ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

稼いだ銭

2017-04-27 04:21:06 | 短歌






百姓は ひねもす野良で 働いて 稼いだ銭で 妻の花買う






*今日は弟子の作品を取りましょう。今回は、恋歌を作れと言う課題を与えました。好きな女性にささげる歌を作ってみよと。

すると弟子は、最初は古語を使ってかなり気取った歌を詠もうとしていましたが、なかなかにできなかった。道野辺に咲く花を選り君に寄す…なんて感じにしていましたがね、その先がどうしても思い浮かばないらしい。

あまりに難しそうなので、一応助け船を出しました。過去の自分の経験を探ってみよと。女性に贈り物をしたことがあるかね、喜んでくれたかね、と。そうすると彼は、贈り物というより、男ができることで助けてあげたとき、彼女がとても喜んでくれた、と言いました。

そんな難しいことじゃなかった。切れた鼻緒をすげかえてあげるような、簡単なことだったが、自分にできることで、困っている女を助けてあげたことがあって、それがきっかけで結婚して、とてもいい暮らしができたらしい。美人じゃなかったけど、馬鹿なことはしないし、それなりにがんばってくれた。一緒に暮らしていて、うれしかったと。そのときの気持ちを正直に歌ってみよというと、表題のようなのができました。

いいですね。こういう歌は、雅語を使って気取らず、本当に野良仕事をしている百姓が使うような言葉で詠むのがいい。解説の必要はありません。そのまま心が書いてある。

見せかけの嘘で、立派なものをとってきて贈ったときよりも、正直な自分でまじめに働いて、稼いだ金で買った粗末なものを贈ったとき、女は喜んでくれた。そんな女と一緒に生きることができた人生は、幸せだったそうです。

まじめなことが、一番ですよ。本当に、夫に心を尽くしてくれる女性というものは、男の、正直な働きを喜ぶものだ。真似事でない、本当の自分がやれることを、夫がまっすぐにまじめにやっていることを、喜ぶものだ。

男というものは、自分というものを、まっすぐに生きる時に美しい。武将であろうと百姓であろうと商人であろうと、それは同じだ。一緒に生きている男が、本当の自分の美しさを生きている時、女というものは、幸せなのですよ。

そういう気持ちというのは、こんな感じで、気取らずに、まっすぐにそのまま詠むのがいいですね。






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