走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

意思の尊重

2015年05月05日 | 仕事
ホームレスのコリンに教会で会う。新患だ。わー柔道家みたいな耳だ(寝技で大きな餃子のようになっている)、しかしかなり左右不対象。
2日前に蜘蛛にやられたと。どうりで、、、、。
幸いに蜘蛛の写真を撮っていてくれたので助かる。イマイチピンボケだが特徴を話してくれると

False black widow spider

のよう。widow spiderや Recluse spiderより症状が軽い。しかし耳たぶはもちろん、耳の中も首も腫れている。熱も持っているし、触るとかなり痛そう。外来で点滴の抗生物質か、在宅(といってもホームレスですが)内服の抗生物質で様子を見るか、、、原則的に首より上に蜂窩織炎があれば点滴の抗生物質が必要。それにペニシリンのアレルギーがあるコリンは使える抗生物質が限られている。。。。

しかし泣き出すコリン。注射が大の苦手なのだ。ホームレスになりストレスが高い上に外来で点滴治療、、、なんて聞かれたものだから、パニックから泣き出してしまった。

大の大人がと思うかもしれないけど、我慢の限界にいる人はチョット突いただけで対処できなくなるもの、、、、。

内服で様子をみて悪化するようならすぐ救急へ行きましょうということになった。サポートがある一般の人だったら外来治療を強く勧める。しかし本人が拒否すれば本人が納得いく治療を、それが最善の治療でなくてもしなければいけないことがある。



これがその蜘蛛です。

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