頂きたい、というのが
このお店の構想の一つだったので、そういう意味でも本当にうれしいです。
その一番最初が点滅社さんだというのも、本当にうれしい。


後半、長々と書いたわりに同じことばっかり言ってますね、すみません。
ただただ嬉しかったということが書きたかったわけです。
まだ始まってもいないですけど、ありがとうございます。

◉ 大塚久生「ニーネ詩集 自分の事ができたら」(点滅社刊)

◉ denaipenは、当店から徒歩1分です