言語空間+備忘録

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高速道路無料化のもたらす経済成長

2010-08-20 | 日記
山養世 『道路問題を解く』 ( p.74 )

 西洋には、壮大な構想で、無料の高速道路網を築いた歴史があります。
 古代ローマ帝国の高度な技術で作られた馬車専用の道路網は、いまの日本の高速道路の約一〇倍の総延長距離がありました。この道路網が、ヨーロッパと中東とアフリカの北部を占めた大帝国を結びました。すべての道はローマに通じていたのです。平時には、帝国住民の自由な経済活動に使われ、戦時には、帝国のどこにでも速やかにローマ軍を送る軍事道路として大活躍しました。無料の高速道路網を作ったからこそ、ローマ帝国では、経済的な安定と外敵の侵略のない平和が保障されました。パクスロマーナ (ローマの平和) と呼ばれる繁栄が古代の無料高速道路網の上に築かれたことは、塩野七生さんの『ローマ人の物語』(新潮社) の諸作にも語られています。
 ナチス・ドイツのアウトバーンの成功は、アメリカでは戦前から知られていました。ルーズベルト大統領時代には、全国に高速道路網を作る計画もありましたが、戦争で立ち消えになったのです。その計画を復活させたのがアイゼンハワーでした。
 アイゼンハワーの功績は、高速道路は有料にしろという意見を退け、ドイツと同じように、全国無料の高速道路網を作ったことでした。本当のフリーウェイです。有料にしたら、裕福な人や大都市でしか使えず、結局、経済効果が発揮できずにムダ使いに終わる、と説得しました。いまの日本で高速道路無料化に反対する人たちに聞かせたい言葉です。
 アイゼンハワーの見通しは正しかったのです。カリフォルニアやテキサスなど、鉄道網が発達していなかった西部や南部の経済は、無料のインターステート・ハイウェイができて大きく発展しました。
 そして、インターステート・ハイウェイができて、アメリカ経済の黄金時代が始まりました。生活圏とビジネス圏が一気に広がりました。ショッピングセンター、ドライブスルー、郊外の住宅地、リゾートやドライブ、スポーツやレジャーといったアメリカのライフスタイルができあがりました。ゴールデン 50s、60s はインターステート・ハイウェイとともに生まれたのです。


 古代ローマ帝国やナチスドイツなどによって、歴史上、全国無料の高速道路網が経済を発展させることが示されている。アメリカ経済発展の原動力 (…のひとつ) も、全国無料の高速道路網である、と書かれています。



 全国無料の高速道路網が経済を発展させる、とのことですが、若干、疑問があります。



 アメリカについて、著者は、「カリフォルニアやテキサスなど、鉄道網が発達していなかった西部や南部の経済は、無料のインターステート・ハイウェイができて大きく発展しました」と述べています。とすれば、鉄道網が発達していれば、無料の高速道路があろうとなかろうと、大差ない、とも考えられます。

 輸送効率 (エネルギー効率) のみを考えるならば、あきらかに、鉄道は自動車に優っていると思います。

 とすれば、鉄道網が発達していなければ高速道路網が重要になるが、鉄道網が発達していれば、高速道路網は重要ではない、と考えられます。つまり、経済発展に最も重要なのは鉄道網であり、その次に重要なのは高道道路網である、という話になるはずです。



 しかし、現実には、高速道路網の建設に伴い、鉄道輸送の需要は自動車輸送によって代替されてきたのではないかと思います。したがって、(なぜかはわからないが) 鉄道網に比べ、高速道路網の需要のほうが大きい、と考えられます。

 高速道路網に対する需要が大きいのであれば、その需要を満たす政策、すなわち、高速道路網の建設は、経済を発展させることにつながるのではないかと思われます。そして、それが無料であれば、さらに経済は発展することになるはずです (実際の需要がどの程度なのかは、「無料の高速道路に対する需要」を参照してください) 。



 ところで、このような論理 (経済発展に有益なので高速道路を無料化すべき) を認めるならば、電気・ガス・水道は無料にしろ、ということにもなりかねません。電気・ガス・水道が無料であれば、経済はさらに発展するはずですが、さすがにそのような主張は聞いたことがありません (私が知らないだけかもしれませんが) 。

 経済発展に有益であれば、なんでもかんでも無料にしろというのは、行きすぎではないかと思います。



 したがって、

   経済成長の面のみに着目して考えれば、高速道路無料化は好ましいが、
   あくまでも「好ましい」というにとどまり、「無料にすべき」とまでは言えない

のではないかと思います。
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