朝床(あさとこ)に聞けば遥(はる)けし射(い)水川(みづかわ)
朝漕ぎしつつ唱(うた)ふ船人
=巻19-4150 大伴家持=
朝の床に聞けば遠いよ、射水川を朝漕ぎながら歌う船人の声は。の意味。
天平勝宝2年(750)3月2日、越中国守大伴家持が館舎の朝床からはるか射水川を漕ぎ歌う船人の声を聞いてよんだ歌である。射水川(小矢部川)は当時この台地の下を流れていた。
氷見線伏木駅から程ないところに、伏木特別地域気象測候所が建っているが、奈良時代には越中国守の館であった。真下に小矢部川(昔は射水川)がとうとうと流れ、眼前に有磯海、雪のいただく立山連峰を望む景勝の地である。
そこに「国守館址碑」が建っており、碑裏にこの万葉歌が刻まれている。
測候所も今ではリニューアルされて「伏木気象資料館」として一般公開されている。写真はリニューアル前の1987年に訪ねた際の写真で、当時の測候所は風雪に耐えた風情を感じさせていた。