飛鳥への旅

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中将姫伝説の広がり2:岐阜県岐阜市大洞 願成寺

2009年08月20日 | 中将姫伝説を訪ねて
願成寺(がんじょうじ)は、岐阜県岐阜市大洞にある真言宗智山派の寺院である。
寺伝によると、養老5年(721年)、越前の国から泰澄という坊さんがやって来て、山間堂を現在の願成寺のある場所に移して寺を建て、大洞山清水寺としたとある。


この願成寺には国の天然記念物の「中将姫誓願桜」がある。

継母(ここでは照日の前)に追われた姫は長谷寺、當麻寺を転々としたが、
風の便りに、美濃の国大洞の里の願成寺の噂を耳にした。東大寺大仏建立の折りに、いろいろ霊験があったという話で、特にそのご本尊は、日頃尊信する長谷観音と同じ十一面観世音菩薩であると聞き、姫はその参詣を思い立って、はるばるこの地を訪れたのである。ところが、長い旅の疲れと折からの冷え込みのために婦人病にかかって苦しみ、なかなか治らないので困り果てた姫は、この寺の観音様に救いを求め、一心に祈った。すると不思議なことに、病気はたちまち快癒してしまった。姫は大層喜び、境内に一本の桜を植えて、真心を込めて祈ったということである。


天然記念物「中将姫誓願桜」


 誓願桜は、樹齢1200年といわれるヤマザクラが変異した珍種で、国の天然記念物に指定されている。
同種の桜は確認されていないらしく、そのためこの桜はプルヌス・フロリドラ・ミヨシという学名で世界に発表されている。樹高も8.1mとそれほど高くはない桜だが、淡い桜色の花をよく見ると花弁が20~30弁ほどあり、ヤマザクラよりも多い。見慣れた桜の花とはまったく違う桜とひと目でもわかるようだ。それも千二百年もの間風雪に耐えてきた桜なので何ともいえない風格が漂っている。