走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

話し下手

2015年03月25日 | 仕事
今の仕事をする時忍耐力は非常に大切だ。聴く耳を持つだけでなく、何を言おうとしているのか考えがまとまるようにガイドしたり。

しかし、今日はもうダメ!と思った。

カイルはメンタルヘルスの既往もなければ薬物依存もない。高校も卒業している。しかしホームレス歴9年。仕事も賃貸も上手くいかない。あちこちで問題を起こす。強制退去や拘束なんてあちこちで起こした。暴力を振るわけではない。勘違いされやすく、言葉で相手をうんざりさせるのが得意なカイル。本人は自意識ゼロ。何度か精神科でアセスメントをしてみようと話すが断固として拒否する。自分で診断したり思い込んだりするのも激しく、プロ相手にも自分の思い込みを言い通す。どれだけプロを怒らせたか、、、、。

本日、診察室へ入って10分ノンストップで話すカイル。しかし何故診察に来たのか全くわからない。話は次から次へ飛んでいく。大昔の話から、カナダへ戻ってきた頃の話、シェルターで何が起こったか、、、、話をガイドしようとすると、声をあげ、わかってる!ちゃんと話をきけよ!だから!と脱線は延々と続く。体が大きいカイルが立ち上がって大声を出すと埒があかない。これでは診察にならないから帰ってもらおうと今日は3回ぐらい診察室から出て行くように言ってしまった。それでも口が止まらず居座るカイル。警察を呼ぼうかと思う一方、ああ、もしかしたら何をカイルが言いたいかわかるかもといろんなテクを使った。なんとか探りだしたのは発疹が局部にあるということ。10分ぐらいで終わるような問診と診察に40分ぐらいかかった。治療計画を話すと、これまた自分の意見や何年も前にあった発疹やガールフレンドの話までしなければならない彼。本当に私の話を聞いているのか?わかっているのか?

わかっている。次来るときは今回の診断が捻れて変わって彼なりの診断を私がしたと戻ってくるのだ。

カイルの頭の中って回路がグチャグチャにこんがらがってスパークがバシバシ飛んでいるんだろうな。回線を整理して、もっと楽に人と話ができるようになるかもしれないのに、、、、いつかさせてくれるかなあ、、、、



砂漠にぴったりのサイン。旅はアリゾナへ続く。

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