MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

板ばさみ通訳

2011-02-21 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
「通訳をお願いします」

普通の通訳ならいいのですが、
慣れてくると時々「あれ?なんかおかしいぞ」と虫の知らせがします。

ちゃんと日本語で話していたり、
英語のできるスタッフがついているのに通訳を介入させようとするときです。

もちろん、言葉がきちんと伝わっていないから
確認のために通訳をつかうというならば理解はできます。
でも、そうでないこともあるのです。

それが「通訳お願いします」に
相手を説得してくれ!という両者の要望が入っている場合です。

外国人は自分と同じ言葉を話す通訳者だから自分の味方に違いないと思い、
病院側は、ちゃんとした通訳者なのだから日本の医療事情は理解できるはずと思う。

話を聞いてみると、案の定、両者の言い分は理解できている模様。
後は相手を自分の意見に説得するのみ。

そんな場所にいれられた通訳者は悲惨です。

医療通訳者の仕事は通訳のはずなのに、
いつの間にか両者の代理人にされている・・・。
罠にはめられた気分です。

医療者と話をしていると
医療通訳者に外国人との橋渡しを期待していると感じます。
それは日本の医療事情に通じない外国人を説得して
郷に入れば郷に従う患者にしろという要望だったりします。

外国人患者も負けてはいません。
通訳を使って、できるだけ自分の要望を通そうとします。
直接なら、とても相手に向かっていけないような厚かましい言葉も、
通訳の口を借りるのですから平気です。

かくして通訳者は板挟みになります。

慣れてくると、こうした交通整理もよくあることになり、
どちら側にも就かず淡々と通訳ができるようになるのですが、
慣れていないと、患者家族や他の医療スタッフも交えての議論になることも。

結局は、どちらの味方にもならなかった通訳者は
どちらからの賞賛を得ることもなしに仕事を終えるのです。
こんな時は誰か褒めて・・・と言いたいけど(笑)。

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