言語空間+備忘録

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高速道路の無料化は既定路線

2010-08-22 | 日記
山養世 『道路問題を解く』 ( p.142 )

 猪瀬氏は「便利な高速道路を使う受益者は、その対価として料金を払うべきだ」と主張しています。事実は、日本の高速道路ユーザーは、高速道路を走るときにもガソリン税をはじめとした税金という「対価」をすでに払っています。それは、自動車ユーザー全体の税金の二割もの金額を、これまで取られてきたのです。
 だから、猪瀬氏が「一般道路のユーザーの税金で、高速道路無料化を実現するのはけしからん」というのは間違いです。事実は逆です。ガソリン税など、道路特定財源の仕組みにより、すべての自動車ユーザーの税金は、一般道路の建設に充てられているのです。だから、高速道路ユーザーの税金が、一般道路の建設に流用されてきたのです。こんな流用を放置しておいて、そのうえに、高速道路ユーザーから世界一高い通行料金を取っているのです。ですから、高速道路無料化とは、本来、高速道路ユーザーに還元すべきだった税金を使って、高速道路の借金返済を行うことで実現するにすぎないのです。
 また、猪瀬委員は「新幹線など、早いものはコストがかかる。だから、早く目的地に行ける高速道路の料金が高いのは当たり前」とも主張しました。これもおかしな理屈です。高速道路の建設費はすでに四〇兆円の借金の中に含まれているからです。この借金を返せば、高速道路無料化は自動的に実現します。借金を返済すれば、通行料金を取る根拠はなくなるのです。
 大体、新幹線と高速道路を比べること自体が間違いです。新幹線は、車両もエネルギーも運転もJRが提供します。だから、料金は高くなります。高速道路では、車もガソリンも運転も、提供しているのは高速道路のユーザーです。そして高速道路の建設コスト分は、税金のかたちで高速道路ユーザーがすでに負担しているのです。
「高速道路無料化はバラマキ」というのも逆です。これからは、欧米諸国と同じように、道路財源の税金の範囲内で高速道路も一般道路も作るべきです。そうなれば、新しい高速道路を作っても借金はできません。バラマキどころか、予算の節約です。
 道路財源が足りなくなる、という心配はありません。高速道路の通行料金がなくても、九・二兆円もの自動車ユーザーからの財源が残るからです。道路投資額で比較すると、日本の場合は約八兆円で、イギリスの六倍、ドイツの三倍です。それに、全国の高速道路が無料になれば、高速道路に並行する国道などの新しい道路を作る必要も減るでしょう。その分、必要な道路財源は減るはずです。


 小泉内閣の下で、道路公団の民営化を進めた道路公団民営化推進委員会のメンバーだった猪瀬直樹氏の主張を紹介しつつ、批判的な意見が述べられています。



 以下では、紹介されている猪瀬委員の主張と、それに対する著者の批判、そして私の意見、の順に述べます。



 まず、「便利な高速道路を使う受益者は、その対価として料金を払うべきだ」という猪瀬委員の主張について考えます。著者は、高速道路ユーザーは高速道路を走るときにもガソリン税などの対価を払っている、と批判していますが、猪瀬委員は「速さ」の対価を払うべきである、と主張しており、著者の批判は的を外れているのではないかと思います。私としては、対価を徴収してもよいし、しなくともよい、と考えます。

 次に、「一般道路のユーザーの税金で、高速道路無料化を実現するのはけしからん」という猪瀬委員の主張に対して、著者は事実は逆であり、事実誤認である、と批判しています。税収がどのように使われたのか、一次資料によらなければ確かなことは言えませんが、この本に書かれている内容をもとに判断するかぎり、著者の批判は正当であると思われます。

 さらに、「新幹線など、早いものはコストがかかる。だから、早く目的地に行ける高速道路の料金が高いのは当たり前」という猪瀬委員の主張について、著者は、「これもおかしな理屈です」と批判されていますが、この批判 (評価) は不適切であると思います。なぜなら、上記引用部分で著者が述べている内容は、「建設コストがかかるために料金が高くなるのは認める。しかし、建設費用を回収したあとは、通行料金を取る根拠はなくなる」というものだと思われるからです。猪瀬委員の論理そのものは、著者も認めていると考えてよいと思います。私としては、意見が一致しているなら余計な批評は不要であり、建設コスト回収後に無料化すべきか否かを論じれば、それで足りると考えます。

 最後に、「高速道路無料化はバラマキ」という猪瀬委員の主張に対しては、著者は「逆です」と指摘しています。その根拠は、「高速道路無料化論」でみたように、渋滞が減るので道路を作る必要性が減り、予算の節約になる、というもので、この主張には説得力があります。



 以上、私なりにまとめれば、「高速道路の建設コスト回収前には無料化しなくてよい、と意見の一致がみられると思われるので、さしあたって論じる意義がない。無料化せず、建設費の回収を優先してよい。しかし、建設コスト回収が終わった後どうすべきかは、重要な問題である」ということになるのではないかと思います。



 ところで、



同 ( p.144 )

 そもそも、猪瀬氏が「タダより悪いものはない」と、高速道路の無料化に反対するのは、民営化委員会の結論に反しています。というのは、国の計画自体が、二〇五〇年には高速道路を無料化しなくてはいけないと定めているからです。道路公団民営化に伴い改正された道路整備特別措置法の第三、四、二三の各条は、高速道路の借金は二〇五〇年までに返さなくてはいけないこと、そして、借金返済のために通行料金を取るのも二〇五〇年を超えてはいけないことを規定しています。つまり、二〇五〇年には、日本の高速道路の特別措置は終わり、他の国道と同様に無料にしなくてはいけない、と法律で定めているのです。それなのに、猪瀬委員は、無料化そのものに反対する主張を繰り返してきました。


 2050 年までには、高速道路の借金を完済し、高速道路を無料化しなければいけないと法に定められている、と書かれていますが、



 そうであれば、建設コスト回収が終わった後どうすべきかは、(著者の望む方向で) すでに決まっているのであり、これについても、現段階で、論じる意義はないと思われます。猪瀬委員の主張は建設コスト回収前について、通行料徴収の必要性を述べたものであり、建設コスト回収後も通行料を徴収すべきだとまでは言っていない、と理解すれば、それで足りると思われます ( なお、著者の引用された猪瀬委員の主張のなかに、「一般道路のユーザーの税金で、高速道路無料化を実現するのはけしからん」というものがありますが、「無料化を実現」という表現は、猪瀬委員が建設コスト回収前のことを述べていたからだと考えられます ) 。



 とすれば、「道路公団民営化に伴い改正された道路整備特別措置法の第三、四、二三の各条」の考えかた、すなわち、

   建設コスト回収前には、無料化せず、建設費を回収するが、
   建設コスト回収後には、無料化する、

という方針で、問題はないのではないかと思います。
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