言語空間+備忘録

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独占禁止法第 9 条

2009-09-04 | 日記
内橋克人とグループ2001 『規制緩和という悪夢』 ( p.105 )

 中でも興味を引くのが、中内氏が第四回と第五回の会合で二度も、独占禁止法の第九条の見直しを主張し、中谷氏もこれに同調していることだ。
 その独占禁止法の第九条とは、
〈持株会社は、これを設立してはならない〉というものである。
 これを撤廃せよ、というのはつまり独占禁止法の強化ではなく緩和だ。
 持ち株会社の条項は、まさに、中小と大手の競争を真の意味で公正にするためにもうけられたものだ。
 私たちは、この持ち株会社条項の意味について、一九七七年の独占禁止法の改正にスタッフとして加わった公正取引委員会委員、及び学者の二人に話を聞いたが、二人ともにこの持ち株会社条項の撤廃には反対だった。
 その理由はこういうことである。
 つまり、競争というのはA社が小売業界なら小売業界で、単独の意思で利益を極大化するように動くのが望ましいのである。
 仮に、ここにA社の持ち株会社Xが認められたとする。X社はA社だけではなく、不動産業を営むB社、金融業を営むC社、旅行業を営むD社、情報産業を営むE社他、たくさんの会社を持っている。X社は、配下の企業グループの株を直接取得しているわけだから、強烈な垂直的支配権を確立することができる。
「こうなると、それまでそれぞれの市場で単独に動いていた各社がX社の意向に応じて動くようになるわけです。たとえば、グループ内取り引き。C社は損だとわかっていても非常に低利で、苦戦する小売業A社に金を貸し付ける。不動産業者B社は、小売業者A社のために無理な土地取得をし開発をする。こうなると、コングロマリットの背景を持たない他社は小売りの分野においてA社にかなうわけはない。このA社に対抗できるのは、やはり同じようにコングロマリットの背景がある会社だけということになります」(学者)


 持ち株会社禁止条項を撤廃すれば、公正な競争が成り立たなくなる、と書かれています。



 この主張には、説得力があります。たしかに、持ち株会社を認めれば、公正な競争が成り立たないと思われ、したがって認めてはならない、と考えられます。

 しかし、ここでわからないのは、なにも持ち株会社の形態をとらなくとも、( 大手としては ) 吸収合併してしまえば、上記、コングロマリットとおなじ効果が得られるのではないか、と思われることです。事業部制によって、( コングロマリットと ) 同様の効果が得られるはずです ( 税法上の扱いなどが異なってくる可能性はあります ) 。

 また、コングロマリットが本当に有利なのか、やや疑問があります。一般に、コングロマリット企業は株価が安くなりがちだ、とされています ( コングロマリット・ディスカウント ) 。つまり、持ち株会社は、企業規模の拡大やマーケット・シェアの獲得には向いているかもしれないが、利益の獲得に関していえば、低く評価される傾向にあります。現に、上記、引用部分の例でいえば、「C社は損だとわかっていても非常に低利で、苦戦する小売業A社に金を貸し付ける。不動産業者B社は、小売業者A社のために無理な土地取得をし開発をする」 以上、たしかにA社は有利になりますが、B社、C社は ( 同業他社との競争上 ) 不利になります。これでは、持ち株会社 ( コングロマリット ) に有利なのか不利なのか、わかりません。

 この問題については、さらに考えたいと思います。



 なお、持ち株会社禁止規定の撤廃が 「独占禁止法の強化ではなく緩和だ」 と書かれていますが、これはその通りだと思います。
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