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書評:横山秀夫著、D県警シリーズ『陰の季節』&『刑事の勲章』(文春e文庫)

2016年09月19日 | 書評ー小説

ドラマ化及び映画化で話題となった『64(ロクヨン)』のD県警シリーズは、この『陰の季節』という短編集が第1弾でした。『刑事の勲章』は同シリーズ第4弾の短編。

『陰の季節』は表題作他、『地の声』、『黒い線』、『鞄』の3作が同時収録されています。どの作品にも警務部の『陰の人事部長』と呼ばれる二渡真治が登場します。

表題作では二渡真治が主人公で、天下り人事で、1人天下り先での居座りを希望した人がいたので、今年勇退することになっている人の天下り先が無くなってしまうことになり、問題発生。二渡は事情を聴き、説得するために元ベテラン刑事の元に行きますが、けんもほろろにあしらわれてしまいます。さて真相は?

『地の声』では、監察官の新堂が主人公で、パブのママと浮気しているというタレコミのあった最年長警部を調べることに。彼が警部から軽視に昇進するチャンスは今年が最後なので、新堂は中傷誹謗のせいでそのチャンスが無くなってしまうのは気の毒に思い、良心的に調査しようとしますが。。。

『黒い線』では若い婦警が突然無断欠勤するところから始まります。失踪?事故?47人の婦警たちを束ねる警務課婦警担当係長七尾友子は、未だ出勤してこない平野瑞穂巡査の行方を追います。平野瑞穂はひったくり犯の似顔絵をそっくりに描いたと新聞記事になったばかり。逆恨みを買った可能性もある。。。

『鞄』の主人公・警務部秘書課課長補佐・柘植正樹は県議会の「議会対策」が職務。定例議会における一般質問の内容をあらかじめ調べて、回答を用意するために飛び回っていましたが、ある保守系議員が「爆弾」質問を用意しているという噂を聞きつけ、その質問の内容を知ろうと右往左往することに。

どの作品も県警内の人事に関わることがテーマで、典型的な警察小説とは言えないストーリーですが、サスペンス要素は十分にあり、なかなか面白かったです。警察は良くも悪くも日本の「カイシャ」なのだなと納得してしまう内容です。


『刑事の勲章』は電子書籍オリジナル短編で、『64(ロクヨン)』に連なる「D県警シリーズ」未収録作。警務・観察を経て、いきなりN署の刑事官に配属された上原勇三が主人公。畑違いの人事に二渡の真意がつかめずに悶々とする上原。配属先ではOB会に事件の進捗をつつかれ、部下には憐憫と共に無視される有様。やはり懲罰人事だったのでしょうか?

ちょっと主人公が気の毒な感じですが、ストーリーとしてはあまり面白くなかったです。


書評:横山秀夫著、『第三の時効』(集英社e文庫)

書評:横山秀夫著、『64(ロクヨン) 上・下巻』(文春e文庫)

 


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