天の原 雲なき宵に ぬばたまの
夜渡る月の 入らまく惜しも
=巻9-1712 作者未詳=
筑波山に登って、頭の上に広がる雲ひとつ無い夜空を見上げると、そこには漆黒の闇に煌々と光を放ち美しく輝く月が浮かんでいる。この月が、やがて沈み消えてしまうのは、何とも惜しいことだ。という意味。
この歌の題詞に、筑波山に登りて月を詠む一首とあり、筑波山の上で詠んだ歌だとわかる。
「ぬばたま」は、ヒオウギの漆黒の実のことをいい、「黒い・暗い・夜」の枕詞に用いている。
→万葉アルバム参照
この万葉歌碑は茨城県つくば市のつくばテクノパーク大穂のセンター道路の工業団地脇に建てられている。。
広い工業団地の中に万葉集20基、風土記の歌2基、古今和歌集3基、他に2基の、計27基の歌碑が点在している。