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書評:横山秀夫著、『64(ロクヨン) 上・下巻』(文春e文庫)

2016年09月18日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

『64(ロクヨン) 上・下巻』は、2012年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、13年「このミステリーがすごい!」第1位など高い評価を得た警察小説です。2015年のテレビドラマ化につづき、2016年に前編(5月7日公開)・後編(6月11日公開)として映画化されたヒット作。

昭和64年に起きたD県警史上最悪の未解決誘拐殺害事件を巡り、時効1年前の平成14年になって、刑事部と警務部がなぜか全面戦争に突入し、刑事上がりの広報官三上は己の立ち位置を自問自答し続けることに。彼の娘は家出中で、そのことが弱みとなって、そりの合わない上司の手足にならざるを得なくなっている状況です。上司は彼を決して信頼せず、必要最低限の情報しか与えません。広報とマスコミの関係は匿名報道を巡って拗れまくり、こちらも全面戦争の様相を示してきます。そうした中で真相に少しずつ近づいていく三上を描く物語、とでもいうのでしょうか。上・下巻合わせて1100ページを超え、非常に読み応えがあります。

三上が少しずつ自己認識を掘り下げ、逃避している自分を自覚し、だんだん今現在の職責に目覚めていく過程、そして家出した娘及び奥さんへの理解を深めていく過程が、事件を追うサスペンス・メインストーリーにより深みを与えているように思います。

残念ながら三上の家出中の娘さんは最後まで見つからないままなんですけど。でも「ロクヨン」と記号化された誘拐殺人事件の「本ボシ」は見つかります。


書評:横山秀夫著、『第三の時効』(集英社e文庫)

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