走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

より良い診断を導くために その2

2015年08月29日 | 仕事
昨日からの続き、、、、

ブライアンは2年前にお隣の州から引っ越してきた。彼は来たくなかったが一緒に住んでいる彼女に子供の教育のためにどうしてもと言われ、渋々やってきたのだ。10年ほど前に交通事故で大怪我をした彼は、奇跡の生還をなし職場復帰をしたところで調子を崩し休業中。州を変えたため、支払いは凍結し熱心に診察しいた医師も失った。

BC州へ来てから色々なファミリープラクティショナーに受け入れてもらおうとしたが、どこも門前払。薬もなくなり痛みはひどくなる一方。そして私のところへ来たのだ。

第一印象は物静かな礼儀正しい人だったが、口を開けば愚痴が止まらない。医療者の事、お金の事、挙げ句の果てには彼女のことまで、怒りが沸騰して頭から湯気が出ている感じだ。一度や二度なら私も聴く。しかし問診中に、質問には答えないくせに文句はズルズル出てくるのだ。全く問診が進まず私自身もイラついてくる。他の医師に相手にされなかった理由がすぐに分かった。指導してもすぐに以前に戻る彼。こうなると主導権を握ろうと私も四苦八苦。すると彼は聞いてもらえないと脱線話がもっと助長する。そして彼の声は大きくなり、顔も赤くなる。

大きく息を吸って

I can hear your frustration.....I want to help you, but I am not getting the information I need. Please answer my questions with yes/no or short sentences. Otherwise, I have to ask you to leave.

2回ほど繰り返さなければならなかった。しかし、この後は言った通りにしてくれた。なんとか1日目を終えた。終わってみれば深々と頭を下げ、聴いてくれた感謝の言葉を述べる彼。失敗の繰り返しでファイティングモードで飛びかかってきたのかも。

患者は自分の事を聴いてもらえない、話を折られたりすると、イライラが怒りに推移して暴力に発展することもある。診断どころではなくなる。

医者が聞いてくれないとよく聞くが、たまには自分の方にも理由があるということを知ってもらいたいと思った。

昨日に戻り
1)ができる患者とは働きやすいが、DRグーグルと言われるほど先入観で(すでに自己診断した)来られと、誤診につながるので危険
2) は問診がスムーズに進むコツ。私は必ず最後に、私が見落とした質問事項はありませんか?付け足しはありますか?と聞く。医療者も完璧ではありませんから。
患者の協力なしでは診断につながりません。なので4)も良くないですよね。






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