馬来田(うまくた)の 嶺(ね)ろの笹葉の 露霜の
濡れて我(わ)来(き)なば 汝(な)は恋ふばそも
=巻14-3382 作者未詳=
馬来田の山の笹の葉に置く露に濡れながら私が帰って行ったなら、あなたは私を恋しく思うだろう。という意味。
防人として遠く旅立とうとする男の心の歌。
馬来田は木更津から小櫃川に沿って上り久留里との中間にある田園地帯である。
上総国望陀(まうだ)郡が万葉でいう「宇麻具多」だといわれており、現在の袖ヶ浦市・木更津市を流れる小櫃川流域で、今も望陀の地名が残っている。万葉の「馬来田の嶺ろ」は広くこの辺一帯の丘陵をさすのではないかと思う。
この歌の歌碑も木更津市真里谷と袖ヶ浦市袖ヶ浦公園に見られる。
この写真の万葉歌碑は木更津市真里谷の馬来田の武田川左岸畔に建てられている。
武田コスモス・菜の花ロードとして地元で整備し自然景観の保存がされ、武田川に沿って桜並木とコスモスが植えられている。訪ねた4月には満開の桜の花と菜の花が印象的だった。(2012年4月14日)
一方、こちらの万葉歌碑は袖ヶ浦市袖ヶ浦公園に付属する万葉植物園に設置されているものである。
袖ヶ浦市は木更津市と接しており、「馬来田の嶺ろ」の故地とも比定されている。