かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

友人からの贈りもの

2017-04-08 17:21:08 | わがうちなるつれづれの記

きのう、友人から本が贈られてきました。

詩集「こころ菌」(作 久保克児 絵 葉祥明)  春秋社刊。

 

「本を読む元気がでたようですので、わが社にしては珍しい本が

できましたので送ります」とありました。

3ヶ月の入院後、養生をしているわが身には、本に託して届けてくれた

友人の気持ちが有難かったです。

友人は大学時代からの付き合いで、卒業後は春秋社という老舗出版社に

就職しました。そして、今いつの間にか社長さんになっていました。

贈ってくれた本の奥付に発行者の名前に友人が記されていました。

社長さんと聞いてもピンと来ていませんでしたが、「そうなんだなあ」と

はらに落ちました。

 

著者の久保克児さんは、名前は”かつこ”で、女の人でした。

1937年に生まれ、2016年の春に永眠されました。

「法華経」を極める一生でした。

詩集は、日々人と人のつながりで、悩み、苦しみ、それでも澄みきった

大気のもと、さわやかに吹き抜けていく、克児さんのこころの風が

紡がれた言葉に乗って、読む人のこころまで届いてくるようでした。

葉祥明さんの絵も、詩の奥行き、深さを表現していて、とてもほのぼの

して、心地いいです。

「法華経」は、言葉というより、克児さんの内奥で発酵して、生き方の

隅々に現れてくるようです。

 

今までの暮らしからしたら、不如意の日々で、養生に治まりたくない

気持ち、ときに起きます。

こんな身体の状態が当たり前になるかも知れません。

この詩集を読むと、そっと、内面を治まるところに治めてくれる感じです。

 

友人とは、学園紛争の発端の1965年から、全共闘としてピークを迎える

時期を大学新聞部同志として、苦楽をともにしました。

あれから50年、何を間違えたのか近隣諸国を敵とする、戦前回帰の

流れが加速してます。

こういう情勢をつくっているのは、よく見てみるとぼくら団塊世代でも

あります。忸怩たるものがあります。

このような流れが生きとし生けるものの、幸せに繋がるとは思いません。

人間はそんなに愚かではないはずです。

詩集の中から、一編紹介します。

 

        人間の力                 久保克児

   いつ

   何が

   どのように

   やってくるか

   誰にも

   わかりません

   あり得ようはずのない それに

   人は ある日

   突然直面するのです

   はね飛ばされ打ちのめされ

   くたくたになって

   それでもなお走り続け

   疲労は極限に

   そして現実はより複雑に深刻に

   それが人間です

   その人間をどう生きるかが

   人間の課題です

   でも

   大丈夫

   立ち止まる勇気があれば大丈夫

   勇気を出して足を止める

   息を整える

   誰かと話をする

   それができたら大丈夫

   きっと新しい道が開けます

   振りかえれば辿ってきた道が見えてきます

   足元に一つまた一つ小さな明かりが見えてきます

   希望という字が浮かんできます

 

   人間の力です

 

出版者の社長さんに感謝です。

今日は、お釈迦さまの誕生日。

子どものころ、近く寺院で振舞われた甘茶の味がほの甘く蘇ります。