キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

The Carrot Seed-にんじんのたね、または、ぼくのにんじん

2014-07-08 09:45:02 | 絵本
The Carrot Seed
Crockett Johnson
Perfection Learning

           ルース・クラウスのお話、クロケット・ジョンソンの絵の"The Carrot Seed"は

           もう随分前、1945年初版の絵本です。星の数ほどある絵本、その中でなぜ

           だかクロケット・ジョンソンの絵と文がとても好きです。極端に単純な線だけ

           で書かれていて、色も2色か3色。芸術的な絵を好む人にはちょっと物足り

           ないかも知れません。でもそれが魅力です。小さい男の子、女の子のまるっ

           こさ、愛らしさがたまりません。The Carrot Seedには「ぼくのにんじん」と「に

           んじんのたね」と2種類の訳本が出ています。

にんじんのたね
クロケット ジョンソン,Ruth Krauss,Crockett Johnson,小塩 節
こぐま社

ぼくのにんじん
クロケット・ジョンソン,渡辺 茂男
ペンギン社

            A little boy planted a carrot seed.

            1ページ目の文章はたったこれだけ。

            His mother said'I'm afraid it won't come up.'

            2ページ目の文章はたったこれだけ。

           それなのに、2種類の訳本が出ています。こぐま社のおしおたかしさんのは、

           タイトルが「にんじんのたね」で、原文に忠実な訳です。

            「にんじんのたねをひとつぶ、おとこのこがつちにまきました。」

           ペンギン社のわたなべしげおさんのは、タイトルが「ぼくのにんじん」となり、

            「ぼく にんじんのたね まいたんだ」と一人称になり、主人公の主張が

           強くなっています。客観的な原文の調子を変えて、「ぼくが、、、」とする理

           由があるのかな?とちょっと思います。子どもにはその方が自分と一体化

           できて良いのでしょうか?こんな短い単純な英語を日本語にするだけでも、

           どこまで変えていいのか?そもそも原文に忠実な翻訳とか、こなれた日本

           語訳なんていうのが、どんなものなのか、キッチン・トランスレーターとし

           ては、なかなか考えさせられる題材ではあります。

           
           

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