言語空間+備忘録

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公的年金は税方式がよい

2009-08-27 | 日記
小林良暢 『なぜ雇用格差はなくならないのか』 ( p.172 )

 第二は、年金保険料の未納者が急激に増大していることである。社会保険庁が発表した国民年金の納付率は、〇七年度で六三・九%となっているから、未納率は三六・一%ということになる。都道府県別の納付率を見ると、東京五九・二%、大阪五四・四%、沖縄四二・八%がワースト3である。
 しかし、この納付率の計算にあたって、社会保険庁は分母から保険料免除者を除いており、実際に保険料を払っていない未納比率は平均でも五〇%に達しようとしている。また、厚生年金の被保険者数も、九七年の三三四七万人をピークに年々減り続け、〇一年は三二一九万人と、この四年間で一〇〇万人も減少した。
 このような年金制度への未納・未加入の増大は、将来は無年金層を大量に生み出す可能性があり、まさに「年金の空洞化」が始まっているのである。しかし、政府の社会保障国民会議は、国民年金のこのような事態について「現行の納付率で将来無年金者が大きく増大することは考えにくい」としている。だが、この現状認識は甘すぎはしないか。


 公的年金への未納・未加入者が増大しており、無年金層を大量に生み出す可能性がある、と書かれています。



 厚生年金の被保険者数が減り続けているのは、サラリーマンが減ったからかもしれず、未納・未加入者が増えたからであるとはかぎらないのですが、

 国民年金の未納・未加入者が増え続けていることは間違いないと思います。



 そこでどうするか、が問題になるのですが、要は、徴収を強化するか、税方式に移行するか、だと思います。

 年金制度への信頼が揺らいでいる現状に鑑みれば、徴収を強化する選択は、事実上、ありえないと思います。したがって、税方式に移行するべきだと思います。

 税方式に移行した場合、徴収が容易になる、ということのほかにも、好ましい点があります。行政の簡素化です。現在、社会保険料を徴収する機関と、税金を徴収する機関とが併存していますが、どちらも、国民から金銭を徴収することには変わりありません。その金銭を、社会保険料と呼ぼうが、税金と呼ぼうが、実質的には、おなじことです ( すくなくとも、大差はありません ) 。

 年金を税方式に変えれば、徴収強化の問題は発生しませんし、行政の簡素化・効率化を唱える昨今の社会風潮にも合致します。税方式がよいと思います。



 税方式に移行する場合、消費税の増税、という話が出てきます。おそらく、税方式ではなく、社会保険料方式の維持が主張される原因は、ここにあるのではないかと思います。消費税増税には、社会的な抵抗が強い。さらに、人間には、なるべく 「税金」 は払いたくないが、自分の利益に直結する 「社会保険料」 であれば払おうとする傾向があります。したがって、税方式の実現は、きわめて困難であるとも考えられます。

 しかし、「労働力を買った者にも消費税を」 課税すれば、消費税率を上げる必要はないのではないかと思います。少なくとも、現在、喧伝されているように、10 %だとか 15 %にする必要はないと思います。公平にもなりますし、これなら、( 企業はともかく ) 国民には、さほどの抵抗はないはずです。これでよいのではないかと思います。



 なお、公的年金に所得比例の部分 ( 上乗せ部分 ) を設けるのであれば、その部分も消費税方式でよいのか、別途考慮する必要があると思います。



■追記
 年金保険料が不要になるので、実質的には減税になります。したがって消費が喚起され、景気対策としての効果も期待されます。